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【特集】フィルムカメラ×コンデジで巡る大田区 六郷のんびり散歩

今、若い人たちを中心にフィルムカメラやオールドコンデジ(2000年代初頭に販売されていたコンパクトデジタルカメラ)がリバイバルブームを巻き起こしています。簡単にきれいな写真が撮れる今の時代だからこそ、少し粗くモヤっとした描写や特有の色味が、写真に親しみやすさを与えているのかもしれません。そんなカメラのファインダー越しに、区の魅力を再発見するのが「フィルムカメラ×コンデジで巡る大田区」シリーズです。


※記事内の画像は、全てオールドコンデジ、またはフィルムカメラで撮影しています。
※値段表示は税込で、取材当時の情報です。


第2回は六郷付近を、カメラ片手に散策します。商店街、公園、多摩川と大田区の日常がぎゅっと詰まったエリアでどんな光景に出会えるでしょう。六郷の地名は、この周辺に6つの村があったことが由来とされます。

MAP内の番号は、記事内容に対応しています

大田区内一の乗降者数を誇る蒲田駅をスタートし、多摩川から見える夕焼けを撮影する約1時間のルートです。

蒲田駅西口

大田区の商店街数は都内最大級。蒲田駅のまわりだけでもいくつもの商店街があります。蒲田西口商店街振興組合には、サンロードとサンライズの2つのアーケードがあるのはお気づきでしたか?


人が多くにぎやかです。こちらはサンライズのアーケード ※フィルム
JRの線路沿いを南(川崎方面)へ進みましょう。電車の走行音やブレーキ音などを楽しみながら、一つめの踏切を越えると「大田」という行き先表示がある小さな車両を発見!


(左)2両編成の小さい電車が道路からチラリと見えます。(右)その先の歩道橋からは操車場(現在:大田運輸区)が一望
ここはJR東日本の総合訓練センター蒲田トレーニングセンターです。内部は非公開ですが「大田」の行き先表示が見えると、思わずシャッターを切りたくなります。この先には松本清張の『砂の器』の舞台で、新大田区百景に選出されている蒲田操車場(現在:大田運輸区)があります。

西六郷公園



地元では「タイヤ公園」の愛称で親しまれています。下は2018年に新しく仲間入りしたミニ怪獣 ※上フィルム
ミニ車両に別れを告げて5分も歩かずに、西六郷公園に到着しました。JRの車窓からも見えるタイヤ怪獣が気になるこちらの公園は、近隣の萩中公園に設置したタイヤの遊具が好評だったことから、タイヤだけを集めて造ったそうです。


タイヤは自動車修理工場や運送事業者から寄付されたものを再利用。「SDGs未来都市」と「自治体SDGsモデル事業」に選ばれた大田区らしい取組みです。さて次は雑色商店街へ。線路脇の細い道を進んで最初に見えた踏み切りを渡ります。

雑色商店街振興組合


何十年もの間、人々の生活を支える商店街です ※フィルム
雑色商店街は、大田区の中でも大規模な商店街。小売店や飲食店など多彩な店が並んでいます。かつてはこの付近は雑色村と呼ばれていたそうです。

Café Pippis


レンガ調の窓枠とOYATSU(おやつ)の黒板が目印 ※フィルム
焼き菓子の香ばしい匂いに誘われて、八百屋の角を曲がったところにあるCafé Pippis(カフェピッピーズ)に寄り道。歴史ある商店街で2023年5月にオープンしたばかりのニューフェイスです。


店内にもフランスの“エスプリ(精神を意味するフランス語)”が漂います ※フィルム
オーナーは子どもの頃から「自分のお店を持つのが夢だった」という熊本出身の木村英文さん。フランスに7年留学し帰国後、白金のレストランを経て、有楽町のベーカリーカフェで腕を振るいました。


イートイン限定BPフレンチトーストセットはドリンクセットで¥1,150~。
近隣の「ビビパン」の食パンを使用

同店のパリ支店立ち上げで再び渡仏。フランス生活の終盤にコロナ禍に見舞われ、テイクアウトもできるおやつの魅力に開眼。「店内でも自宅でもゆったり静かに過ごす時間を提供したい」と願っています。


スコーン各種(プレーン他360円~)に、自家製ジャムとクロテッドクリームを+150円でサンドしてもらえます。食べ歩きに! ※フィルム
日によっては、ショートケーキも並びます。「公園もあり都心へのアクセスも良く、にぎやかな雑色商店街にひかれた」という木村さん。商店街の隠れ家的なくつろぎスポットです。
Café Pippis
住所
東京都大田区仲六郷二丁目18-15
(京急本線「雑色駅」から徒歩約4分)
営業時間
10:00~18:00(変更あり)
定休日
不定休
※営業時間、定休日については公式Instagramにてご確認ください。

水門通り商店街振興組合


多摩川の河口近くにある六郷水門まで続く商店街
雑色駅を越えると、水門通り商店街に入ります。こちらは東京都開催の「東京商店街グランプリ」で、隔月で開催されるイベントマルシェ“G-round「地域で描く円と縁」”が2023年にグランプリを受賞しました。道幅が広く歩きやすい通りには、老舗の店舗もちらほら。


第五相模湯は夜になるとネオンが輝きます
商店街から公園を抜けると、六郷水門まですぐ。江戸時代に整備された六郷用水は、農業用水路として使われていましたが、大雨のたびにあふれた多摩川が逆流し、しばしば水害が起こったため、その対策として六郷水門が造られました。


(左)右手にある赤レンガの小屋は六郷排水機場。(右※フィルム)水門堤防の欄干には、旧六郷町の町章があしらわれています
昭和期になり宅地化が進むと、排水用に使われていた用水路が大雨であふれるようになり、下水道が整備されるまでの間、六郷排水機場とともに「排水」という大きな役割を果たす水門でした。六郷水門は、周辺に暮らす人々の生活には欠かせない存在となったのです。


1931年に完成した六郷水門
六郷水門は国内の水門で唯一、ドイツ表現主義の影響を受けたデザインである点などが評価され、土木学会選奨土木遺産に認定されています。TVアニメの舞台にもなっており、聖地巡礼で訪れた人は、アニメで見た美しい水門がリアルに存在することにびっくりされるとか。
ここからは多摩川河川敷の散策です。


サイクリングロードなので自転車には注意を ※下フィルム
箱根駅伝のルート上に架かるものとしても知られる、六郷橋(新六郷橋)が見えてきました。この付近にはかつて徳川家康が多摩川に架けた東海道の要所、六郷大橋があったそうです。何度も流された結果、1688年以降は橋を再建せず、渡し船の「六郷の渡し」が人々の往来を支えました。


六郷橋の欄干には渡し舟のモニュメントがあります
大正になって、コンクリート製でタイドアーチ型の六郷橋がようやく完成。交通量が増大したため1987年には現在の六郷橋に架け替えられましたが、旧六郷橋の欄干と親柱は、橋のたもとにある宮本台緑地に移設されています。


宮本台緑地に残された旧六郷橋の一部
さて夕焼けまで時間があるので、もう少し上流に向かいましょう。


「JR線と京急本線と併走する」と鉄道ファンに人気のスポット ※フィルム
多摩川緑地公園が見えてきました。ここは通称「バイオリン公園」です。


砂地のデザインがバイオリンのように見えます
ここでいったん河川敷へ。大田区民であれば見逃せないスポットに立ち寄ります。神奈川との県境にあるので、区民の皆さんはなかなか見たことがないかも?


京浜東北線の車窓からは、大田区の文字と区章が確認できます
多摩川第2野球場のすぐ近くに「大田区」の文字をかたどった花壇が!ここまで来たらぜひ観賞を。では日が沈むのをしばし待ちましょう。


川崎のビル群に沈み始める太陽 。子どもたちも家路を急ぎます
上流へ進めば、夕焼けに映える富士山も収められますが、六郷土手駅からかなり離れてしまうので今日はここまで。時間があればぜひ、富士山とのコラボレーションも狙ってみてください。

スマホでもフィルム風に!


フィルム調に編集ができるスマートフォンアプリを使えば、カメラがなくても楽しめます。お気に入りの加工を見つけて、写真を楽しみましょう。雰囲気を出すコツは、粒子(ザラザラとしたノイズ)を少し強めにすること。これだけで雰囲気がグッと良くなりますよ。


左が加工前、右がアプリ加工後

大田区の今昔に触れる散策となった、今回の特集はいかがでしたか。

大田区内にはまだまだ注目のスポットがたくさんあります。あなただけの「おおた推し」スポットを見つけてみてください! 見つけたスポットは、ぜひSNSへ投稿を。その際は#uniqueotaをつけてくださいね!

大田区シティプロモーションサイトUniqueOtaでは、「他にはない、大田区ならではのユニークな場所と出会えるまち」を合言葉に、区内のさまざまな魅力を発信中です。

ぜひ、あなたの興味あるコンテンツを探してみてください。次回の特集もお楽しみに!

<参考文献>
『蒲田区概観』『大田区の文化財 第30集 (考古学から見た大田区 横穴墓・古代・中世 資料編)』『六郷用水 大田区まちなみ・まちかど遺産』『日本百名橋』

<協力>
大田区立郷土博物館、大田区教育委員会
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