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【特集】クリエイティブなまち蒲田は 学生が地域で活躍中!東京工科大学&日本工学院専門学校

大田区蒲田にキャンパスを構える東京工科大学と日本工学院専門学校では、地域や企業と積極的に連携し、社会課題の解決に向けた実践的な学びを推進しています。学生たちのアイデアを形にする「公民連携」や「産学連携」の取り組みを紹介します。

若きクリエイターたちの学びと実践の場! 東京工科大学&日本工学院専門学校

今回訪れたのは、JR・東急蒲田駅から徒歩2分ほどの場所にある、東京工科大学と日本工学院専門学校の蒲田キャンパス。両校とも学校法人片柳学園が運営しており、大学と専門学校が同じキャンパスに共存している点が特徴です。大田区と片柳学園は包括連携協定を締結し、公民連携の取組を進めています。


「大田区連携デザインプロジェクト」で地域課題に挑む 東京工科大学


はじめに訪れたのは、東京工科大学デザイン学部。

東京工科大学は、理工・文理・医療・芸術分野を幅広く学べる大学として、実学主義教育を掲げ、研究や開発などにおける地域連携や産学連携を積極的に行っています。ここでは、デザイン学部と教養学環が大田区と連携して実施している課外活動「大田区連携デザインプロジェクト」の様子を紹介します。

東京工科大学と大田区が行う「大田区連携デザインプロジェクト」では、地域が抱える課題をテーマに、学生たちがデザインを活用した解決策を提案します。この取り組みは、2025年度から新カリキュラムの一環として正式に授業として開講される社会連携実習に活かされるものです。

昨年度、試験的に少人数のワークショップ形式で実施した取り組みでは、学生たちの積極的な姿勢や提案が好評を得ました。この成果をもとに、2024年度は規模を拡大。8月より全16回の日程で、地域・行政と共に実社会の課題解決を目指す新たなデザイン教育の形を模索しています。

本年度のプロジェクトには、主に2年生と3年生の有志12名が参加。「地域に愛される橋づくり(建設工事課と連携)」「男女共同参画を知ってもらおう(人権・男女平等推進課と連携)」「美しい集積所をめざして(清掃事業課・蒲田清掃事務所と連携)」の3つのテーマに分かれて、プロジェクトに取り組んでいます。



取材当日は中間発表の日で、学生たちから大田区の職員へのプレゼンテーションが行われていました。グループごとに、これまでの活動に基づいたリサーチ内容をもとに進捗状況を発表し、その後、職員との話し合いを通じて解決策の提案に向けた活動の方向性を決定しました。



「デザインは単なる表現の手段ではなく、社会の課題を解決するための手段となります。学生たちには、社会連携のプロジェクトを通じて、この本質をしっかりと理解してほしいと考えています」とデザイン学部長の酒百さかお宏一教授は話します。

印象的だったのは、学生たちが課題を深く掘り下げて、真剣に議論していた姿です。デザインを解決策として提案する前に、フィールドワークや住民、行政職員へのアンケート、聞き取り調査などを通じて課題をしっかりと理解します。提案した解決策が現実的かどうかを行政職員から厳しく指摘されることもありますが、そのフィードバックを受けて、解決策の提案をさらに改善していきます。



「デザインにおいて、他者と協力しながら一緒に作り上げていく『共創』のプロセスは非常に重要です。大田区の職員の皆様とのやりとりそのものが、学生にとって貴重な学びの機会となっていると感じます」(酒百教授)

学生ならではの視点が、区民サービスのさらなる向上に活かされる日が楽しみですね!


東京工科大学 デザイン学部長 酒百宏一教授

2024年度「大田区連携デザインプロジェクト」で扱ったテーマ


◇地域に愛される橋づくり(建設工事課と連携)


「橋梁」の魅力や維持・管理の重要性を地域に発信し、新たな価値を創造することを目指しています。中間発表では、学生たちは現地調査や住民へのインタビューを通じて、地域生活に密着した橋の利用や思い出を収集し、愛される橋の共通要素を分析。橋を身近に感じさせるライトアップなどの具体的なアイデアを検討しました。


現地に赴いてのフィールドワーク(上)と商店街での聞き取り調査の様子(下)

◇男女共同参画を知ってもらおう(人権・男女平等推進課と連携)


幅広い世代に「男女共同参画社会」の実現を促す周知啓発方法を検討するプロジェクトです。最終的な発表では、おおた区報「男女共同参画特集号」の内容とデザインについて、若い世代や中高年世代に親しみやすいアイデアを提案します。中間発表では、文献調査や施設訪問を通じて現状と課題を分析し、「男女共同参画」がすべての人にとって重要な課題であるという気付きを得ました。



◇美しい集積所をめざして(清掃事業課・蒲田清掃事務所と連携)


ごみ集積所のマナー違反を防ぎ、地域の景観や価値を保つ手法を検討しています。中間発表では、現状の問題点を調査し、特に、文化や言語の違いのある外国人住民へのマナー周知について注目。住民間のルール共有と集積所の美化につなげるためのアイデアを検討しました。



「自動運転バスのラッピングデザイン」プロジェクト 日本工学院専門学校


続いて向かったのは、日本工学院専門学校デザインカレッジデザイン科。

日本工学院は、34学科99専門コースを設置する総合専門学校で、「若きつくりびと®」というスローガンのもと、77年の歴史を通じて産学連携や地域連携を積極的に推進しています。

今回取材させていただいたのは、デザイン科の学生たちが取り組んだ「自動運転バスのラッピングデザイン」プロジェクト。3年生の学生4人が、京急バスが2025年1月下旬から約1ヶ月間実施する自動運転バスの実証運行で使用されるバスのラッピングデザインを手がけました。

プロジェクトの目標は、近い未来に普及が進む自動運転技術の社会受容性向上と理解促進です。学生たちは、羽田イノベーションシティで自動運転バスに実際に乗車し、その体験をもとにアイデアを練り、デザインを進めました。

全長6メートルを超えるバスの四方を飾るため、どの角度から見ても美しく、意図がしっかりと伝わるデザインが求められたことは、これまでのプロジェクトにはなかった新たな挑戦です。地域性や自動運転バスのイメージアップに繋がる以下のようなデザイン案が提案されました。


大田区のシンボルである梅の花や羽田空港の飛行機を取り入れ、タイポグラフィで自動運転であることをわかりやすく表現しました(高橋青蓮さん)

空港や工業地帯、商店街まで、多彩な活気にあふれる大田区の魅力をカラフルに表現しました(石川翔大さん)

自動運転という新しい技術に安心感や親しみを持ってもらえるような柔らかさを感じるデザインを意識しました(安倍松咲良さん)

ものづくりのまち・大田区らしさを、子連れファミリーにも親しんでもらえるようなおもちゃ工場のようなイメージで盛り込みました(宇田成美さん)


この後、デザイン案は鈴木晶雅大田区長へのプレゼンテーションを経て選定されました。


採用されたラッピングバスは、2025年1月24日(金)から2025年2月23日(日)まで、天空橋駅や大鳥居駅などを結ぶ約4.2キロの区間を走行しました
「学生たちにとって、対外連携のプロジェクトは、これまで学んできたデザインスキルを試す貴重な機会です。自分たちの手掛けたデザインが社会で使われることにより、『作りたい』という思いだけではなく、『誰かの役に立つものを作りたい』という意識が芽生えることを期待しています」とデザイン科参与の鶴田勇一先生は話してくださいました。


日本工学院専門学校 デザインカレッジデザイン科 参与 鶴田勇一先生

他にもこんな連携授業を行っています!


◇ITカレッジ
情報ビジネス科 ホテル・観光コース/秘書・事務コース/eビジネスコース
「ホテル オリエンタル エクスプレス 東京蒲田産学連携コラボレーション企画」


2020年より毎年実施されている、学生が宿泊プランを考え、ホテルへのプレゼンテーションを行うプロジェクト。選ばれたプランは実際に販売され、ポスターや告知POPなどの掲出物制作やSNS配信でのPR、特典アイテムの選定、店舗への交渉などの経験を得て、貴重な学びを得ることができます。

本年度は『人類癒し計画 ~風呂キャンセル界隈をなくしたい~』『梅のおもてなし』の採用を決定。学生たちにとって、案を出す、意見をまとめる、交渉する、期限を守るといった社会で求められる力を実践的に学ぶ機会となっています。



◇テクノロジーカレッジ 機械設計科
「宇宙で暇つぶし」グッズの制作


矢口、下丸子を中心に活動する中小事業主の事業協同組合『工和会協同組合』のサポーターとともに、「宇宙で暇つぶしをするためのグッズ」をテーマにアイテムを制作。無料で手に入る素材や廃材を活用し、電池を使わずに動くグッズを作成して、オープンファクトリーで展示しました。

「時間がたくさんありそうだけど、持っていける質量にも限りがありそう」などと、宇宙における条件を考慮して制作されたアイテムは、「ヒトの手の動きをトレースするマジックハンド」や「無重力空間で使える3Dピンボール」など、思わず触ってみたくなるものばかり。特に、小学生に好評でした。来場者による投票も行われ、学生たちにとって、「苦労したところが評価されて嬉しい」と達成感を感じられる経験となりました。


「箱根細工を応用した知恵の輪パズル」「ゲーム用スティック」「単極スイッチ」「ハンドスピナー」などの複数の要素を組み込んだ『フィジェットキューブ』(上)。組立てると歯車のからくりによって、宇宙船の模型がくるくる回転する『3Dパズルで作る回る模型』(下)

さまざまな連携を通じて、試行錯誤しながら、学びと実践を繰り返している東京工科大学と日本工学院専門学校の学生たち。若者たちならではの視点が、地域や社会に取り入れられることで、未来の新しい形を描くきっかけとなることを期待したいと思います。

大田区内にはまだまだ注目のスポットがたくさんあります。あなただけの「おおた推し」スポットを見つけてみてください!見つけたスポットは、ぜひSNSへ投稿を。その際は#uniqueotaをつけてくださいね!

大田区シティプロモーションサイト「UniqueOta/ユニークおおた」では、「他にはない、大田区ならではのユニークな場所と出会えるまち」を合言葉に、区内のさまざまな魅力を発信中です。

ぜひ、あなたの興味あるコンテンツを探してみてください。次回の特集もお楽しみに!
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