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【特集】発見!心のこもったものづくり 大田区ブランド“おおむすび”を調査!

大田区のものづくりと言えば、町工場を連想する方が多いのではないでしょうか。大田区で「心のこもったものづくり」は町工場で作られるものだけではありません。今回は大田区内の、とある事業所で作られている心がこもった、ものづくりの大田区ブランド“おおむすび”をご紹介します。


雑貨からスイーツまで。多彩なラインアップ

おおむすびの商品は、量産できないだけでなく、一点物がほとんど。どんな商品があるのかさっそく見ていきましょう。

流木プランター

流木プランター(サイズにより500円~1,500円)。小さいサイズであればデスク周りにも置けます
流木は自然が生み出したアート。1つひとつが違った表現を持っています。その型が生きるよう、表面をなめらかにヤスリで磨き上げて、ドリルやノミ、木槌を使って穴を開け多肉植物を寄せ植えしました。流木プランター内の土がこぼれないよう、最後に山苔をかぶせて、小さな自然の姿を再現。温かみのあるすてきな空間演出にぴったりです。

レトロバッグ

A3サイズが入る大(1,900円)、A4サイズが入る中(1,600円)と写真の小(800円)の3サイズで展開
大田区同様、町工場で知られる日暮里(荒川区)の繊維街で、和柄・昭和レトロにこだわり買い付けた生地をトートバッグに仕立てました。帆布を用いているから、耐久性も抜群。重たい野菜もたっぷり入ります。3サイズ展開で、大・中にはミニポーチ付き。エコバッグとして毎日持ち歩くのにもぴったりです。生地に限りがあるのでお気に入りを見つけたらすぐに購入を!

七宝焼アイテム

七宝焼のブックマーカーとペンダント。商品によって価格は異なります(700円~)
ガラスの粉を金属の素地に焼き付けて作る七宝焼は、宝石のような透明感が魅力。耳かきほどの小サジで、銅板にカラフルな粉を乗せていく作業には集中力が欠かせません。複数人で分業して、時間をかけながらていねいに仕上げていきます。キーホルダーや根付などの七宝焼をあしらった各種アイテムを制作しています。

革製品

人気の小銭入れなど、豊富なラインアップの革製品がそろいます
本物の牛革を素材に、使えば使うほど味が出てきて愛着がわく革工芸品です。同じ柄の製品が二つとないのが自慢。特に人気なのが小銭入れ(小600円、大900円)です。コンパクトサイズで、小銭だけでなく、小さな雑貨を入れるのにもぴったり。丸いもの、四角いもの形やサイズも豊富な一点物から、お気に入りを見つけてください。

エディブルフラワークッキー

パッケージもかわいらしい。エディブルフラワークッキー(各100円)
エディブルフラワーとは食べられる生花のことです。色とりどりの花々を、クッキーの上にていねいに乗せて焼き上げました。見て楽しい、食べておいしいひと品に。プレーンクッキーなので、どんな飲み物とも合いますが、特にハーブティーとは相性抜群です。

糖質オフスイーツ

糖質オフケーキ(黒糖・ショコラ・ラムレーズン各160円)と糖質オフクッキー(クルミ・黒糖セサミ2枚入り各160円)
間食は1日200kcal程度が適量といわれ、肥満や糖尿病の治療を目的とした食事療法のローカーボ・ダイエットであれば、糖質摂取は10gまでとされています。カロリーや糖質が気になる方にも、安心しておやつを楽しめる糖質オフスイーツ。大豆粉やおからパウダー、カロリーゼロの自然派甘味料ラカントを使用しています。各商品100kcal以下、糖質5g以下(推定値)に押さえコントロールがしやすいのもポイントです。

自主生産品ブランド“おおむすび”

豊富なラインアップで個性が光る商品がそろった“おおむすび”ブランド。実はすべてが障がい者支援施設で作られているのです。障がい者支援施設とは「障害者総合支援法」に基づき、障がいのある方の働く場の確保や社会参加、就労のサポートなどを行う場所のこと。その事業所で作られる商品を「自主生産品」と呼びます。

大田区立志茂田福祉センターの富沢昇他(とみざわのりひと)さんに、詳しいお話を伺いました。


大田区立志茂田福祉センターの富沢昇他さん
「おおむすびとは大田区内の施設利用者の社会参加と、工賃の向上への取組み全体の名称です。大田区生産活動支援施設連絡会、通称『おおむすび連絡会』が中心となり、障がい者福祉施設で行う業務と制作・製造する自主生産品について、定期的に話し合いや情報交換をしています。区内の施設が一丸となって、どうしたらもっと障害のある人たちが取り組める業務を増やせるのか日々考えながら、おおむすびの商品を盛り上げています」

水引をモチーフにしデザインしたロゴマークは、よく見るとひらがなの“お”の字が3つ重なってできています。



「大田区・お客様・お気に入り。この3つの“お”が結ばれるイメージです。末永く皆様のお気に入りになるような商品開発を進めています」

おおむすびをとりまとめている大田区生産活動支援施設連絡会には、2023年12月現在、33の事業所が加盟し、その商品群は雑貨から食品まで多岐にわたります。


事業所にはショップを併設しているところも。志茂田福祉センターには、パン屋「しもだや」があります
「施設を利用している方の障がい特性はさまざまです。利用者が実際にできる作業と、作業をサポートする職員のスキルを鑑みて、各事業所で工夫しながら商品開発を行います」
商品開発の起点は「利用者ができる作業であること」ですが、同時にクオリティーと魅力ある商品開発にも力を注いでいます。


しもだやのオープンは毎週水曜日のみ。開店前から並ぶファンもいます。右のクグロフパンは、クリスマス期間限定品
「販売収入から必要経費を引いた収益の全額が、工賃として施設の利用者の報酬になります。ただ他社と比べると、自主生産品は事業者側で価格設定を低くしてしまう傾向があります。『障がいのある方が作ったものだから』という感覚で安価で販売しているとするなら違和感があると、常々問題意識を持っています。時間をかけて、ていねいに作るので量産もできません。多くの人が参加できるよう作業の効率が良く、魅力もある商品の開発は大きな課題なのです」

富沢さんは商品開発の一例として、勝茶のエピソードを教えてくれました。

勝茶(黒パッケージは、1バッグ3~4人用(200円)。銀色のパッケージは勝海舟記念館で新発売のマグカップ用(300円)。どちらも使いやすいティーバッグタイプ、3バッグ入り。)
「勝海舟記念館の協力を得てミュージアムショップグッズとして考案しました。勝海舟の提唱により、旧幕臣たちは江戸無血開城から明治期を通じて、牧之原台地(静岡県)の開墾を行い、日本有数の茶所に育てたという話があります。これに着想を得て、牧之原から茶葉を仕入れて勝海舟の肖像をラベルにしてパッケージに貼り、販売しています」

勝海舟記念館についてはこちら
https://unique-ota.city.ota.tokyo.jp/charm/culture/katsukaisyu/

牧之原台地で生産している品質の良いお茶を仕入れ、事業所ではラベル作成とラベル貼り、そしてティーバッグの封入を行っています。これにより作業に携われる利用者も増えました。良質なお茶をお求めやすい価格で販売でき、勝海舟と旧幕臣たちの物語性も相まって「ぜひお土産に」と買い求める人も多いそうです。

このほかにも大田区内の事業所では、アーティストとコラボレーションをして、自主生産品の魅力向上に取り組むプロジェクトも行っています。

自主生産品の魅力を高める取組み +ART(プラサート)についてはこちらから
https://unique-ota.city.ota.tokyo.jp/charm/life/pickup-202311-01/

おおむすびの商品は、大田区役所1階(ふれんど、おおむすび縁市場、Café Cosmo内)と、区内商業施設等で開催している縁市場(えんいちば)で購入ができます。おおむすびのホームページでも、縁市場の情報を公開しています。

おおむすび連絡会(おおた生産連)公式HP
https://ootaseisanren.org/

本企画でご紹介した自主生産品の製造販売作業所

● 流木プランター:南六郷福祉園
● レトロバッグ:くすのき園
● 七宝焼:大森東福祉園
● 革製品:上池台障害者福祉会館
● エディブルフラワークッキー:みどりの歩み
● 糖質オフケーキ(カップケーキ)と糖質オフクッキー:うめのき園
● 勝茶・クグロフパン(クリスマス期間限定):志茂田福祉センター

自主生産品に関するお問い合わせは 大田区立志茂田福祉センター管理係(03-3734-0763)へ

障がい者支援施設では、より多くの利用者に仕事を通じて社会参加を促すため、企業などからの業務受注にも積極的に取り組んでいます。


企業などから受注した作業を行う様子
「実際に企業などから受注している業務としては、リーフレットの印刷や折り込み、イベントなどで配るお菓子のパッキングなどの軽作業が多いです。歌舞伎座の音声ガイドの使用済みイヤホンの、絡まりを解きほぐして清掃するという作業や、一般家庭の庭の除草をしてほしいというご依頼に対応した実績もあります。ちょっと面倒だなとか、少しだけ誰かに助けてほしいなということで、皆さんの力になれるかもしれません。『こういうことって頼めますか?』というご相談もお待ちしています」

受託業務(企業から障がい者福祉施設への業務発注)についてのお問い合わせ:東京都大田福祉工場(03-3762-7611)

さて2023年に大田区は、SDGsの達成に向けて優れた取組みを提案する都市として、内閣府から「SDGs未来都市」に選定されました。さらに、その中でも特に先導的な取組みを行う「自治体SDGsモデル事業」にも選定されています。

ノーマライゼーションがますます加速し、よりよいまちとして発展していくために「おおむすびの商品を選んで購入する」というのも、私たちが簡単にできるSDGsな取組みに違いありません。


大田区は、SDGs未来都市にふさわしい、持続可能な取組みを行っています。

Café Cosmo

大田区役所の1階に位置する区民憩いのスポットCafé Cosmoは「区内の障がい者施設が力を合わせて、お客様をおもてなしする場」がコンセプトの就労支援施設です。お店の運営はもちろん、ロゴやショップカードなども、就労支援施設の利用者が「コスモ=宇宙」をイメージして自由に描いたイラストをモチーフにしています。自主生産品も一部、販売があります。区役所を利用した後の休憩にぴったりです。


自主生産品“おおむすび”に焦点をあてた、ものづくり特集はいかがでしたか。大田区生まれの隠れた逸品をぜひ見つけてくださいね。

大田区内にはまだまだ注目のスポットがたくさんあります。あなただけの「おおた推し」スポットを見つけてみてください! 見つけたスポットは、ぜひSNSへ投稿を。その際は#uniqueotaをつけてくださいね!

大田区シティプロモーションサイトUniqueOtaでは、「他にはない、大田区ならではのユニークな場所と出会えるまち」を合言葉に、区内のさまざまな魅力を発信中です。

ぜひ、あなたの興味あるコンテンツを探してみてください。次回の特集もお楽しみに!
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