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【特集】家庭を支える技術「白洋舍」で学ぶクリーニングの裏側

パリッとのりの効いたワイシャツ、風合いがよみがえったコート。クリーニング店から戻ってきた衣類を見て、「いったい、どんな工程を経て戻ってきているのだろう」と思ったことはありませんか。

その謎のカギを握る場所が、大田区下丸子にある日本最大級のクリーニング工場「白洋舍 多摩川工場」。今回はその工場にお邪魔して、クリーニング技術から昔の洗濯事情まで、普段はなかなか見ることのできない「クリーニングの裏側」を探ります。

洗濯物の行方を追って
「白洋舍 多摩川工場」を見学

私たちがクリーニング店に預けた洗濯物。実はその多くが、大型のクリーニング工場に集められて洗濯されています。

大田区下丸子にある「白洋舍 多摩川工場」は、日本で初めてドライクリーニングを開発した老舗企業の心臓部。日本最大級の規模で、毎日大量の衣類を効率的に処理してよみがえらせ、私たちのもとに戻しています。



その内部の様子を取材させてもらいました。

クリーニング工場にて
洗濯工程を徹底解剖!

白洋舍がこの地に工場を建てたのは1932年(昭和7年)。現在の建物は1986年(昭和61年)に建てられた歴史のある拠点です。

こちらが5階建ての工場内部。たくさんの洗濯物に囲まれて、エリアごとにさまざまな作業を行っています。



◆ランドリー(水洗い)エリア

衣類が店舗から届くと、まずは仕分け作業が行われます。

店舗でつけられたタグをバーコードで読み取り、ほつれなどがないか、検品を行いながら、色や素材、汚れ具合を見極めて分けていくそう。



その後の洗浄・染み抜き・仕上げは、どの工程にあるのかシステム上ですぐにわかるように管理されていきます。


ワイシャツの仕分け作業。白物・色物・中間色(淡色)に分けて洗浄します
ワイシャツを洗うのは、この大きな洗濯機。約250枚のシャツを一度に洗いあげることができるそうです。



ワイシャツを白く洗いあげる技術は、白洋舍の自慢のひとつ。2回洗った後に、温度を変えながら3回すすぎます。汚れを落とすだけでなく再び付着させないことが、クリーニング後のパリッとした白さの秘密なのだとか!

その後、半乾きのまま、「身ごろ」と「袖」の2回に分けて機械を使ってプレスします。





機械仕上げの後に、さらに職人が手で整える「ローヤル」仕上げというメニューもあります。機械だとシワになりやすい細かい部分を約5分かけて仕上げます。


技術者は試験制度でランク分けされ、年3回の技術試験を実施しています。軽やかなアイロンがけの様子に思わず見入ってしまいました
こちらはズボンのプレスの様子。ズボンも機械でプレスした後に、人の手でアイロンをかけて仕上げていました。



◆ドライクリーニングのエリア

スーツやコート、セーターなどはドライクリーニングで洗います。溶剤は3種類を使い分け、汚れた溶剤は再精製して再利用しているそう。



セーターの染み抜きの様子を見せていただきました。シミ抜き剤をつけ、シミをブラシでたたいた後に超音波で汚れを浮かし、すすぎ洗いをしていきます。





食べこぼしのシミも、すっかりキレイに! シミをつけるとついつい慌ててしまいますが、おしぼりで拭いたり、水でぬらしたりすると生地を傷めることがあるので、そのままクリーニング店に出すのがベストとのことでした。

◆Ⅾ&B(無塵衣・無菌衣)クリーニングのエリア



白洋舍の多摩川工場には、食品や製薬・精密機器などの工場のユニフォームを扱う「無塵衣・無菌衣クリーニングシステム」を備えています。



こちらでは「クラス1000(1㎥あたりの空気中に0.5ミクロンの微粒子が1000個以下)」と呼ばれる基準のもと、厳格な管理をしながら作業が行われています。



複数回フィルターを通した特別な水を用いた洗濯で、不純物の混入を防止しています。乾燥後は、塵やほこりがわかないように空気が常に循環する部屋のなかで、真空にしてからパッキング。最終工程では125℃で20分、圧力をかけながら滅菌を行います。全国から集まる衣類を1日で約1800点処理しているそうです。

◆仕上げ・検品、そして店舗へ

こちらは仕上げの作業の様子。ビニールを自動でかける機械が動き、配送される店舗ごとに自動で仕分けられていました。





最終的な検品は人の目で行い、仕上げ不良がある場合には前の工程に戻されるのだとか。

思っていた以上に手作業の多いクリーニングの裏側。衣類がパリッとよみがえるような気持ちよさの裏には、こうしてたくさんの人の手が入っているのですね!

なお、「白洋舍 多摩川工場」は、団体であれば見学可能です。詳しくは公式ホームページをご覧ください。

白洋舍 多摩川工場
住所:大田区下丸子2-11-1
見学実施時期:11~2月の平日(祝祭日・年末年始等を除く)
見学可能人数:10~20名
受付期間:9月~1月

「五十嵐健治記念洗濯資料館」で知る
クリーニングの今と昔



1906年(明治39年)に創業し、2026年(令和8年)3月に創業120周年を迎える白洋舍。多摩川工場から徒歩約2分。本社の1階にある「五十嵐健治記念洗濯資料館」では、これまでの会社の歩みと、洗濯の歴史を物語る道具の数々を見ることができます。


入口では白洋舎のマスコットキャラクター『ヨーシャ』がお出迎え


創業者の五十嵐健治氏は、若き日に東京・平河町の洗濯屋で働き、宮内省の御用聞きを務めていました。その誠実な仕事ぶりが評価され、「三越」にスカウトされて就職します。三越で過ごした10年間、五十嵐氏は和装から洋装へと移り変わっていく時代の流れを目の当たりにしました。

やがて、三越の後押しもあり、かつて経験のあった洗濯業で独立することを決意。日本橋呉服町に白洋舍を創業します。

その後、上流階級の顧客との信頼関係を築く中で、ある伯爵夫人から「ヨーロッパには水を使わない洗濯がある」と聞いたことが、大きな転機となりました。五十嵐氏はこの言葉に触発され、日本ではまだ知られていなかったドライクリーニングの研究に没頭します。
そして1907年(明治40年)、日本で初めてとなる「水を使わない洗濯方法」の実用化に成功しました。

こちらが当時の様子を物語る「ドライクリーニング機械」。



ドライクリーニングには石油系の溶剤を使用しますが、当時の動力はガソリンだったため、火災などがおこらぬよう、少し離れた場所でモーターを回して動かしていたそうです。

中の構造を見ると、今の洗濯機とほとんど変わらない仕組みであることがわかりますよね!





館内には他にも、洗濯に用いた煮釜や脱水機など、歴史を物語る道具の数々が展示されています。



日本のアイロンの歴史が分かる展示コーナー。電気アイロンが普及する前に、熱した石炭や炭の上に乗せて温めながら使用されていた「焼き鏝(ごて)アイロン」などがあります。


昔の洗剤が並べられたコーナー。昔は植物が洗剤として使われていたんですね
昭和初期頃に販売された「家庭用の洗濯機」もありました。水と衣類と洗剤を入れて、手動でハンドルをグルグルと回して洗うアイデア商品です。




子供たちも楽しめる洗濯に関するクイズコーナー

マスコットキャラクター『ヨーシャ』の資料館


こちらは、創業当時にお客様のお宅を訪問し、衣類を回収していた「箱車」(レプリカ)。
当時の営業員が着ていた半被も再現して展示されていました。箱車を引っ張って、元気よくまちを走っていた姿が思い浮かびますね! 現在でも、クリーニング品の預かりや配送を行う「集配サービス」に力を入れているそうです。


昔のCMなどをタブレットで見ることができます
多摩川のほとりである下丸子に「多摩川工場」が建てられたのは1932年(昭和7年)。下丸子周辺が工場用地として開発され、さまざまな企業の誘致が進められていた時期だそうです。軟水が豊富に沸くこの地は、クリーニングの工場の設置に最適。当時から女性が働きやすいように、まだ珍しかった男女別トイレの設置、女性従業員が汗を流せる浴場、託児所の整備など、時代を先取りした取り組みを実施していたそうですよ。

なお「五十嵐健治記念洗濯資料館」は一般見学が可能です。小学生のお子さんの夏休みの自由研究にもぴったりなスポットですので、ぜひ見学に訪れてみてください。


「五十嵐健治記念洗濯資料館」の館長・株式会社白洋舍顧問の五十嵐昌治さん。創業者の曾孫さんでいらっしゃいます
五十嵐健治記念洗濯資料館
住所:大田区下丸子2-11-8 白洋舍本社ビル1階
入館料:無料
開館時間:10:00~17:00
休館日:土・日・祝、年末年始
※申込み不要。
※2026年3月のリニューアルにより、一部展示が入れ替わっております。

下丸子には花を楽しめるスポットも!


「白洋舍 多摩川工場」「五十嵐健治記念洗濯資料館」のある下丸子エリアは、多摩川沿いの緑豊かな風景が魅力の一つです。

◆多摩川土手の桜並木

多摩川ガス橋緑地の土手には桜並木が続きます。1952年(昭和27年)のサンフランシスコ講和条約を記念して植えられた木々を含め、多くのソメイヨシノが土手に連なり、お花見シーズンの景色は壮観。一部、堤防工事に伴い現在の場所に移植し、現在も多摩川の恵みを感じる風景として地域の人々に愛されています。



◆下丸子公園のあじさい

梅雨の風物詩は、下丸子公園の「あじさいの丘」。公園の一角に設けられた花壇には、地元のボランティア団体が手入れを続けているあじさいが植えられており、紫・青・ピンク・白の花が色とりどりに咲き誇ります。



いつも利用しているクリーニング。その裏側には、たくさんの人たちのていねいな技と心遣いがありました。

大田区内にはまだまだ注目のスポットがたくさんあります。あなただけの「おおた推し」スポットを見つけてみてください!見つけたスポットは、ぜひSNSへ投稿を。その際は#uniqueotaをつけてくださいね!

大田区シティプロモーションサイト「UniqueOta/ユニークおおた」では、「他にはない、大田区ならではのユニークな場所と出会えるまち」を合言葉に、区内のさまざまな魅力を発信中です。

ぜひ、あなたの興味あるコンテンツを探してみてください。次回の特集もお楽しみに!
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