暮らし臨海部エリア

【特集】「東京スーパーエコタウン」ってどんなまち?城南島の先進的なごみリサイクル施設を訪ねる

「東京スーパーエコタウン」とは、東京臨海部にある先進的なリサイクル施設の集まった「まち」のこと。首都圏の廃棄物問題を解決するとともに環境産業の立地を促進し、循環型社会への変革を目指して東京都が進める事業です。
現在「東京スーパーエコタウン」には、大田区城南島に10施設、江東区海の森に2施設の計12施設が稼働中です。
今回はこの中から大田区城南島にある3つのリサイクル施設を訪ねました。


アルフォの天ぷら方式に使われる油温減圧式脱水乾燥装置(左上)、リーテム(左下)、アルフォ(右上)、高俊興業(右下)

使用済み小型家電、電子・電気機器を素材原料にリサイクル

株式会社リーテム

最初に伺ったのは、廃情報機器類等リサイクル施設の株式会社リーテムです。家庭やオフィスから出る小型家電、電気電子機器類、情報通信機器類などの廃棄物を受け入れています。
白を基調としたおしゃれな社屋で、副社長の中島佐智世さん、総務部部長補の森田建治さんにお話を伺いました。

「リーテムには茨城県・水戸と東京・城南島の2か所に施設があります。そのうち城南島の東京工場では、金属くず、廃プラスチック類、ガラス・コンクリートなどを扱う許可を得ており、自治体、メーカー、店舗などから排出された、それらの使用済み製品がトラックで工場に搬入されます」(中島さん)

搬入された廃棄物は工場内でどのように処理されるのでしょうか。

「廃棄物を乗せたトラックは『台貫(だいかん)』と呼ばれるはかりで重量を量ります。それが終わると、10人ほどで目視確認しながら手選別を行います。バッテリー、フロンガスなどを細かな手順を踏んで取り除き、選別・解体・回収作業を進めます。日々進化する製品類を瞬時に見分けるのは、神経も体力も必要な大変な作業。知識のアップデートも欠かせません」(森田さん)


手作業で一つひとつビニールテープを貼って電池の絶縁作業を行う
解体・選別された廃棄物は大きなハンマー装置で砕きます。風力機で比重の軽いプラスチックを吸い込んだり、磁力機で鉄と鉄以外を選別したり、ふるいにかけて金属の大きさ、重さ別に分けるなどして、鉄スクラップ・非鉄金属混合品・プラスチックに分けます。
分けられた鉄類は電気炉メーカーへ、非鉄金属は非鉄製錬所へ、プラスチックの一部は水戸工場の光学選別機で単一素材にしてから樹脂メーカーに売却します。
これが大まかな流れです。


白を基調としたひときわ目立つ破砕設備。短時間で大量処理が可能
時代の流れとともに廃棄物の傾向に変化がありますか?

「2013年の小型家電リサイクル法施行以降、大田区をはじめ各自治体より搬入される家庭から排出された使用済み小型家電が増えています。中でもスマートフォンやパソコン、ゲーム機、タブレットなどのほか、調理家電やロボット掃除機などの日用家電の数が多いですね。今後も、これらは増え続けると予想しています。また、2024年上半期に新紙幣が導入されるのに対応してATMや自動販売機などの廃棄も増えるでしょう」(中島さん)

まさしく「廃棄物から世相が見える」ということですね。

大田区は2023年に「SDGs未来都市」に選ばれました。その取組にプラスチックごみの分別回収がありますが、それにはどのように関わっていますか?

「私たちの取り扱う使用済み小型家電に含まれるプラスチックの一部を光学選別機などの装置で選別し、溶かしてもう一度原料となるようにリサイクルします。それによって燃やされるプラスチックの量を減らすとともに、原油から作るプラスチックを減らして貢献していきます」(中島さん)

少しでも廃棄物を減らすために私たちに必要な心掛けを教えてください。

「日常生活の中で、一人ひとりが意識しながらリサイクルできるものをしっかり分別して排出する心掛けが大切です。そうすれば、廃棄物になって二度と使えなくなる資源が減らせますし、銅鉱石や原油などの天然資源の消費量が減ってCO2排出量の削減にもつながり、持続可能な社会づくりに役立ちます」(森田さん)


「小型家電には再資源化可能な金属が含まれています。しっかり分別をして『都市鉱山』の山を築きましょう」と話す森田さん(左)と中島さん

こんなところで大田区と連携


大田区内全域から出る家庭廃棄物の粗大ごみ・不燃ごみの中の小型家電をリーテムでリサイクルしています。また、2017年より大田区主催「夏休みバス見学会」を毎年実施するなど、さまざまな形で連携を図っています。

屋内の工場見学通路。2005年から総勢2万人を超える見学者を受け入れている。柵の向こう側には羽田空港が見える

食品廃棄物を家畜飼料原料とエネルギーとしてリサイクル

株式会社アルフォ

次に伺ったのは、食品廃棄物から飼料原料やバイオガス発電を行う株式会社アルフォです。東京スーパーエコタウン内に城南島飼料化センター、城南島第2飼料化センターの2施設を持つアルフォの第2飼料化センターを訪ねました。
コンプライアンス部参与の山野井陸夫さんと、東京クリアセンター先任役の田波猛志のお二人に話を伺いました。

「アルフォは、食品製造・加工業者や食品卸売業者、コンビニやスーパーなどの小売業者、飲食店などから集められた食品廃棄物を廃食用油と混合して、養鶏・養豚用の配合飼料原料に生まれ変わらせたり、液体状の廃棄物を利用したバイオガス発電をしたりしています」(山野井さん)

こちらには、1日約140トンの料理の食べ残しや調理くず、売れ残ったり、消費期限が切れたりした食品廃棄物が持ち込まれます。その約2割がコンビニやスーパーから排出される弁当やおにぎり、サンドイッチなど。包装材・容器に入った状態です。そのままでは飼料にならないため、破砕分別機に通して中身と容器を分離してから細かく砕きます。
その後、廃食用油と混合し、天ぷらを揚げる要領で水分を蒸発させて乾燥させます(天ぷら方式)。この方法によって約90分で80%の水分を除去し、配合飼料原料に生まれ変わらせます。

「アルフォで製造された『アルフォミール』は、タンパク質を多く含む栄養価の高い養豚・養鶏用の配合飼料の原料として使われています」(山野井さん)


右が配合飼料原料の「アルフォミール」。左がアルフォミールを添加した配合飼料

食品廃棄物から分離した排水を発酵させて発電も
「また、城南島第2飼料化センターでは、固液分離機で分けた高濃度の液体を発酵槽に入れ、メタン発酵させてバイオガス発電も行っています。発電された電力は一部を施設で利用するほか、電力会社に売電しています」(田波さん)

アルフォの特筆すべきポイントは、その処理能力です。城南島飼料化センター、第2飼料化センター合わせて合計1日310トンもの食品廃棄物を処理する能力を擁しており、これは世界でもトップレベルです。

食品廃棄物を扱う施設と聞くと、一般的に臭いが気になるような気がしますが、アルフォでは、酸とアルカリ薬液を使って洗浄するほか、臭いを発生する成分を760度の高温で燃やす燃焼分解処理する2つの方法で対策を行っているため、施設内はほぼ無臭です。ほかにも、大気、水、騒音・振動等、細心の注意を払って環境保全に努めています。

SDGsの中で大きく取り扱われている食品ロスについて、アルフォの取組・考えを教えてください。

「日本の食料システムが現状のままならば、今後当社だけで食品廃棄物を処理しきることはできません。同じような施設が大都市周辺にある程度均等にあるのが理想といえるでしょう。そのような施設が増えることで、食品廃棄物が少しでも有効かつ適正に処理・リサイクルできるようになるとよいと思います」(山野井さん)


施設内で発電した電気。発電電力とガス発生量が電光掲示板に表示される

「環境問題に寄与する施設だからこそ、周辺環境には気を配っています」と話す山野井さん(右)と田波さん(左)

こんなところで大田区と連携


関東全域から食品廃棄物を受け入れているアルフォは、もちろん大田区内の小中学校の給食の食べ残しや生ごみなども一手に引き受けています。


建設現場から出る混合廃棄物を再資源化してリサイクル

高俊興業株式会社

最後は、建設廃棄物のリサイクルを行う高俊興業株式会社の東京臨海エコ・プラントです。建設・解体現場から出る再資源化が難しい建設系混合廃棄物などを受け入れ、90パーセント以上という驚異的な再資源化率を達成しています。
取締役専務執行役員で管理本部長の葛西正敏さん、取締役執行役員・技術本部長の青木崇さん、東京臨海エコ・プラント副工場長の横田祐士さんに話を伺いました。

「私たちは建設系の廃棄物を処理・リサイクルする会社です。ここ城南島の東京臨海エコ・プラントのほかに、千葉県市川市にも市川エコ・プラントがあり、ビルや施設、病院、学校など、さまざまな建物の新築、解体、改修の際に出る廃棄物を扱っています。取り扱い品目は、廃プラスチック類、紙くず、木くず、繊維くず、金属くず、がれき類など。これらを再資源化しています」(葛西さん)

回収した建設混合廃棄物を再資源化する流れを教えてください。

「廃棄物を積み込んだトラックは、東京臨海エコ・プラントに到着すると重量を測定します。ダンピングヤードで積み荷を下ろし、鉄くず、非鉄、木くず、段ボールなどの有価物や、破砕に適さないものを選別し、それぞれの専用処理ラインに投入します。このうち混合廃棄物は手選別室で選別後、破砕機によって細かく破砕します。また、非塩ビ系廃プラスチック類も手選別室で塩ビの混入を取り除きます。
これらの選別した廃棄物を品目ごとに圧縮梱包して再資源化品として出荷します」(青木さん)


廃棄物の破砕、圧縮梱包などの作業工程をテレビモニターで監視する中央操作室

混合廃棄物を手作業で選別。緊急時には上部に張られた引き綱を引いてコンベヤーを止める
廃棄物の徹底的な分別が、品質の良い再資源化品を生み、高いリサイクル率を実現しているのです。

こちらで処理されたものは、どのようなものに生まれ変わりますか?

「がれき類、コンクリートがらなどは、再生砕石(さいせいさいせき)や再生砂に、段ボールは製紙原料に、木くずは燃料チップ原料になるなどして再利用されます」(横田さん)

東京臨海エコ・プラントの自慢できるポイントは何ですか?

「産業廃棄物の中でも建設混合廃棄物は最もリサイクル率が低く、不法投棄や不適切処理の温床となっている現状があります。そんな中、高俊興業のリサイクル率は重量ベースで90%。国土交通省が発表した平成30年度の建設混合廃棄物のリサイクル率は63%ですから、極めて高い数字といえるでしょう」(葛西さん)

さすが270台もの機械を取り入れた「高精度選別再資源化システム」を導入しているだけあります。

一般的なごみと違って、建設廃棄物は私たち一般市民との関わりが薄く感じられます。私たちなりに心掛けることがあるとすれば、どういうことでしょうか?

「おっしゃる通り、建設廃棄物は多くの区民の方とは縁遠いかもしれません。しかし、もしご自身が家を建て直したり、解体したりで施主になる場合には、ちゃんと分別してリサイクルしてくれる業者か、あるいはそういうリサイクル施設に運び込んでくれるような業者なのかを調べて依頼してほしいと思います。そしてひと言『ちゃんと分別して処分してくださいね』と声をかけていただければと思います」(横田さん)


粉塵をろ過するバグフィルター(集じん機)。全体で約58万㎥/時間の集じん能力がある

「現在、重量ベースで90%のリサイクル率を将来的に96%に上げるのが目標です」と話す葛西さん(中央)と、青木さん(左)、横田さん(右)

こんなところで大田区と連携


東京スーパーエコタウン内にリサイクル施設を持つ10の事業者で作る「東京スーパーエコタウン協議会」は、2013年に大田区と災害時協力協定を結んでいます。これは、大田区内に津波が発生したり、または発生するおそれがあったりした場合、各社の施設を津波一次避難施設として区民に解放する取り決めです。


大田区は、2023年にSDGsの達成に向けて優れた取組を提案する都市として、内閣府から「SDGs未来都市」に選定されました。さらに、その中でも特に先導的な取組を行う「自治体SDGsモデル事業」にも選定されています。

SDGsの17の目標の中に、「12.つくる責任 つかう責任」があります。私たち一人ひとりが自覚を持って、ごみを出すことを防いだり、減らしたり、リサイクル・リユースをしてごみの量を減らすことが、SDGsへの身近な取組につながります。


大田区は、SDGs未来都市にふさわしい、持続可能な取組みを行っています。


人気沸騰! 東京スーパーエコタウン見学会


東京都では、東京スーパーエコタウン事業を無料で見学できる「スーパーエコタウン見学会」を毎月実施しています。当日は3か所の施設を大型バスで移動するので、安心・快適。普段なかなか内部を見ることができない施設を間近で見ることができる貴重な機会です。参加対象は16歳以上ですが、夏休みには親子で参加できる見学会もあります。毎回大人気の見学会。詳しくはHPをご覧ください。

https://www.tokyokankyo.jp/kengaku/ecotown.html


家庭ごみの処理についても見てみよう

私たちのごみはどこへ行くの?大田区のごみの行方を知ろう
https://unique-ota.city.ota.tokyo.jp/charm/life/pickup-202403-01/

東京スーパーエコタウン特集はいかがでしたか。東京都の推進する先進的なリサイクル施設を集めたプロジェクトタウンが大田区にあるなんて、初めて知った方もいたかもしれません。また、家庭やオフィス、町のレストランから出たごみが、リサイクルするためにどのように処理されているのかも分かったと思います。機会があれば、ぜひ見学会に参加して、自分の目や耳で体感してみるのもよいですね。

大田区内にはまだまだ注目のスポットがたくさんあります。あなただけの「おおた推し」スポットを見つけてみてください! 見つけたスポットは、ぜひSNSへ投稿を。その際は#uniqueotaをつけてくださいね!

大田区シティプロモーションサイトUniqueOtaでは、「他にはない、大田区ならではのユニークな場所と出会えるまち」を合言葉に、区内のさまざまな魅力を発信中です。

ぜひ、あなたの興味あるコンテンツを探してみてください。次回の特集もお楽しみに!
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