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【特集】東京モノレールで働くスタッフに直撃インタビュー

皆さんのお仕事について教えてください!

ちょっと特別感のある乗り物「東京モノレール」。開業は1964年10月10日開幕の東京オリンピックを目前に控えた、同年9月17日のことでした。東京モノレールは浜松町から羽田空港までを11の駅でつないでいますが、そのうちの8駅は大田区にあり、区にとって非常に身近な存在です。そんな東京モノレールで働く運転指令室、乗務区、施設区、車両区、羽田空港第1ターミナル駅の5名の方にお集まりいただき、色々とインタビュー!お仕事で大切にされていることやその舞台裏、大田区のお気に入りスポットまで、熱く語っていただきました。

※掲載している情報は公開日時点のものです。あらかじめご了承ください。





 お話を伺ったみなさん
運輸部運転指令室運転指令長
勝浦 大輔さん
運輸部乗務区運転士兼指導掛
高嶋 智美さん
技術部施設区副長代理
出川 智久さん
技術部車両区班長代理
三上 哲さん
営業部羽田空港第1ターミナル駅駅務指導掛
柴崎 里織さん


―― このお仕事に就かれたきっかけは?
運転指令室・勝浦さん:私は駅係員、車掌、運転士を経て現在、運転指令員として勤務しています。運転指令員は、運転士や関係各所へ指示を出しながら、運行する全ての列車の運行管理を行います。さまざまな経験を積むなかで、社内全部署と関わり、その調整役ともなる仕事内容に魅力を感じ、この仕事に就きました。


乗務区・高嶋さん:私は入社時から運転士の仕事に興味がありました。弊社では20歳以上で、駅勤務経験1年以上の者が運転士社内試験を受験できます。それで、駅で3年半勤務したのち、やはり運転士という角度からモノレールの魅力を再発見し、お客さまへ発信してみたいと考え、希望しました。弊社には女性の運転士も5名います。私はまだ運転士4年目で若いほうですが、とてもやりがいを感じています。同じ日は一日としてなく、今でも毎日が発見ですね!

施設区・出川さん:元々、鉄道やバスなどの公共交通機関への就職を希望していたのですが、大学で土木工学を専攻していたことから、主にコンクリート構造物で構成されているモノレールに興味を持ちました。一般の鉄道のレールは鉄や枕木などで構成されていますが、モノレールのレールはほぼコンクリート。そういう特殊性のあるところにも惹かれました。

豆知識
モノレールについて

・「モノレール」は、レールが1本しかないことから「モノ(単一)レール」という。
・騒音が少なく加減速が得意なゴムタイヤを使用しており、都市上空を走るのに向いている。1両に20個、全6両で計120個のタイヤがついている。

「東京モノレールの最高速度は、国内モノレール事業者の中で最高の時速80キロ。また、列車の追い抜きを行う優等列車(空港快速)も運行する、唯一のモノレールなんですよ」
(運転指令室・勝浦さん)
―― お仕事をするうえで大事にしていること、心がけていることは?
運転指令室・勝浦さん:常に、お客さまと現場社員の安全確保を最優先することを念頭に置き、仕事をしております。お客さまと直接接することがない部署ではありますが、いつも列車内やホームにいらっしゃるお客さまの立場に立って考えるよう心がけています。特にトラブル発生時は列車間隔が開くなど乱れが生じるため、列車種別を変更することをはじめ、列車間隔を調整することにより、車内混雑を回避し、コロナ禍での密もできるだけ避けられるよう、対応に気を配っています。

乗務区・高嶋さん:仕事における勘違いや思い込みをなくすために、指さし確認や大きな声を出して称呼を行うなど、基本動作を大事にしています。大きな声は、後ろに乗られているお客さまの安心感につながればという思いもございます。また細かいところでは、モノレールはゴムタイヤで走行していることもあり、季節や気温等の状況に応じてブレーキをかけるタイミングを変えたりもしています。これは、一般鉄道の運転時にもされていることかもしれませんが……。


羽田空港第1ターミナル駅・柴崎さん:心がけていることは、お客さまとのコミュニケーションですね。お客さまが思う一歩先のご案内ができるよう、アンテナを張ることも大切にしています。例えば「浜松町に行きたい」というご質問をいただいたら、単にお答えするだけでなく、「浜松町は何番線の何色の電車です」など、よりわかりやすくなる情報をプラスしてお伝えするよう意識しています。弊社の場合やはり、「空港でご飯を食べたい」「空港でお土産を買いたい」といったお問い合わせも多いので、空港の施設についても知識に入れておくようにしています。


―― 印象的なエピソードを教えてください。
施設区・出川さん:東日本大震災のときのことです。地震が発生した瞬間は夜勤明けのため、家で寝ていましたが、大変なことになったと思い、自宅から会社まで自転車で向かいました。その日の夜間に全社を挙げて点検を行い、安全が確認されたため、翌朝には始発列車から通常運行を実施できました。空港で身動きが取れずに一夜を過ごされたたくさんのお客さまが、始発列車にドアが閉められないほど乗っていらっしゃるのを見て、始発から運行できて本当によかったと思いました。

羽田空港第1ターミナル駅・柴崎さん:今年は新型コロナウイルス感染症の関係でできませんでしたが、毎年10月に昭和島駅で「モノレールまつり」を開催しています。以前、「モノレールまつり」に参加してくださった親子のお父さまが、息子さんと私を写真に撮ってくださり、後日窓口で写真を渡してくださったんです。そのときはすごくうれしかったですね!

豆知識
モノレールまつり

「モノレールまつり」は昭和島駅の、普段は入ることのできない車両基地内で行われ、保守用車両の試乗体験や整備工場見学、制服を着て運転台に座る体験などができる。各部署がそれぞれに工夫したブースを出し、モノレールに触れ合ってもらう素敵なイベントとなっている。

「車両区のブースでは、廃車になった車両の部品や、施設の古くなった看板などを販売し、鉄道やモノレール好きの方に喜んでいただけました」(車両区・三上さん)
 

「施設区では、レール(軌道桁)の実物大模型を展示しました。軌道桁を間近で見てもらい、その大きさに驚いている様子でした。」(施設区・出川さん)

「運転指令室のブースでは、開業時からの列車ダイヤの経過を展示しました。当初は1時間に数本でしたが、今では15本程度、最高18本ですので、ずいぶん増えましたね」(運転指令室・勝浦さん)

「乗務区のブースでは、運転士になるための適性検査をゲームにアレンジしたものを用意しました。時間内に、マス目にランダムに書かれた数字や色を指示通りに指さすなどの遊びで、なかなか盛り上がりました」(乗務区・高嶋さん)
―― お仕事をしていて充実感を得るときは?
乗務区・高嶋さん:私たち運転士は、お客さまと接する機会はあまり多くありませんが、家族連れのお客さまが車窓から見える風景に感嘆し、モノレールの非日常感を楽しんでいらっしゃる様子を背中に感じられたときや、降車後に手を振ってくださったとき、「楽しかったね」と話されているのを聞いたときなどはうれしくなりますね。

車両区・三上さん:自分が携わっていたものが形になったときですね。車両が検査工程に合わせて入場(工場に入ること)し、発注した部品がきちんと納品されて整備が無事に進み、出場(工場を出ること)していって再びお客さまを何事もなく乗せていく光景を見ると、やりがいを感じます。

羽田空港第1ターミナル駅・柴崎さん:こちらの対応に対し、お客さまに「ありがとう」と感謝していただけたときですね。また、これも今は新型コロナウイルス感染症でできていないのですが、これまでは色々なイベントを企画・運営していました。例えば、お客さまにコメントを書いていただく場を設けたり、改札内が広い羽田空港第2ターミナル駅で夏祭りをしたり、吹奏楽のバンドをお呼びして「モノレールコンサート」を開いたり。こうした、駅を盛り上げようと企画した案が無事に行われたときは、本当にうれしかったです。


―― 1日のスケジュールを教えてください。
乗務区・高嶋さん:大きく分けて日勤と泊まり勤務があり、行路(その日の担当)によって出勤時間はバラバラです。昭和島駅(運転士の詰め所)から1日の仕事が始まり、浜松町駅から羽田空港第2ターミナル駅の間を、「普通」「区間快速」「空港快速」の列車種別に従って乗務する車両を変え、交替をしながら乗務しています。

施設区・出川さん:夜間作業の仕事は列車の運行中はできないため、全車両が車庫に入った0時半過ぎから、4時頃までの、約3.5時間で作業を終えなければならないので、そこがなかなか大変ですね。


―― 50年間無事故とお聞きしています。日ごろ気を付けていらっしゃることは?
運転指令室・勝浦さん:地上を走る一般鉄道とは違い、高所を走る特殊な鉄道であることを認識し、そのうえでの安全対策やトラブル発生時のリスク管理を念頭に置いて業務するようにしています。モノレールは高所を走るため、何かあっても駅と駅の間に列車を止めることはできません。異常時などは必ず最寄り駅に止め、お客さまをホームに降車させて避難していただくことになります。そうした事態にならぬよう常に注意を払ったり、訓練したりするようにしています。

車両区・三上さん:何事にもチームワークを大切にして業務にあたることを心がけています。私たちの部署では1,000以上の部品を扱っていますが、その部品を発注するにも、管理するにも、関係各所との連携が必須です。また、台風や降雪などの荒天時などはイレギュラーな業務が発生することがあり、昨年(2019年)の台風15号接近時も大変でした。でも、お互いに助け合いながらチームワークを重んじることで、無事に対応することができました。


―― 東京モノレールのPRをお願いします。
乗務区・高嶋さん:「乗って楽しい&見て楽しい 東京モノレール」をこれからもよろしくお願いします!モノレールは移動手段としての魅力もさることながら、やっぱり車窓がすごいんです。都心のビル群を抜けると水辺に出て、最後はキラキラする空港に着く。朝と夜で表情も違います。夜は今、大井競馬場前駅のそばの橋がライトアップしていてとてもきれいですよ!また、この辺りは水辺が多いので水の上から、カヌーや船からモノレールを眺めてもいいし、モノレールは首都高速と並走しているところがあるので、ドライブ時、助手席からそれを眺めてもらっても楽しいかなと思います。

車両区・三上さん:弊社のモノレールは現在、1000形、2000形、10000形の3形式あり、カラーリングも豊富という、全国のモノレールの中では珍しい形態で運行しています。最近では、さまざまなラッピングを施した車両も走っています。ぜひ、そうしたところにも注目してみていただければと思います。

豆知識
ラッピング車両

東京モノレールでは時期によって車両に様々なラッピングを施しています。少し前には「ポケモン」、そして今は「キキ&ララ モノレール」の車両が走っていますよ。
また、モノレールの座席には、公式キャラクターの「モノルン」も。いろんな表情で皆さんをお待ちしているので、ぜひ見つけてみてください!
【モノルン】
「幸せの青い鳥」であるモノルンは、よく沿線近くの干潟にひなたぼっこをしにいっているのだそう。好きな食べ物は「こうや豆腐」。

大田区のおすすめスポットを教えてください!

―― 大田区内の好きな駅は?
運転指令室・勝浦さん:車両基地である「昭和島駅」です。付近に民家はなく、ほかにはないような雰囲気があり、“都会の中の秘境駅”という感じがいいなと思っています。

羽田空港第1ターミナル駅・柴崎さん:私自身が乗り換えしている駅ということもあり、「天空橋駅」ですね。消防審査会に出場した際に空港分署の皆さまにお世話になり、この駅で暑い中つなぎを着て練習した思い出も。あと、駅名がおしゃれだなと。名前だけ聞いていると「果たしてどこに行く駅なんだろう」っていう感じもしますし。

乗務区・高嶋さん:私も「天空橋駅」です。今のまったりした雰囲気も好きですが、羽田イノベーションシティができ、これからどんどん変わっていくんだろうなって言う、その変化を見ていくのが楽しみです。足湯デッキもあり、そこからモノレールが走っているのも見えるので、個人的に何度か行っていて、かなりイチオシの場所です。

2020年7月3日に開業した羽田イノベーションシティ


―― 路線沿線のお気に入りスポットは?
施設区・出川さん:羽田空港第1・2ターミナル駅から出発すると、しばらくトンネル内を走るんです。そのトンネルを抜けて地上に出る瞬間がおすすめです。天気が良ければ左に川崎の工業地帯、ほぼ正面に富士山、右に空港ターミナルや、日によっては東京スカイツリー®も見えるので、モノレールの景色の良さを満喫できるスポットだと思います!

乗務区・高嶋さん:昭和島駅にある、待避線(※)に切り替えをするポイントが好きです。幅80㎝、高さ140㎝のレール(軌道桁)がガッと動く瞬間はなかなか見物です。羽田空港行きの場合、普通列車の一番前の車両に乗れば、快速が通過するときに見られますよ。あと、森ヶ崎水再生センターの屋上にある「森ヶ崎公園」も、特殊な感じが面白くて好きです。
※待避線とは:単線の鉄道などで、他の列車が通過するのを待つための線路。日本で唯一、普通列車を追い抜く優等列車(空港快速)を運行している東京モノレールでは、昭和島駅に待避線が設けられています。

森ヶ崎公園
園内にある展望台からは羽田空港を望むことができる。


―― 路線沿線以外の、大田区お気に入りスポットを教えてください。
施設区・出川さん:多摩川駅近くの「多摩川台公園」と「田園調布せせらぎ公園」には、自宅から自転車で行けるので、子どもを連れてよく遊びに行ったりします。近くには「多摩川浅間神社」もあり、桜が綺麗なんです。ここの見晴台からは富士山が見えることもありますよ。あとは、多摩川台公園から少し上流側に行ったところにあるおでん屋さん「グランド小池商店」もおすすめです。その昔、多摩川の河川敷に巨人軍のグラウンドがあり、選手たちの行きつけのお店だったようで、色紙や写真、ゆかりの品がたくさん飾ってあったりして。知る人ぞ知るお宝スポットかなと。

車両区・三上さん:私は「大田市場」ですね。以前、夜勤明けにふらっと立ち寄ったことがあるんですが、新鮮な魚介を扱った定食を市場内のお店で食べられたりして、すごくよかったです。こんなスポットがすぐ近くにあるのも、大田区の魅力ですよね。

羽田空港第1ターミナル駅・柴崎さん:私は、JR蒲田駅と京急蒲田駅の間にある「京浜蒲田あすと商店街」が、風情があってお気に入りです。この辺りって開発が進んで、おしゃれなスポットも増えているんですが、「あすと」は昔ながらの雰囲気が残されていて、お惣菜を安く買えたり、皆さんの優しさを感じられたりするところが、とても好きですね。

多摩川台公園(左)と大田市場(右)

羽田空港まで迷わず行けるという移動手段としての魅力だけでなく、乗る楽しみや見る楽しみ、その他さまざまな魅力など、普段はうかがい知れない東京モノレールの秘密がわかり、大変興味深かったですね!皆さんもぜひ、いろんな側面から東京モノレールを楽しんでみてくださいね。

東京モノレール公式サイト:http://www.tokyo-monorail.co.jp/
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