次に伺ったのは蒲田清掃事務所のお隣にある多摩川清掃工場です。清掃事務所が集めた可燃ごみが運ばれてくるこの工場は清掃一組が運営しており、可燃ごみを処理しています。ちなみに清掃工場では、個人見学会と団体見学会が随時開催されています。
明るく清潔な雰囲気の多摩川清掃工場。煙突の高さは100m
多摩川清掃工場の池上剛技術係長と、技術係の西岡隆志さんにお話を伺いながら、工場見学ルートを案内していただきました。
「集積所から収集した可燃ごみは清掃工場で焼却し、不燃ごみは不燃ごみ処理センター、粗大ごみは粗大ごみ破砕処理施設で破砕・選別して鉄やアルミとそのほかのものに分別します。これをごみの中間処理といい、私たち清掃一組が担当しています。
多摩川清掃工場は、大田区から出る年間120,000tのごみの約半分と他区などの可燃ごみ、約68,000tを1日150t燃やせる2つの炉で焼却しています」(池上技術係長)
多摩川清掃工場の特徴は、ごみ焼却炉に回転ストーカ炉を使用していること。回転ストーカ炉とは、円筒状のストーカ(ごみを燃やす箇所)全体が1時間に約1回転し、ごみを混ぜながら焼却する炉のことです。東京23区には清掃工場が22施設ありますが、回転ストーカ炉を使用しているのはこちらの多摩川清掃工場だけです!
多摩川清掃工場に運ばれてきたごみが、どのように処理されるのか順を追って見てみましょう。
1.ごみを乗せた清掃車は、入り口にある計量器に車ごと乗ってごみの重さを計ります。
2.収集車はプラットホームに進み、ごみをごみバンカ(ごみをいったんためておく所)に投入します。多摩川清掃工場のごみバンカは横幅40m、奥行き12m、高さ11mあります。
3.投入されたごみは、燃えやすくするためにごみクレーンでかき混ぜて均一にした後、ごみホッパという焼却炉の入り口から焼却炉に送られます。
幅3.8メートルのごみクレーン。4本の爪でごみをつかんでかき混ぜたり、運んだりする
4.焼却炉に運ばれたごみは800℃以上の高温で焼却し、容積を1/20に減らします。高温で焼却することでダイオキシン類の発生を防ぎます。
ごみバンカや焼却炉内の運転状況などをモニターする中央制御室。4班交代・24時間体制で監視している
ごみを燃やす過程で発生するさまざまな有害物質は、工場内に設置された公害防止設備で対策され、きれいな空気、きれいな水となって工場外へ排出されます。
また、ごみを燃やしたことで発生した熱は、発電して工場内で利用されるほか、余った電気は電気事業者に売却します。焼却した際に出る灰の一部は民間事業者に委託し、セメントの原料などに資源化し、利用されます。それ以外の灰は、東京湾にある埋立処分場に運ばれて埋め立てられます。
このように、埋立処分場に埋めるごみを少しでも減らすように努力していますが、東京湾の埋立処分場の残余年数は約50年(日本全体では約21年)と言われており、代わりになる埋立地を用意することもできません。最後の埋立処分場の寿命をできる限り長く延ばすためにも、ごみの減量やリサイクルに取り組む必要があります。
ごみ問題を考えることは、持続可能な社会を作るための必須事項です。国や都、区などに任せきりにせず、私たち一人ひとりが心掛け、ごみの減量に取り組んでいく必要があります。
「住んでいる区のごみがどのように処理されているのか、実際に清掃工場を見学し、体感してほしいですね」と語る池上技術係長(右)と、技術係の西岡さん(左)
清掃工場見学会を実施しています
多摩川清掃工場、大田清掃工場では、事前申し込み制による見学会を実施しています。
動画でごみの処理の概要を学んだあと、職員さんの説明で工場内を見学します。普段は目にすることができない清掃工場の内部を見て、ごみ問題について考えてみませんか? 申し込み・問い合わせは東京二十三区清掃一部事務組合へ。
HP:
https://www.union.tokyo23-seisou.lg.jp/
見学コースには分かりやすい説明文がリサイクル品の現物などと展示されている
2023年に大田区は、SDGsの達成に向けて優れた取組みを提案する都市として、内閣府から「SDGs未来都市」に選定されました。さらに、その中で特に先導的な取組みを行う「自治体SDGsモデル事業」にも選定されています。
SDGsの達成ターゲットに「11.住み続けられるまちづくりを」という項目があります。一人ひとりが意識をしてごみの分別を行い、クリーンなまちづくりを心掛けることが、私たちが簡単にできるSDGsの取組み第一歩です。
大田区は、SDGs未来都市にふさわしい、持続可能な取組みを行っています。
今回の特集では大田区のごみの行方を追いかけてきましたが、いかがでしたか? 私たちが普段何げなく出している「ごみ」の先に、作業員さんたちの苦労や、中間処理施設でのごみ処理の工夫があることがよく分かりましたね。ごみを分別することは、資源の再利用につなげることのできる一番身近な心掛けです。これからは、ごみを出す際には意識的になると共に、機会を作って清掃工場を見学し、ごみについて考える時間を持ってみるのもよいですね。
大田区内にはまだまだ注目のスポットがたくさんあります。あなただけの「おおた推し」スポットを見つけてみてください! 見つけたスポットは、ぜひSNSへ投稿を。その際は#uniqueotaをつけてくださいね!
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