大森山王ブルワリーは、2019年に生まれた大森発信のクラフトビールメーカーです。誰もが好きなビールを「核」にして大森を盛り上げ、大森を楽しむことがコンセプトです。大森柳本通り商店街にある大森山王ビール専門店「
Hi-Time」代表の町田佳路さんを訪ねました。
――町田佳路さん:
大森山王ブルワリーは、大森でビールを作っているわけではありません。元々私はウェブ制作の仕事をしていました。大森柳本通り商店街のHPのリニューアルを手掛けたのが縁でイベントを企画するなど、地域と深く関わるようになりました。その後、思いついたのがビールを入り口にした地域おこしです。2018年に大森山王ビールの前身、SunNo.808を完成させました。それから大森のまちの歴史を学び直すなどしてさらに強力なコンセプトを構築し、2019年に完成させたのが大森山王ブルワリーと「
NAOMI」、「
GEORGE」です。
現在販売しているビールは7種類。谷崎潤一郎の『痴人の愛』の登場人物ナオミと譲治をイメージとした「NAOMI」、「GEORGE」、かつて馬込文士村に住んだ村岡花子の『赤毛のアン』をモチーフとした「
AN」など、いずれも大森ゆかりの物語を持つネーミングと、インパクトのあるパッケージデザインが特徴です。
これらの大森山王ブルワリーのビールが全てテイクアウトできるのが「Hi-Time」です。
ここは元々、閉店した地元のスーパー「カドヤ食品」の駐輪場でしたが、そこを気軽に立ち寄れるビールスタンドにしたのです。店頭の持ち帰りカウンターは、実は古いリヤカーをペイントしたものです。近いうちに大森のまちへ移動販売もしてみたいと思っています。量り売りして持ち帰ることができるビール用水筒「グラウラー」も用意しました。これにビールを入れて家で飲むのもよし、まち歩きしながら飲むのもよし。いろいろな楽しみ方を味わってほしいと思います。
われわれは、大森地域での人と人との関係作り、コミュニティ作りが主目的。地ビールはそのための手段であるというのが基本姿勢です。そんなコンセプトのもと、2023年4月から大森駅東口駅前広場で月に1度「
OMORI KAORU MARKET」と銘打ちイベントを開催しています。大森山王ブルワリーもビールで出店しますし、ビールに合うおつまみや、ハンドメイド品、親子で楽しめるワークショップや音楽ライブなど盛りだくさんです。地域の方々を巻き込んだ定期イベントとして定着していければと思っています。ぜひ皆さんもお越しください。
「ゆくゆくは大森に醸造所を持ちたい。だけどそれがゴールではありません」と町田さん