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【特集】都会の水辺にも多様な生態系が!多摩川で本気の自然観察


田園調布から羽田周辺へ、大田区に沿うようにして流れる多摩川。実はその河川敷には、驚くほど多様な生き物が生息していることをご存知ですか?

大田区鵜の木地区で活動する「うのき水辺の楽校」では、自然観察や川遊びを通じて、こどもたちが多摩川の生態系を学べる機会を提供しています。

今回は、その中心的な取り組みである「子供スタッフ育成プログラム」に密着。都会の水辺に息づく自然の豊かさを紹介します。

うのき水辺の楽校とは?

「水辺の楽校」とは、国土交通省を中心に全国で進められている「こどもたちが安全に、川に親しむ自然体験活動を推進する」プロジェクトです。

「うのき水辺の楽校」は、2013年8月にスタート。地域のボランティア、鵜の木地区の各町会、学校、大田区、教育委員会、国土交通省などが連携して運営をしています。



活動場所は、区立嶺町小学校前から丸子橋付近にかけての多摩川下流と河川敷。海水と淡水が混ざり合う汽水域で、年間を通じて、川に入って網で生き物採集する「ガサガサ」や野鳥観察などの自然観察会、川遊び体験などを実施。こどもたちが自然を親しみながら、多摩川の環境や生き物について学ぶ場となっています。

きれいになった多摩川でこどもたちを遊ばせたい

両岸の宅地化が進み、家庭排水が流れ込んだことで、1960年頃から深刻な水質悪化が起きていた多摩川。その後、下水道整備が進んだことで水質は少しずつ改善。1990年代になると、川が静かに息を吹き返すかのようにアユなどの生き物が戻り始めました。


現在の多摩川。対岸は神奈川県川崎市
そんななか、「こどもたちに川遊びの楽しさを伝えたい」という、地域の人々の思いから始まったのが、うのき水辺の楽校の活動です。

当初は、一般参加者を広く募集するイベント形式で実施していましたが、2020年、コロナ禍で大人数での活動が難しくなったのをきっかけに活動方針を転換。小学4年生から中学生を対象とした登録制の「子供スタッフ育成プログラム」を開始しました。

生き物や自然環境に関心をもつこどもたちが、継続的なフィールドワークを通じて多摩川の自然を学ぶことのできる活動へと進化したのです。

川の生き物を調べる「子供スタッフ研修」に密着!

取材したのは、6月中旬に実施された「子供スタッフ研修(ガサガサ生き物調べ)」。多摩川沿いにある嶺町小学校の校門の前に、朝早くからボランティアスタッフとこどもたちが集まりました。



倉庫に保管してある網やライフジャケットなどの備品をリヤカーに積み込み、河川敷へと運びます。



ライフジャケットを着用し、生き物採集の方法や活動の注意点を聞いたら、いよいよ川の中へ。





おそるおそる足を踏み入れると、川の水は冷たくて、この瞬間だけは暑さを忘れてしまうほど。





あっという間に、ひざ下まで水につかってしまいました。

生き物採集は、魚、エビ、カニなどが隠れている石や水草の下流側の川底に網を立て、上流側から足で素早く生き物を追い込むのがコツ。



水中を探ると、小さな魚やエビ、水生昆虫などが次々に見つかりました。

網を取り出すたびに、どんな生き物に出会えるのかドキドキわくわく。初めて川に入る大人は、「多摩川にこんなに生き物がいるの?」と驚くことが多いそう。

「こっちにウナギがいるよ!」
こどもたちは、大喜びで生き物を見つけていきます。


体長40センチほどのニホンウナギを見つけた瞬間、歓声が上がりました

「動かないから死んでいる?」と思ったら、モクズガニの抜け殻でした

コオニヤンマのヤゴ(左:12齢幼虫=あと2回の脱皮で終齢、右:終齢幼虫=背中が割れて羽化し、成虫になる)
クライマックスは、全員で力を合わせる追い込み漁。すき間ができないよう網を一列に並べて、じわじわと包囲網を狭めていきます。



「協力することが大事だとわかった!」とこどもたち。大きな石を動かしたり、追い込んだり、生き物を採集するためには人と力を合わせる必要があるんです。



水からあがったら、採集した生き物をグループごとに水槽に集め、観察用のアクリル水槽に移して観察します。



水槽の中で泳ぐ魚の姿を、食い入るように見つめるこどもたち。



次に、生き物の特徴を見極めて、図鑑を使って名前を調べます。マハゼ、ボラ、ヌカエビ、テナガエビ、モクズガニ、クロベンケイガニ、水生昆虫のヤゴなど、多彩な生き物が生息していることがわかりました。


うのき水辺の楽校オリジナルの「多摩川生き物図鑑」
生き物を採集し、観察することで、教室だけでは得られないリアルな学びを重ねていきます。陸上から川を眺めているだけでは見えなかった生き物たちの姿を、ガサガサを通して身近な存在として感じられたようです。




マハゼ



テナガエビ(オス)


最後に、グループごとに今日の気づきを発表し、生き物たちを川に放流して活動は終了。家に生き物を持ち帰って、飼育にチャレンジする子もいるそうです。



1年をかけて環境を学ぶ

うのき水辺の楽校「子供スタッフ育成プログラム」では、年間を通じて多彩な活動を実施しています。

2026年度は全14回の活動を予定しており、多摩川をEボートで下る体験や野鳥観察会、活動の成果を発表する発表会など、自然をさまざまな角度から学ぶ機会が用意されています。


Eボート体験。ボートを漕いで、川の中から普段とは違った視点からの多摩川を楽しみます

秋と冬の野鳥観察会では、双眼鏡の使い方も学びます。日本野鳥の会の会から講師を招いてバードウォッチングを通して、自然観察の楽しさを学びます
また、年に数回開催される一般参加日には、子供スタッフが案内役を担当。一般の参加者にこれまで学んだことを自分の言葉で伝えることで理解を深め、自信を育むきっかけにもなっているそう。



こうした活動は地域のボランティアスタッフにより支えられています。

事務局長を務める牛島貞満さんは、教員として嶺町小学校に赴任した際に、立ち上げメンバーとして「うのき水辺の楽校」の運営に携わり、教員引退後も活動の中心を担っています。

「学校では勉強やスポーツが評価されることが多いですが、生き物が好きな子が認められたり、活躍できたりする場所も必要だと思うんです」と牛島さんは話します。

魚の名前をすぐに見分けたり、生態について詳しく説明したりする子供スタッフの姿は、大人も驚くほど。


年度末には1年間の成果を発表する「研修発表会」を実施します
「生き物が好き」という個性を思い切り発揮し、それを認められる経験は、こどもたちの成長の大きな原動力になっているようでした。


子供スタッフOGで高校2年生の則武喬子(のりたけきょうこ)さんは「活動を通して、生態系への関心を深めることができました。生物を学べる大学に進学したい」と話してくれました。水辺の楽校での経験は、こどもたちの興味や可能性を育むきっかけにもなっているようです。
うのき水辺の楽校
小学4年生から中学生までを対象に、年間を通じて多摩川の自然を学びながら活動する子供スタッフを募集しています(次回募集は2027年春)。

また、年に数回、一般参加も可能な自然観察会を開催しています。
〈2026年度の一般参加が可能な自然観察会〉
・9月6日(日)には、夏休み自由研究(中間)発表会
・9月23日(水・祝)※予備日27日(日) ガサガサ生き物調べ(川の生き物調べ)
・2027年2月14日(日) 冬の野鳥観察
・2027年3月7日(日)  うのき水辺の楽校研修会発表会

詳しくは、公式ホームページをご覧ください。
https://sites.google.com/view/unoki-mizube




うのき水辺の楽校スタッフの皆さん


干潟の自然に触れる「羽田水辺の楽校」


大田区には、うのき水辺の楽校のほかに「羽田水辺の楽校」もあります。活動場所は羽田地区の大師橋干潟。東京湾に近く、海水と淡水が混ざり合う汽水域ならではの生き物や野鳥を観察できるのが特徴です。



活動の目標は、「裸足で遊べる干潟づくり」。
定例観察会では、展望台から多摩川を眺めた後に、干潟へ入って、カニや貝などの生き物を観察します。


干潟には、8種類以上のカニやシジミをはじめ、絶滅危惧種も含む驚くほどたくさんの生き物たちが暮らしています。観察会では「干潟マイスター養成講座」も実施しており、「干潟の泥にはまっても自分で脱出できる」「カニを見分けられる」などの課題を達成するごとにスタンプをもらえます

自然観察会の後には、「羽田ふるさと再生プロジェクト」として、干潟や河畔林の環境保全活動(ごみ拾い)も実施しています。台風の後には多くのプラスチックごみが流れ着くそう
観察会の活動は4月から10月まで月2回程度開催され、都度申し込みで一般参加も可能です。干潟ならではの自然環境に触れられる貴重な機会として、地域の外から多くの人たちが参加しています。

羽田水辺の楽校

どなたでも参加できる定例観察会と環境整備活動を行っています。

〈2026年度の定例観察会〉
4月〜10月前半の主に日曜、月2回程度
・9月13日(日)
・9月27日(日)
・10月10日(土)


〈2026年度の羽田ふるさと再生プロジェクト(ごみ拾いなどの活動)〉
4月〜10月前半は干潟観察会と同時開催。10月後半〜3月は主に日曜、月1回程度
・9月13日(日)
・9月27日(日)
・10月10日(土)
・11月8日(日)
・11月22日(日)
・12月13日(日)
・1月24日(日)
・2月21日(日)
・3月7日(日)


羽田水辺の楽校事務局 大田区本羽田3-29-10
詳しくは公式ホームページをご覧ください




川遊びを安全に楽しむために


川での活動は、水難事故などの危険も潜んでいることを忘れてはいけません。必ずライフジャケットを着用し、こどもだけで行動しないことが大切です。また、水位や流れは天候によって急に変化することがあるため、事前に気象情報を確認してから活動しましょう。


身近な場所にありながら、意外と知られていない多摩川の生態系。水辺の楽校には、スポット参加も可能な自然観察の機会がありますので、ぜひ参加してみてくださいね。

大田区内にはまだまだ注目のスポットがたくさんあります。あなただけの「おおた推し」スポットを見つけてみてください!見つけたスポットは、ぜひSNSへ投稿を。その際は#uniqueotaをつけてくださいね!

大田区シティプロモーションサイト「UniqueOta/ユニークおおた」では、「他にはない、大田区ならではのユニークな場所と出会えるまち」を合言葉に、区内のさまざまな魅力を発信中です。

ぜひ、あなたの興味あるコンテンツを探してみてください。次回の特集もお楽しみに!
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