龍子の「生きものたち」が大集合!
会期:2026年6月20日(土)~2026年8月23日(日)
本展は、生きものをテーマに、日本画家・川端龍子(1885-1966)の作品を紹介しています。 龍子が自宅で共に過ごした愛犬・ムク🐕や庭園内の池に住むカエル🐸など、日々の暮らしで観察した生きものたち。 想像の翼を広げた作品世界では、渦巻く鳴門の渦潮に白龍を、日の出を迎える雲海に駆ける白馬を見出しました。また、中尊寺金色堂に納められた棺の周囲を色とりどりの蛾🦋が舞う、幻想的な光景も描かれています。 会場では、龍子の描いた茶目っ気溢れる「河童シリーズ」をはじめ、かわいくておもしろい、そんな生きものたちが皆さまをお待ちしております。 |
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龍子の暮らしを彩る生きものたち
龍子は1920年から、現在の龍子記念館の向かいに位置する龍子公園の敷地に1966年に亡くなるまで暮らし、そこを終の棲家としました。家族と共に日常生活を過ごし、画業に明け暮れた龍子の生活には、様々な生きものたちが登場します。
龍子自宅の庭には当時、ギボウシやホウセンカ、オモダカなどの植物が生い茂り、緑豊かな様子がうかがえます。その中に一匹、茶色い毛並みの犬が、庭の隅に置かれた甕に水を飲みにやってきた一場面を切り取った作品《立秋》(1932年)が、展覧会最初に出品されています。水を飲みながら、こちらに視線をやる犬は龍子の愛犬のムク。その愛されぶりは、自分自身や弟子に厳しい龍子が、たとえアトリエで制作中であっても、ムクが顔をのぞかせると制作の筆を置き蚤をとってやったというエピソードも残るほどです。

川端龍子《立秋》1932年、大田区立龍子記念館蔵
また、龍子はスケッチのために70を過ぎた身であっても全国各地を訪れる生活をしていました。現在でも青森の名所である奥入瀬渓流、その中で最も激しい流れを見せる景勝地を描いた《阿修羅の流れ(奥入瀬)》(1964年)は、龍子79才の年の作品です。車で現地付近には到着しつつも、渓谷の豊かな自然に刺激され、足を患いつつも車を降りてまでスケッチをしたそうです。奥入瀬の激しい水流が示す「動」と中央に留まる一匹の黒蝶の「静」の対比で画面が構成されています。 |
川端龍子《阿修羅の流れ(奥入瀬)》1964年、大田区立龍子記念館蔵
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自然や事物から想像の世界を広げて
次にご紹介するのは、鳴門の渦潮を描いた《渦潮》(1956年)と富士山頂から日の出を描いた《御来迎》(1957年)です。《渦潮》は四国遍路で実際に目にした幾重もの渦のなかに白龍を見出し、鳴門の伝説に登場する龍神のモティーフも組み合わせて完成し、龍子の豊かな想像力が示された一作となっています。そして、翌年1957年には、海を舞台とした《渦潮》の対照作として、空を舞台とする《御来迎》を描きました。雲海を馬が駆ける様子として龍子が描いた背景には、ギリシャ神話の女神のモティーフがあります。富士山における日の出という日本的な主題に、西洋神話の要素を取り込んだ本作の独自性が見られます。 |
展覧会の最後を彩るのは「河童シリーズ」。記念館に何度か来られたことのあるお客様の中には、龍子といえばカッパとおっしゃっていただくこともあるほど多くのファンがいるシリーズとなっています。龍子の作品では、時勢に合わせて人間社会の様々な出来事を演じるカッパたちが登場します。薄暗い酒房で熱い視線を送りあう男女のカッパ、衣装からポーズまで拘って観音や菩薩に扮するカッパ、頭上に王冠を掲げ赤のマントに身を包んだ麗しいミス・カッパなど、ついくすっと微笑んでしまうようなユーモアと、それでいて描かれた時代背景をうかがい知れる見応えのあるシリーズとなっています。 |
河童シリーズ作品が並ぶ会場風景 |
この他にも、俳人・高浜虚子と四季折々の生きものを描いた《花鳥諷詠》(1954年)や中尊寺金色堂内の棺の周囲を蛾が舞う《夢》(1955年)、雪景色の龍子邸の庭に一羽の鳥がとまる《炎庭想雪図》(1935年)など、生きものという切り口で多彩な作品が出品されております。
見て楽しい!読んで楽しい!「ふむふむガイド」の初登場
ふむふむガイド 本展では、大人の方も子どもの方も皆さまで楽しんでいただける鑑賞ガイド「ふむふむガイド」が登場しております。大人の方には絵を知るうえでの入門編、子どもの方には絵に触れるきっかけとなるような。読むと思わず「ふむふむ」と言ってしまいたくなる、絵を見るヒントが盛りだくさんです。ぜひ一緒に「ふむふむ」しながら本展をお楽しみいただけたら幸いです。
本展は、8月23日(日)まで。龍子の世界を彩った生きものたちを、ぜひお楽しみください。
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