洗足池エリア食べる

【特集】大人気メニューも生み出した! 大田区の学校給食

1月24日から30日は「全国学校給食週間」。毎年この時期、全国の学校で給食の意義や歴史を振り返る取り組みが行われています。

大田区ではこの期間をさらに広げ、1月24日から2月6日(海苔の日)までを『大田区学校給食週間』として独自に設定。大田区発祥の人気メニューや地域にゆかりのある食材が登場し、こどもたちに学校給食にまつわる食文化を伝えています。

今回は、その活動と給食を支える人たちの思いに迫ります。

みんな大好き「あげパン」の意外な誕生秘話

大田区学校給食週間の期間中、こどもたちが心待ちにしているメニューのひとつが、給食の定番「あげパン」です。


あげパン提供日の給食の例
あげパンのルーツは大田区にあることをご存知でしょうか? 1952年(昭和27年)頃に、学校を欠席した児童に届けるパンを「おいしく食べられるように」と、区内の嶺町小学校の調理員さんが考案したのが始まりでした。

油で揚げて砂糖をまぶしたあげパンは評判となり、1954年(昭和29年)に、六郷小学校の献立として正式に採用された記録があります。



現在、大田区の給食で提供されているあげパンは、砂糖だけではなく、きなこ、シナモン、ココア、ごま、お茶と味のバリエーションも豊富。2024年(令和6年度)には食べたい味を決める「あげパンコンテスト」も実施され、全校投票でココア味が1位になりました。70年前に生まれた思いやりの味が、今もこどもたちの笑顔につながっているのですね。

こどもの声から生まれたご当地メニュー「たこぺったん」

大田区学校給食週間では、もう一つの名物メニュー「たこぺったん」も登場します。


たこぺったん(右下)
たこぺったんは、1995年(平成7年)頃に「給食でたこ焼きを食べたい」という生徒の声をうけ、区内の中学校に勤務していた栄養士の尾形さんが生み出したオリジナルメニューです。

タコ、ねぎ、キャベツ、コーン、大豆を生地と混ぜ合わせ、火がしっかり通るようにひとつずつ“ぺったんこ”に押しつぶして揚げたのが名前の由来。仕上げにソースと青のりをかければ、その香りはまさにたこ焼きです!

その後、区内の小中学校で親しまれ、2014 年(平成25年度)の「成人のつどい」のアンケートでは、「たべたい懐かしい給食」の1位に選ばれるほどの人気ぶりでした。

近年は、区内の志茂田小学校とイトーヨーカドー大森店が協業して、「たこぺったん」を有名にするプロジェクトも実施しています。イトーヨーカドー大森店でのレギュラー販売や、1月29日(いちばんのにんきゅうしょく)を『たこぺったんの日』として区長と教育長に提案するなどの取り組みを、特別授業『おおたの未来づくり』の学習の一環で行っています。

海苔のふるさとならではの「海苔の日」の献立

大田区学校給食週間の最終日となる2月6日(海苔の日)には、海苔を使った献立が提供されます。


海苔の日の給食の例
大田区大森周辺は、古くから海苔養殖が盛んだった地域。現在も多くの海苔問屋が営業しており、大田区は「海苔のふるさと」として知られています。

現在、養殖は行われていませんが、香り豊かな海苔を味わえる献立を通じて、こどもたちが地域の歴史に触れられる機会となっています。


大田区の学校給食キャッチフレーズを作成


あげパン、たこぺったん、海苔を使った献立――。大田区ならではの味と歴史を詰め込んだ給食のキャッチフレーズを考えました。



区では、このキャッチフレーズを、学校給食の特色を広く知ってもらうためのPRにも活用しています。

見えない場所で、給食を支えている人たちに
お話を聞きました!

こどもたちが安心して食べられるよう、さまざまな工夫が重ねられている学校給食。その裏側を支えているのは給食室だけではありません。

大田区東雪谷に本社を構え、70年以上にわたり学校給食の食材の供給に携わってきた食品卸売会社 黒光商事株式会社の皆さんにお話をうかがいました。


黒光商事株式会社代表取締役の松本吉広さん(中央)、営業部・製造部・商品開発室次長の近藤裕二さん(左)、営業部・商品開発室課長代理で管理栄養士の原田美那さん(右)
Q:学校給食向けの食材卸とは、どのような事業なのでしょうか?

松本さん:当社では大田区内の小中学校をはじめ、東京都や神奈川県の学校に、給食用の食材をお届けしています。学校給食に食材を納める事業者はたくさんありますが、実は学校給食に特化した卸売会社は非常に珍しい存在です。


大田区に本社を構える黒光商事株式会社。全国でも珍しい学校給食専門の卸売会社です
創業は1959年(昭和29年)、『学校給食法』が施行されたその年です。戦後の食糧不足のなか、こどもたちに栄養のある給食を届けるため、良質な食材を安定供給する目的で事業が始まりました。

創業者の一人は元教員で、原点に「こどもの健康を、給食から支えたい」という思いがあったと聞いています。当社では、今でもその思いを引き継ぎ、「こどもが口にするもの」を扱う責任を強く意識しながら、日々食材をお届けしています。

Q:学校給食ならではのこだわりはありますか?

近藤さん:一番重視しているのは 「安全性」 です。放射能検査や細菌検査はもちろんのこと、バイヤーが全国の生産地に足を運んでお話をうかがい、育て方や環境を自分たちの目で確かめています。調味料や加工食品も「できるだけ添加物を抑えたもの」「こどもが毎日口にしても安心なもの」を選んでいます。

例えば、力を入れている食材のひとつに「学給とり(がっきゅうとり)」があります。これは、学校給食のために飼育方法から見直してつくられた特別な鶏肉で、抗生物質や抗菌剤を一切使わず、できるだけストレスをかけない環境で育てられているため、味や食感もひと味違います。


こだわりの鶏肉「学給とり」は、自社の加工設備にて給食に使いやすいサイズに切り分けられてから各学校に届けられます
一般的な食材よりもコストは高くなりますが、「私たちが届けるものであれば安心だ」と胸を張って言える食材だけを提供することを大切にしています。生産者の皆さまもその思いに共感して、力を貸してくださっています。


配送前のピッキング作業などが行われる倉庫の様子(神奈川県川崎市)。大型の冷蔵庫や冷凍庫(−20・37℃の2段階)を備え、品質の劣化を防いでいます(画像上)。みかんは、一つひとつ目視で検品されていました(画像下)

翌日、各学校へ届けられる食材が並ぶ保管庫(画像上)。午前中の早い時間に納品する必要があるため、配送準備は朝5時からスタートします
Q:食育活動にも力を入れているそうですね。

松本さん:学校からご依頼をいただき「出張授業」を行っています。1・2年生の生活科と連動した「とうもろこしの皮むき」、5年生の社会科と連動した「天然と養殖の魚を学ぶ授業」などです。授業で扱った魚や野菜は、その日の給食として提供されます。


5年生の社会科と連動した授業。「天然」と「養殖」の鯛の違いを見分けられるようになるそう
授業では、私たちが食べているものが“命”であることを伝えることも大切にしています。

現代は、野菜や家畜の生育過程を目にする機会がほとんどありません。だからこそ、当社社員には、食材の向こう側にある“命”を扱う現場――畑や家畜の飼育場、食肉の加工場といった場所を訪れる機会を設け、食材の背景を知ることを大切にしています。

私たち自身が「命をいただいている」ことを実感できてこそ、こどもにも「いただきます」という言葉に込められた本当の意味を伝えられると考えています。

Q:今後のビジョンを教えてください。

原田さん:家庭では魚を焼いたり、ひじきや切り干し大根を使ったりする機会が減っています。こうした状況が続くと、国産食材の生産自体が立ち行かなくなる可能性があります。そのため、今後は、給食が和食文化をつないでいく役割を担うことも重要だと考えています。


採れたて野菜が入荷。地産地消や給食に適した生育管理など、農家との連携にも力を入れているそうです
日本の味を未来へつなぐため、栄養士さんが給食の献立を作る際にヒントとなる情報の提供にも力を入れています。こどもたちの毎日を支える給食を通じて、食文化を未来へ手渡す一助になれればと思っています。


大学と連携した“体にやさしい給食”づくり


大田区では、こどもたちの健康をより深く支えるため、東邦大学と連携した献立の共同開発も実施しています。

テーマは「減塩」と「偏食改善」。香りの強い食材を用いることで塩分使用量を減らしたり、食物繊維を多く含む食材を取り入れたり、こどもたちが食べやすい献立を開発してレシピを区内のすべての学校に共有。給食に活かすことで、よりよい食習慣を身につけられるように支えています。


東邦大学と共同開発した献立の例(黒砂糖パン、チキンのサルサソース、れんこんチップサラダ、白菜と鶏肉のスープ、牛乳)

たくさんの人たちの想いに支えられている学校給食。あなたの思い出の給食についても、ぜひSNSに投稿して教えてください。その際は、#uniqueotaをつけてくださいね。

大田区シティプロモーションサイト「UniqueOta/ユニークおおた」では、「他にはない、大田区ならではのユニークな場所と出会えるまち」を合言葉に、区内のさまざまな魅力を発信中です。

ぜひ、あなたの興味あるコンテンツを探してみてください。次回の特集もお楽しみに!
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