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【区の花:梅のおすすめスポット紹介】洗足池公園

梅は昭和51(1976)年に「区の花」として制定されました。古くから大田区の土地になじみ、歴史的な由緒も深い梅。花は気品に満ち、早春の寒さに負けず咲くその姿は、 若い世代の人が多い大田区には特にふさわしいものとして選ばれました。

区内には多くのおすすめ梅スポットがあります。こちらの記事では、大田区立洗足池公園を紹介します。

 


 

北千束の清水窪湧水などを主な水源とする23区内屈指の広さを有する淡水池のある公園です。春はサクラや梅でにぎわい、秋には紅葉を満喫することができます。生物に目を向ければ、冬は渡り鳥の楽園となり、夏には水辺を飛び交うトンボなどの姿も見られます。散策スポットとしては、池月橋、水生植物園のほか、歴史を伝えるものとして、「勝海舟夫妻墓所」、「西郷隆盛留魂詩碑」、「徳富蘇峰詩碑(両雄詠嘆之詩碑)」、「名馬池月像」などがあります。また東急池上線洗足池駅前には、洗足風致協会」(03-3720-4441)が運営するボート乗り場もあり、池でのボート遊びを楽しむこともできます。なお、池の名称は「千束」池が本来的なもので、「洗足」池は後に浸透した俗称と推測できます。「洗足」の名称は、日蓮が身延山から池上に向かう途中、この池畔で休息した際、手足を洗ったことに由来するといわれています。また、御松庵妙福寺の「袈裟掛松」は日蓮が休息の折、自らの袈裟を掛けたと伝承されるものです。

 

公園概要

所在地 大田区南千束二丁目14番5号

アクセス 東急池上線洗足池駅より徒歩2分

主な樹木 サクラ、アカマツ、クロマツ、スダジイ、イチョウ、ケヤキ、モミジ

●梅は公園内に約20本。白梅、紅梅、しだれ梅があります。

 

梅の写真

 

 

 

風光明媚な千束池

千束(洗足)池の水は大田区域が農村地帯であった頃には農業灌漑用水として利用されるに過ぎませんでしたが、昭和21927)年に「洗足池」駅が開業すると、池は整備され、同5年には東京府の風致地区に指定されます。千束池は、その風景の美しさとともに、江戸時代から現在まで行楽地として親しまれてきました。

こうした池とその周辺の風景に魅せられた人々に木版画の絵師たちがいます。彼らは季節・昼夜・天候を問わず千束池を作品の中に描いてきました。その風景は池の埋め立てが進んだ今なお当時の風情を残しているといえます。木版画作品を通して時代を経ても変わらない千束池の姿をご覧ください。

 

歌川広重「名所江戸百景 千束の池袈裟懸松」安政31856)年(大田区立郷土博物館蔵)

 

日蓮が身延山から池上に向かう途中で千束池畔にて休息し、自らの袈裟を架けたと伝わる「袈裟懸松」を中央に配し、水と緑の織り成す自然豊かな江戸郊外の池周辺の風景を描き出しています。

『名所江戸百景』は広重最晩年の大判錦絵揃いもので、版元は絵入り本などを上野新黒門町(現台東区上野一丁目)で出版・販売していた小売絵草紙屋の魚屋(坂名屋)栄吉です。還暦を迎えてなお百景ものに初めて挑んだ他、この千束池を始め自ら描いていない名所に新たに取り組むなど、広重の意欲の程がうかがわれる連作となっています。

 

斎藤幸雄・幸孝・幸成著、長谷川雪旦画『江戸名所図会』「千束池袈裟掛松」天保57183436)年(大田区立郷土博物館蔵)

 

雨の降りしきる千束池を中原街道側から描いたものです。右側中央の枝ぶりの良い樹木は「袈裟掛松」、左側上部に鳥居が描かれ、「八まん」と記されている場所に建つのは千束八幡神社と推測できます。『江戸名所図会』は、江戸およびその近郊の絵入り地誌で、斎藤幸雄・幸孝・幸成の父子三代にわたり書き継がれました。挿絵は長谷川雪旦が担い、描かれた景観の年代は寛政年間(1789-1801)であると指摘されています。

 

高橋松亭「千束の池」明治421909)年~大正121923)年(大田区立郷土博物館蔵)

 

松亭は、明治40年頃から版元・渡邊庄三郎のもとで浮世絵の複製版画にかわるオリジナルの版画、新作版画の制作を開始します。松亭が制作した木版画は、輸出用として制作され国内外で高い人気を博しました。

本作は千束池の夜景を描いた珍しい作品です。女性と子どもの姿はシルエットで表され全体的に暗い色調ですが、その対比として池畔の民家には温かみのある光が灯っています。

 

小泉癸巳男「大森区・洗足池雨情(梅雨季)」『昭和大東京百図絵版画完制判(第94景)』昭和121937)年7月作(大田区立郷土博物館蔵)

 

小泉の代表的な連作『昭和大東京百図絵』は、大正121923)年91日の関東大震災から復興を遂げた「東京」と震災前の面影を残す名所・旧跡の姿を克明に写し取ることを試みています。本作は江戸時代から変わらず景勝地として親しまれる洗足池を建物の2階から描いたものです。雨の中、数隻のボートが池に浮かんでいます。

 

 

川瀬巴水「洗足池の残雪」昭和261951)年(大田区立郷土博物館蔵)

 

巴水は昭和233月末に疎開先の栃木県塩原から東京に帰還すると、洗足池のそば近く上池上町1127番(現大田区上池台二丁目33番付近)に建つ渡邊庄三郎の家作を居所としました。

東京での再出発をよく見知った洗足池畔で始めた巴水は、その場所を昭和26年に同3年作の「千束池」『東京二十景』に続き再び作品化します。本作の左手に見える建物は池の北端に浮かぶ弁天島の洗足池弁財天(厳島神社)、中央奥に車が走る道は中原街道です。本作のスケッチは、写生帖第73 号に記載されたメモから昭和26218日であったと確認できます。その3日前の15日の日記には「夕べからふり出した雪 夜は大風―大雪ふる 七時ごろ雪やみ天気になる 十数年来の大雪の為交通とだへ」とあり、移動も困難な程の大雪に見舞われたことがわかります。本作は、この大雪の後の情景を写し取ったものです。

 

そして、幕末維新の激動の時代を駆け抜けた勝海舟もこの池に魅せられた人物の一人です。彼は明治241891)年に池の畔に農家風の別荘、その名も「洗足軒」を建て、旧友とともに吟詠に興じました。慶応4(1868)年の江戸城引き渡しの交渉時、新政府軍との会見のため、本陣が置かれた池上本門寺に出向いた際、この地の存在を知ったといわれています。そして、海舟は自らの墓所も池の畔に定めました。

そんな海舟の功績や大田区との縁を紹介するとともに、海舟の想いと地域の歴史を伝える大田区立勝海舟記念館が国登録有形文化財の旧清明文庫を活用して令和元(2019)年97日に開館しました。是非ご来館ください。

大田区立勝海舟記念館

住所 東京都大田区南千束二丁目3番1号

営業時間 10:00〜18:00(入館は17:30まで)

休館日 月曜、年末年始、臨時休業日

入場料 一般300円、小・中学生100円 (各種割引有り)

※休館情報など最新情報は大田区公式HPからご覧ください

 

大田区内のおすすめ梅スポットまとめはこちら

https://unique-ota.city.ota.tokyo.jp/charm/health/plum_unify/

 

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