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【特集】区制80周年記念! 時代を超えて愛される 大田区の「老舗企業」


1947年(昭和22年)3月15日、当時の大森区と蒲田区が合併して誕生した大田区。

2027年(令和9年)3月に区制80周年を迎えるのを記念して、地域とともに歩みを進める老舗事業者をクローズアップします。

長く続く企業というと、「昔ながら」を守り続けているイメージがあるかもしれません。しかし今回取材した企業に共通していたのは、時代の変化に合わせて挑戦を重ねながら、それぞれの価値を磨き続けてきたこと。長い歴史を次の世代につなぐ老舗企業の物語をたどってみました。

量り売りから広がる、新しい酒屋のかたち

北嶋屋

大田区矢口にある「北嶋屋」は、明治時代から続く老舗の酒屋。現在は5代目店主が店を守っています。



店に入ると、黒と赤を基調としたモダンな空間が広がります。中でも、存在感を放っているのが、大きな日本酒タンク。見慣れない光景に「ここは、本当にまちの酒屋さん?」と驚く人も多いかもしれません。



創業は明治初期。長年地域に親しまれ続け、戦時中には配給所として、地域住民へ食料や生活物資を届ける役割も担ってきました。

とはいえ、お店の長い歴史のなかには、順風満帆とはいえない時期もありました。特に大きな転機となったのが、30年ほど前の酒販業界の規制緩和でした。

かつては酒類販売免許によって守られていた酒屋でしたが、スーパーやコンビニでもお酒が販売されるようになり、そのあり方が大きく変化しました。そんな中「昔ながらの酒屋のままでは生き残れない」と考えた北嶋屋は、新たな挑戦を始めます。

それが「量り売り」です。

現在の看板商品は、日本酒の「生原酒」の量り売り。一般的な日本酒は、保存性を高めるために加熱処理などを行いますが、生原酒は、搾ったままに近い状態のお酒。いわば“搾りたての牛乳”のような鮮度感を楽しめる商品です。

ただし、その分デリケートで、温度管理や輸送にも手間がかかるため、扱う店は多くありません。北嶋屋では、長野県の酒蔵から冷蔵タンクで直送した「新田浪漫」と「五代目」の2種類を提供しています。


「大田のお土産」「大田の逸品」にも選ばれたことのある「新田浪漫」。試飲をすることが可能です
さらに楽しいのが、その買い方。好みの瓶のデザインを選んで瓶づめをしてもらい、その場で筆文字のオリジナルラベルを作ってもらうことが可能です。



感謝やお祝いのメッセージを添えて、お誕生日プレゼントや記念品のギフト用に購入していく人も多いのだとか。



今回は、大田区シティプロモーション ブランド メッセージ「わくわくに翼を」のロゴマークをイメージして 、オリジナルのラベルを作ってもらいました!


「わくわくに翼を」のロゴマーク




一筆一筆の文字が、しなる筆先から丁ねいに描かれる様子は、見ているだけでもわくわく。世界で一つだけのお酒ができました!

北嶋屋では、他にも、さまざまな種類のお酒を販売しています。

基本的に試飲が可能で、味を確かめながら、自分の好みの商品を選べるのも楽しみの一つ。※ワインを除く


日本酒は、180mlから小分けでの購入が可能です。試飲しながら、その日の晩酌用のお酒を選ぶ人も多いそう

焼酎類や古酒や紹興酒、果実酒、調味料なども量り売りで販売しています

日本での流通が少なく、隠れたファンが多いというブルガリアのワイン
さらに、重視しているのが、そのお酒の背景にある「ストーリー性」。

「誰かとお酒を飲むときに、『このお酒にはこんな背景があるんだよ』と話せるものを選びたいんです」と店主。お酒の瓶に添えられたPOPからも、造り手の想いや物語を大切にしている姿勢が伝わってきます。


日本酒の醸造技術を取り入れてつくられたチリ産の「ぎんの雫 グット・ダルジャン ソーヴィニョン・ブラン」(左)と、ブルガリアワインのなかでも特に人気の高い「エニーラ」(右)
老舗というと変わらないことに価値があるように思えますが、北嶋屋が大切にしているのは、時代に合わせて新しい楽しみ方を提案し続けること。

住宅街の一角で、お客さんたちが瓶を手に取りながら店主との会話を弾ませる。その時間そのものが、北嶋屋の魅力なのかもしれません。


北嶋屋5代目の北嶋雄さん
世界で一つのプレゼント北嶋屋
住所:東京都大田区矢口1-21-18
営業時間:13:00~18:00(金曜:13:00~20:00、土曜:11:00~20:00)
定休日:木曜日

150年を超えて受け継がれる、日本の靴づくり

大塚製靴

次に訪れたのは、大田区久が原に本社と工場を構える老舗事業者「大塚製靴」。



創業は1872年(明治5年)。文明開化の真っただ中、日本にまだ靴を履く文化が十分に根付いていなかった時代から続く、既存する日本最古の靴の専門メーカーです。

創業者の大塚岩次郎は、製靴技術を学んだのち、現在の新橋付近に「大塚商店」を創業。「これからは靴の時代が来る」と見据えたそのとき、まだ14歳。若き創業者の先見性に驚かされます。

その後、時代に合わせて、軍用靴の製造や戦後の高度経済成長期とともに発展し、成長してきました。


会社の歴史が刻まれる社史
そして現在、大塚製靴が力を入れているのは、「日本の職人がつくる革靴」の価値を伝えること。

2017年に工場、そして本社を大田区へ移転したのを機に、1点ものをはじめとする高品質の靴の製造に力を入れています。



久が原の工場では、主に「グッドイヤーウェルト製法」と呼ばれる靴底を縫い合わせて作る製法での靴づくりを行っています。革の裁断から縫製、底付けまで、昔ながらの手仕事を活かしながら、自社で一貫する体制は、日本国内では非常に珍しくなっているそう。

足型を細かく計測して仕立てるオーダーメイドや、型を選んで仕立てるパターンメイドの製品にも力を入れており、「自分の足に本当に合う靴」を求める人たちから支持を集めています。

今回は特別に、お客様の足型を基に、制作される靴製造の様子を見せていただきました!

こちらはフランスから輸入した子牛の革。自動裁断機を使ってパーツを切り出します。



切り出されたパーツからは、まだ靴の形は見えてきません。



次に、職人さんが一つずつミシンで縫い付けていきます。下準備を含めると工程が非常に多く、1日にできる作業数はわずか3足ほどだそう。





一般的にはゴムが貼り付けられていることが多い靴底もすべて牛革が使われていて、手縫いでしっかりと縫い付けて仕上げられます。





靴底にはコルクが入っており、履くほどに足にしっかりとなじみます。縫い合わせて作るため非常に丈夫で、修理をしながら長く履き続けることができるため、50年以上履き続けているお客様もいるのだとか。

成人のお祝いなどに、「一生履き続けられる革靴」として選ばれることも多いそうです。



続いて、こちらは既製品の製造ライン。機械の力を借りますが、それでも工程ごとに職人の手が入り、完成に要する時間は約1週間。







最後は靴底までしっかりと整えられて美しく磨き上げられ、お店へと届けられます。



店頭に並ぶピカピカの革靴を見るときの高揚感は、こうした丁ねいな仕事の積み重ねから生まれているのですね。

150年以上の歴史を持ちながら、時代に合わせて姿を変えてきた大塚製靴。「しっかりと長く使える商品を届けたい」思いとともに、今日も大田区で、靴づくりに取り組んでいます。


オーダーメイド部門のスタッフ
大塚製靴
本社所在地:東京都大田区久が原2-24-24
<直営店>
シューマニュファクチャーズ[オーツカ]
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ ウエストウォーク4F
営業時間:11:00~20:00 (年中無休)

名物和菓子がつなぐまちの記憶

田園調布 あけぼの

大田区・田園調布駅のほど近く、田園調布の住宅街に、地元の人たちに愛され続ける和菓子店「あけぼの」があります。



創業は1932年(昭和7年)。90年以上にわたり、このまちで和菓子を作り続けてきました。



店内のショーケースには、四季を映した色とりどりの生菓子が並びます。春は桜、初夏はあじさい、秋には菊。眺めているだけでも、季節の移ろいを感じます。





現在の店主は4代目。もともと30年以上和菓子づくりに携わり、工場長として店を支えてきましたが、早くに亡くなった3代目、そして店を守り続けてきた2代目の想いを受け継ぎ、「この店をなくしたくない」という気持ちから事業承継を決意したそうです。

味の決め手となるのは、自家製のあんこ。創業以来大きく味を変えておらず、お菓子の種類によって炊き方や甘さを調整して、「もう一つ食べたくなる美味しさ」を追求しています。

店名を冠した銘菓「曙の鶴」は、創業時から続く看板商品のひとつ。あんこを白ゴマの焼き皮で包んだ、どこか懐かしい味の焼き菓子です。


地域への愛着が、お菓子の名前にも込められています
地域では、昔馴染みの味として親しまれており、「こどもの頃に食べた思い出の味」を求めて購入する人も少なくないそう。

店の奥には、抹茶などと一緒にお菓子を食べられるイートインスペースもあります。



さっそくお菓子をいただいてみました!

一口食べると、後味が軽やかで、ほっとするような余韻があります。ほろ苦い抹茶との相性も抜群。日常から離れて一息。心がほどける贅沢な時間が過ごせます。





最近は、「田園調布のお土産」として選ぶ若い世代のお客様も増えているそうです。

季節を探しに来る人、懐かしい味を求める人。田園調布あけぼのの和菓子は、世代を超えて多くの人の記憶に寄り添い続けています。

田園調布 あけぼの
東京都大田区田園調布2-51-8
営業時間:9:00~18:30
定休日:日曜


4代目の内田吉昭さん

今回ご紹介した3つの企業に共通していたのは、「変わらないために変わり続ける」という姿勢でした。それぞれが時代の変化に向き合いながら、自分たちらしい価値を磨き続けています。

長い歴史の中で受け継がれてきた技や想いに触れながら、大田区の新たな魅力を発見していただけたらうれしいです。

大田区内にはまだまだ注目のスポットがたくさんあります。あなただけの「おおた推し」スポットを見つけてみてください!見つけたスポットは、ぜひSNSへ投稿を。その際は#uniqueotaをつけてくださいね!

大田区シティプロモーションサイト「UniqueOta/ユニークおおた」では、「他にはない、大田区ならではのユニークな場所と出会えるまち」を合言葉に、区内のさまざまな魅力を発信中です。

ぜひ、あなたの興味あるコンテンツを探してみてください。次回の特集もお楽しみに!
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