最後は、建設廃棄物のリサイクルを行う高俊興業株式会社の東京臨海エコ・プラントです。建設・解体現場から出る再資源化が難しい建設系混合廃棄物などを受け入れ、90パーセント以上という驚異的な再資源化率を達成しています。
取締役専務執行役員で管理本部長の葛西正敏さん、取締役執行役員・技術本部長の青木崇さん、東京臨海エコ・プラント副工場長の横田祐士さんに話を伺いました。
「私たちは建設系の廃棄物を処理・リサイクルする会社です。ここ城南島の東京臨海エコ・プラントのほかに、千葉県市川市にも市川エコ・プラントがあり、ビルや施設、病院、学校など、さまざまな建物の新築、解体、改修の際に出る廃棄物を扱っています。取り扱い品目は、廃プラスチック類、紙くず、木くず、繊維くず、金属くず、がれき類など。これらを再資源化しています」(葛西さん)
回収した建設混合廃棄物を再資源化する流れを教えてください。
「廃棄物を積み込んだトラックは、東京臨海エコ・プラントに到着すると重量を測定します。ダンピングヤードで積み荷を下ろし、鉄くず、非鉄、木くず、段ボールなどの有価物や、破砕に適さないものを選別し、それぞれの専用処理ラインに投入します。このうち混合廃棄物は手選別室で選別後、破砕機によって細かく破砕します。また、非塩ビ系廃プラスチック類も手選別室で塩ビの混入を取り除きます。
これらの選別した廃棄物を品目ごとに圧縮梱包して再資源化品として出荷します」(青木さん)
廃棄物の破砕、圧縮梱包などの作業工程をテレビモニターで監視する中央操作室
混合廃棄物を手作業で選別。緊急時には上部に張られた引き綱を引いてコンベヤーを止める
廃棄物の徹底的な分別が、品質の良い再資源化品を生み、高いリサイクル率を実現しているのです。
こちらで処理されたものは、どのようなものに生まれ変わりますか?
「がれき類、コンクリートがらなどは、再生砕石(さいせいさいせき)や再生砂に、段ボールは製紙原料に、木くずは燃料チップ原料になるなどして再利用されます」(横田さん)
東京臨海エコ・プラントの自慢できるポイントは何ですか?
「産業廃棄物の中でも建設混合廃棄物は最もリサイクル率が低く、不法投棄や不適切処理の温床となっている現状があります。そんな中、高俊興業のリサイクル率は重量ベースで90%。国土交通省が発表した平成30年度の建設混合廃棄物のリサイクル率は63%ですから、極めて高い数字といえるでしょう」(葛西さん)
さすが270台もの機械を取り入れた「高精度選別再資源化システム」を導入しているだけあります。
一般的なごみと違って、建設廃棄物は私たち一般市民との関わりが薄く感じられます。私たちなりに心掛けることがあるとすれば、どういうことでしょうか?
「おっしゃる通り、建設廃棄物は多くの区民の方とは縁遠いかもしれません。しかし、もしご自身が家を建て直したり、解体したりで施主になる場合には、ちゃんと分別してリサイクルしてくれる業者か、あるいはそういうリサイクル施設に運び込んでくれるような業者なのかを調べて依頼してほしいと思います。そしてひと言『ちゃんと分別して処分してくださいね』と声をかけていただければと思います」(横田さん)
粉塵をろ過するバグフィルター(集じん機)。全体で約58万㎥/時間の集じん能力がある
「現在、重量ベースで90%のリサイクル率を将来的に96%に上げるのが目標です」と話す葛西さん(中央)と、青木さん(左)、横田さん(右)
こんなところで大田区と連携
東京スーパーエコタウン内にリサイクル施設を持つ10の事業者で作る「東京スーパーエコタウン協議会」は、2013年に大田区と災害時協力協定を結んでいます。これは、大田区内に津波が発生したり、または発生するおそれがあったりした場合、各社の施設を津波一次避難施設として区民に解放する取り決めです。
大田区は、2023年にSDGsの達成に向けて優れた取組を提案する都市として、内閣府から「SDGs未来都市」に選定されました。さらに、その中でも特に先導的な取組を行う「自治体SDGsモデル事業」にも選定されています。
SDGsの17の目標の中に、「12.つくる責任 つかう責任」があります。私たち一人ひとりが自覚を持って、ごみを出すことを防いだり、減らしたり、リサイクル・リユースをしてごみの量を減らすことが、SDGsへの身近な取組につながります。
大田区は、SDGs未来都市にふさわしい、持続可能な取組みを行っています。
人気沸騰! 東京スーパーエコタウン見学会
東京都では、東京スーパーエコタウン事業を無料で見学できる「スーパーエコタウン見学会」を毎月実施しています。当日は3か所の施設を大型バスで移動するので、安心・快適。普段なかなか内部を見ることができない施設を間近で見ることができる貴重な機会です。参加対象は16歳以上ですが、夏休みには親子で参加できる見学会もあります。毎回大人気の見学会。詳しくはHPをご覧ください。
https://www.tokyokankyo.jp/kengaku/ecotown.html
家庭ごみの処理についても見てみよう
私たちのごみはどこへ行くの?大田区のごみの行方を知ろう
https://unique-ota.city.ota.tokyo.jp/charm/life/pickup-202403-01/
東京スーパーエコタウン特集はいかがでしたか。東京都の推進する先進的なリサイクル施設を集めたプロジェクトタウンが大田区にあるなんて、初めて知った方もいたかもしれません。また、家庭やオフィス、町のレストランから出たごみが、リサイクルするためにどのように処理されているのかも分かったと思います。機会があれば、ぜひ見学会に参加して、自分の目や耳で体感してみるのもよいですね。
大田区内にはまだまだ注目のスポットがたくさんあります。あなただけの「おおた推し」スポットを見つけてみてください! 見つけたスポットは、ぜひSNSへ投稿を。その際は#uniqueotaをつけてくださいね!
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UniqueOtaでは、「他にはない、大田区ならではのユニークな場所と出会えるまち」を合言葉に、区内のさまざまな魅力を発信中です。
ぜひ、あなたの興味あるコンテンツを探してみてください。次回の特集もお楽しみに!