「つながりの縁日」は、地域の人たちから寄せられた「平和島でこんなことをやってみたい」という声をきっかけに生まれたマルシェイベントです。
会場の大森ふるさとの浜辺公園には、たくさんのテントが設置され、飲食や物販、体験型ブースなどが出店。当日は好天にも恵まれ、約3,000人が来場し、会場は終始にぎやかな雰囲気に包まれました。
家族連れや近隣住民はもちろん、イベントをきっかけに初めて公園を訪れた人の姿も見られ、「人が集うまちの楽しさ」を実感できる一日となりました。
学校給食から生まれた大田区の名物「たこぺったん」の販売ブースも登場
「平和島まちづくりプロジェクト」の特徴は、「興味をもった人に、関わってもらう」ことを大切にしている点にあります。事業などを営んでいない人が主体となった豚汁販売のブースの出店もあり、まちに関わりたい人が、その第一歩を踏み出しやすいような工夫がされています。
「平和島にはこんな楽しみ方がある」という体験を通じて、新たなつながりを自分たちでつくり、自分たちで育てていく。その姿勢こそが、「平和島まちづくりプロジェクト」の原動力になっています。
「平和島まちづくりプロジェクト」参加企業の素顔を紹介!
様々な人に支えられている「平和島まちづくりプロジェクト」。ここからは、参加企業の素顔とまちづくりへの想いを紹介します。
◆食とギアの店 MAX CAMP
食品会社(株式会社アグルス)を母体に、2021年に誕生したキャンプ用品セレクトショップ「食とギアの店 MAX CAMP」。現在は平和島に店舗を構え、グッズや食品を中心に、アウトドア用品の企画・販売を手がけています。
なかでも人気なのが、オリジナルの調味料。アウトドアシーンはもちろん、日常の料理にも取り入れやすく、リピートするファンが多いといいます。
代表取締役の松浦高士さんは、平和島生まれ、平和島育ち。かつて商店街がにぎわい、映画館や釣り堀のあった平和島の風景を知っています。時代とともに、こどものころに楽しみにしていた月3回の縁日がなくなり、まちの様子が変わっていくことに、寂しさを感じていたそうです。
「嘆くだけではなく、自分たちの手で平和島をもっと盛りあげたい」
そんな思いから、「平和島まちづくりプロジェクト」に関わるようになりました。
平和島公園のキャンプ場など、キャンプに関わるプロの視点、地域住民の視点からも様々な課題があり、このプロジェクトを通じて、少しでも使いやすく、親しまれるキャンプ場になってほしいと考えています。
今後は「PEACE ISLAND(平和島)」をテーマにしたオリジナルブランドの発信も強化していく予定です。
「アウトドアと食の強みを生かして、平和島の魅力を少しずつ発信していきたいと思います。まずは地元の人が誇りを持てるまちにすること。そして、他の地域の人たちにとっても、平和島が『行ってみたい魅力的な場所』になること。まちが元気になることで、お店も活性化する。そんな循環をめざしたいと思います。」(松浦さん)
株式会社アグルス代表取締役の松浦さん。MAX CAMP本店の近くには、都内にありながら宿泊キャンプの楽しめる「平和島公園キャンプ場」があります
食とギアの店 MAX CAMP 本店
住所:東京都大田区大森北2-12-8
営業時間:月~水曜 11:00~19:00、金曜 11:00~20:00、土・日曜、祝日 10:00~18:00
定休日:木曜
◆大森山王ブルワリー
地域の歴史や文化をテーマにしたクラフトビールを手がける「大森山王ブルワリー(東京八景株式会社)」。平和島エリアにある大森で、軽食も楽しめる店舗「東京∞景(はっけい)」を運営しています。
大正から昭和初期にかけて、川端康成、尾﨑士郎、村岡花子など多くの文士が暮らした「馬込文士村」があることでも知られる大森エリア。ビールの名前や味わいには、大森の地名、歴史、文学者などの土地の記憶が反映されており、飲むことでまちの背景に触れられるのが大きな特徴です。
糀や塩、レモンピールやオレンジピールなどの一般的なビールには使われない素材が取り入れられ、地域性とストーリー性を大切にしたビールづくりを行っています
もともとボランティアとして、まちの活性化に関わっていた代表の町田佳路さん。ビールを通して、大森のことをもっと楽しめる機会を作りたいと、2019年7月に大森山王ブルワリーを創業。
とはいえ、大森の名前を冠したビールも、初めから地域に受け入れられたわけではなかったといいます。そこで改めてまちの歴史を調べ、その背景を丁寧に伝えながら商品を届ける取り組みを重ねてきました。
左から、村岡花子と、彼女の代表的な翻訳作品『赤毛のアン』をイメージしたIPA「AN」、大森の個性を、塩と米を使ったミルキーな味わいで表現した「KAORU」、萩原朔太郎の“甘くて酸っぱい時代”を、檸檬ピールの軽やかさで表現した「SAKU」
「つながりの縁日」でも、ビールを通じて地域の魅力を伝えました
「まちの人たちとのつながりを大切にしながら、大森の地ビールとして地域に親しまれる土壌を育んできました。まちづくりは、人とのつながりの積み重ねでできていくものだと実感しています。ビールが好きだから、知人に誘われたから――動機はさまざまでもいろいろな人が自由に関わることで、新しいことや楽しいことが生まれていく。その積み重ねがまちの魅力につながっていけばいいなと思います」(町田さん)
大森駅開業150周年に合わせ、JRや駅と連携した記念ビールを開発・販売。大森にある「通り」をイメージした「いつものとおり(右)」と「地獄谷IPA(右から2つめ)」
東京八景株式会社代表・プロデューサーの町田佳路さん。「平和島まちづくりプロジェクト」では、講師として自身の経験を語る場にも関わっています
東京∞景
住所:東京都大田区山王 2-2-7 八景坂ビル3F
営業時間:水~金曜 18:00~22:30、土曜 16:00~22:00 ※その他イレギュラーで営業中
◆Belle Couleur(ベル・クルール)
平和島駅近くに店を構える「Belle Couleur(ベル・クルール)」は、チーズケーキを看板商品とする人気のカフェ。
オーナーシェフの加藤雅彦さんが「平和島で、このまちならではの名物をつくりたい」という思いから生み出したのが、「平和島チーズケーキ」です。あえてまちの名前を冠したのは、スイーツを通して平和島のイメージが自然と浮かぶ存在になってほしいという願いから。
バスクチーズケーキを小さめサイズで焼き上げた「平和島チーズケーキ」。コロナ禍に挑戦した自販機での販売などを通じて、地域に親しまれる人気商品へと育っていきました
「平和島まちづくりプロジェクト」への参加は、「平和島チーズケーキ」にとっても大きな転機となりました。2025年4月の「はじまりの縁日」に出店すると、短時間で完売するほどの反響に。店舗への来店やイベントへの出店依頼も増え、チーズケーキを通じてまちと店、人と人がつながっていく手応えを感じています。
つながりの縁日には、初のキッチンカー出店。「平和島チーズケーキ」と「平和島ラクレット(下)」を販売しました
今後は、キッチンカーを活用して「平和島チーズケーキ」を販売し、大田区内外のさまざまな場所で、「平和島」の名前を拡げていきたいと考えています。
「羽田空港も近く、海や公園もある平和島。実は、いいものをたくさん持っているまちだと思います。また、今の時代、『平和島』という名前そのものにも、大きな意味があると感じています。世界ではさまざまな出来事が起きていて、『平和』という言葉が少し重く感じられる時代だからこそ、チーズケーキを通して、世界中の人に平和島を知ってもらえたらうれしいですね」(加藤さん)
Belle Couleur(ベル・クルール)オーナーシェフの加藤雅彦さん。洋食メニューも評判のお店です
Belle Couleur(ベル・クルール)
住所:東京都大田区大森北6-27-15
営業時間(カフェ):〈ランチ〉11:30~15:30(L.O 15:00)※ディナー営業は予約のみ
定休日:不定休