多摩川の河口近くにある六郷水門まで続く商店街
雑色駅を越えると、水門通り商店街に入ります。こちらは東京都開催の「東京商店街グランプリ」で、隔月で開催されるイベントマルシェ“G-round「地域で描く円と縁」”が2023年にグランプリを受賞しました。道幅が広く歩きやすい通りには、老舗の店舗もちらほら。
第五相模湯❺は夜になるとネオンが輝きます
商店街から公園を抜けると、六郷水門
❻まですぐ。江戸時代に整備された六郷用水は、農業用水路として使われていましたが、大雨のたびにあふれた多摩川が逆流し、しばしば水害が起こったため、その対策として六郷水門が造られました。
(左)右手にある赤レンガの小屋は六郷排水機場。(右※フィルム)水門堤防の欄干には、旧六郷町の町章があしらわれています
昭和期になり宅地化が進むと、排水用に使われていた用水路が大雨であふれるようになり、下水道が整備されるまでの間、六郷排水機場とともに「排水」という大きな役割を果たす水門でした。六郷水門は、周辺に暮らす人々の生活には欠かせない存在となったのです。
1931年に完成した六郷水門
六郷水門は国内の水門で唯一、ドイツ表現主義の影響を受けたデザインである点などが評価され、土木学会選奨土木遺産に認定されています。TVアニメの舞台にもなっており、聖地巡礼で訪れた人は、アニメで見た美しい水門がリアルに存在することにびっくりされるとか。
ここからは多摩川河川敷の散策です。
サイクリングロードなので自転車には注意を ※下フィルム
箱根駅伝のルート上に架かるものとしても知られる、六郷橋(新六郷橋)が見えてきました。この付近にはかつて徳川家康が多摩川に架けた東海道の要所、六郷大橋があったそうです。何度も流された結果、1688年以降は橋を再建せず、渡し船の「六郷の渡し」が人々の往来を支えました。
六郷橋の欄干には渡し舟のモニュメント❼があります
大正になって、コンクリート製でタイドアーチ型の六郷橋がようやく完成。交通量が増大したため1987年には現在の六郷橋に架け替えられましたが、旧六郷橋の欄干と親柱は、橋のたもとにある宮本台緑地
❽に移設されています。
宮本台緑地に残された旧六郷橋の一部
さて夕焼けまで時間があるので、もう少し上流に向かいましょう。
「JR線と京急本線と併走する」と鉄道ファンに人気のスポット ※フィルム
多摩川緑地公園
❾が見えてきました。ここは通称「バイオリン公園」です。
砂地のデザインがバイオリンのように見えます
ここでいったん河川敷へ。大田区民であれば見逃せないスポットに立ち寄ります。神奈川との県境にあるので、区民の皆さんはなかなか見たことがないかも?
京浜東北線の車窓からは、大田区の文字と区章が確認できます
多摩川第2野球場のすぐ近くに「大田区」の文字をかたどった花壇
❿が!ここまで来たらぜひ観賞を。では日が沈むのをしばし待ちましょう。
川崎のビル群に沈み始める太陽⓫ 。子どもたちも家路を急ぎます
上流へ進めば、夕焼けに映える富士山も収められますが、六郷土手駅からかなり離れてしまうので今日はここまで。時間があればぜひ、富士山とのコラボレーションも狙ってみてください。
スマホでもフィルム風に!
フィルム調に編集ができるスマートフォンアプリを使えば、カメラがなくても楽しめます。お気に入りの加工を見つけて、写真を楽しみましょう。雰囲気を出すコツは、粒子(ザラザラとしたノイズ)を少し強めにすること。これだけで雰囲気がグッと良くなりますよ。
左が加工前、右がアプリ加工後
大田区の今昔に触れる散策となった、今回の特集はいかがでしたか。
大田区内にはまだまだ注目のスポットがたくさんあります。あなただけの「おおた推し」スポットを見つけてみてください! 見つけたスポットは、ぜひSNSへ投稿を。その際は#uniqueotaをつけてくださいね!
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<参考文献>
『蒲田区概観』『大田区の文化財 第30集 (考古学から見た大田区 横穴墓・古代・中世 資料編)』『六郷用水 大田区まちなみ・まちかど遺産』『日本百名橋』
<協力>
大田区立郷土博物館、大田区教育委員会