六郷エリア暮らし矢口エリア

【特集】昔の道具にわくわく!こどもの好奇心を刺激する「昭和のくらし博物館」

もうすぐ夏休み! 小学生の皆さんの自由研究のテーマは決まりましたか? もし迷っているのなら、昔のくらしや地域の歴史に目を向けてみるのはいかがでしょう。

今回は、大田区南久が原にある「昭和のくらし博物館」を中心に、親子で楽しみながら学べる自由研究のテーマをご紹介します。

「昭和のくらし博物館」ってどんな場所?



東急池上線の久が原駅から徒歩8分の閑静な住宅街。「昭和のくらし博物館」では、昭和26年(1951年)に建てられた一般住宅を、当時の家財道具とともにまるごと保存・公開しています。

昭和26年といえば、日本が戦後の混乱を脱し始めたころ。民放ラジオ放送が始まり、国民的漫画『サザエさん』の新聞連載がスタートした年です。映画『となりのトトロ』で描かれた時代と聞くと、わかりやすいでしょうか。

この家は、東京都に勤務していた建築技師・小泉孝さんが、家族のために設計して建てたもの。当初は約18坪という広さに、両親と4人姉妹、そして下宿人2人の計8人が暮らしてました。

時が経ち、住む人がいなくなったのを機に、長女の小泉和子さん(現・館長)が博物館として整備して、戦後の庶民のくらしを伝える施設として公開しています。

展示とともに、昭和のくらしを体験してみよう!

こちらが博物館の入り口。住宅街の一角に、あたたかみのある木製の看板が掲げられています。



ではさっそく、昭和のくらしを体験しにお邪魔しまーす!



■書斎・応接間

玄関を入ってすぐにあるのが、応接間を兼ねた書斎。建築技師であるお父さんが、限られた空間を活かして作った間取りの工夫が感じられますね。



机の上には、当時、設計に使っていた文房具が並んでいます。本棚や家具もお父さんが家に合わせて設計したものだそうで、機能的かつモダンなたたずまいが印象的です。



一角には、煙草入れ付きの灰皿が。訪れたお客様を「いっぷくどうぞ」ともてなしていた様子が目に浮かびますね。



■茶の間・台所

奥に進むと、ちゃぶ台の置かれた茶の間があります。





ちゃぶ台の上には、当時の朝・昼・晩の食事を再現した模型の展示が。漬物が添えられていたり、お箸が一人分ずつ箸箱に入っていたり、今のこどもたちの目には新鮮な食卓の光景かもしれません。



まだテレビがないこの時代。ちゃぶ台を囲んで家族とおしゃべりするのは何よりの楽しみ。夜はちゃぶ台を片付けてから布団を敷いて、川の字になって寝ていました。家族みんなで、肩を寄せ合って暮らしてきた様子が伝わってきますよね。

茶の間の隣には、桶やすり鉢などの台所道具が並ぶ台所があります。冷蔵庫はどこにあるのかな?



実は、この木の箱が冷蔵庫! 電気冷蔵庫が普及する前に使われていたもので、上部に氷を入れると、冷気が下に降りて食品を冷やす仕組みです。氷は氷屋さんが毎日リヤカーで届けていたそうです。



ガスや水道も引かれていなかったため、裏手の土間にあるかまどに薪をくべてご飯を炊き、七輪で魚を焼き、水は井戸水を使っていたそう。暑さ寒さの中、屋外で調理をするのは相当な重労働だったはず。今では想像ができませんよね。



■座敷

座敷は、お母さんの仕事部屋として使われていました。ここには、裁縫道具や当時の衣類が展示されています。

裁縫は、当時の主婦にとって欠かせない家事。既製品は手に入りにくかったため、家族の衣類や下着、布団などもすべて手作りしていたそうです。





女子小学生が使っていた裁縫の教科書と、実習で作っていた腹掛けも展示されていました。当時の女子教育で、裁縫が重視されていたことが伝わってきますね。



■こども部屋を再現した「2階の企画展示室」

下宿人が暮らしていた2階は、今は企画展示室になっています。



取材時の展示は『山口さんちの子ども部屋』。歴史学者・山口啓二と(村田)静子さん(静は旧字)ご夫妻のお子さんが実際に使っていたおもちゃや学習用品が展示されています。

四畳半の畳の部屋に、昭和30年代を中心とした温かみのあるおもちゃがたくさん!





着せ替え人形や雑誌の付録、お菓子のおまけ、教科書や日記帳まで。保存状態がよく、当時のこどもたちののびのびとした日常が伝わってくる展示です。





※『山口さんちの子ども部屋』の展示は2025年7月21日(月)でいったん終了(2026年4月以降に再展示予定)。2025年8月~2026年3月は『戦時下のおもちゃ』展が開催される予定です。

昭和の衣食住がわかる企画展


2026年3月29日(日)まで、「昭和はこんなだった~『昭和のくらしと道具図鑑』発刊を記念して」を開催中。既成品が少なく、プラスチックやビニールがなかった時代のくらしの工夫を学ぶことができる展示です。図鑑に紹介されている道具の一部を実際に見ることができます。



不定期で、昔のくらしを体験できるワークショップも開催されているので、公式ホームページをぜひチェックしてみてくださいね。


■中庭



かつて畑として使われていた中庭は、今は気持ちのよいテラスになっています。食料が十分になかった昭和30年代中ごろまでは、ここで野菜を育て、鶏も飼っていたそうです。

中庭では、「井戸ポンプを使った洗濯体験」ができます。呼び水を入れてポンプを押し、手で水くみ上げる作業はこどもたちに大人気。



洗濯板に洗濯物を拡げて、石鹸を泡立てながら手でゴシゴシ! 博物館で出た実際の洗濯物を洗うので、当時の仕事をそのまま体験することが可能です。

以前訪れたあるご家族は、みんなで力を合わせて大きなシーツを洗ってくれたそうですよ!



テラスの一角には、竹馬やぽっくり、けん玉やお手玉などの昔の遊び道具もそろっていて、自由に遊ぶことができます。懐かしさにつられて、大人も夢中になってしまいそう!



中庭には、お土産を購入できるミニギャラリーも併設されています。昭和のくらしに関する書籍やセルロイド人形、着せ替え人形などの懐かしいアイテムが販売されていますので、こちらもぜひ覗いてみてくださいね。



日本が高度経済成長期に入る直前の昭和のくらしを体験できる「昭和のくらし博物館」。
今では考えられないようなくらしのなかに、「生きること」の本質を見たような気がしました。タイムスリップのような体験をしに、ぜひ親子で訪れてみてくださいね!




お話を伺った学芸員の小林こずえさん

「昭和のくらし博物館」の様子を動画でご覧いただけます

※本館内での動画撮影は不可です。特別な許可をいただいて撮影しております





昭和のくらし博物館
住所:東京都大田区南久が原2-26-19
電話:03-3750-1808
営業日&営業時間:金・土・日曜日、祝日の10~17時
料金:500円(小・中・高校生は300円)
アクセス:東急池上線「久が原」駅 徒歩約8分
     東急多摩川線「下丸子」駅 徒歩約8分

※本館内での写真撮影は、幼児から高校生が撮影する場合に限り可能です。
大人は、新館および建物の外観のみ撮影可能となっています。詳しくは、当日の受付にておたずねください。

高学年にはこちらもおすすめ!
江戸の米作りを支えた「六郷用水」を散策してみよう


六郷用水は、江戸時代初期に作られた農業用水路です。多摩川から水を引いて田んぼに流すことで肥えた農地に変え、江戸の人々の食を支えました。

この用水路を守り続けたのは、地域の人たち。水の管理を協力し合って行っていたことも、当時のくらしの特徴です。

やがて、町が工業地帯や住宅地に変わっていく中で、用水路の役目も変化しました。1960年代以降、下水道が整備されると一部が埋め立てられて緑道や公園になり、今では地域の憩いの場になっています。

旧六郷用水散策路をたどりながら、どこから水を引いていたのか、どんな工夫がされていたのかを調べてみると、江戸時代の知恵や人々のくらしが身近に感じられますよ。




大田区内にはまだまだ注目のスポットがたくさんあります。あなただけの「おおた推し」スポットを見つけてみてください!見つけたスポットは、ぜひSNSへ投稿を。その際は#uniqueotaをつけてくださいね!

大田区シティプロモーションサイト「UniqueOta/ユニークおおた」では、「他にはない、大田区ならではのユニークな場所と出会えるまち」を合言葉に、区内のさまざまな魅力を発信中です。

ぜひ、あなたの興味あるコンテンツを探してみてください。次回の特集もお楽しみに!
【関連記事】
【特集】駅直結で遊びも充実! 親子で楽しむ「東急プラザ蒲田」
東急プラザ蒲田は、東急電鉄蒲田駅・JR蒲田駅に直結したショッピングセンター。日常使いに便利なお店がそろっている…
【大田区の魅力がいっぱい!】おおた博覧会 2025 in 羽田空港
6月13日(金)~15日(日)の 3日間、羽田空港第2ターミナル5階フライトデッキトーキョーにて、大田区の技術…
【遊び×グルメ】大田区の公園にキッチンカーがやってくる!
大田区の公園をもっと楽しく使ってもらうため、株式会社シンクロ・フードが運営するキッチンカープラットフォーム「モ…
【特集】合言葉は“わくわくに翼を!” はねぴょんと一緒に「大田区の暮らし」の魅力を発見!
みんな、こんにちはね~! 大田区公式PRキャラクターのはねぴょんだぴょん! 今回の特集では、はねぴょんがインタ…
【特集】出会いやふれあいが温かい 大田区のマルシェ
青空のもとで、のんびりと買い物を楽しみ、人との温かいふれあいもうれしいマルシェ。「マルシェ」とはフランス語で「…
【大田区で気軽に参加できるイベントをご紹介!】やってみる はじめてみる サステナブルLife
SDGsをお子様と一緒に楽しく学べるイベント!!日本工学院専門学校の学生と考えるSDGsイベントや大田区と共同…