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【特集】出会いやふれあいが温かい 大田区のマルシェ

青空のもとで、のんびりと買い物を楽しみ、人との温かいふれあいもうれしいマルシェ。「マルシェ」とはフランス語で「市場」や「市」を意味します。最近では、大田区内でもさまざまな場所でマルシェが開催される光景を見かけるようになりました。


今回は、区内で開催されている3つのマルシェを運営する皆さんにお集まりいただき、それぞれのマルシェの魅力と想いについてお話をうかがいました。

今回お話をうかがった方


藤田 ひかるさん(池上日和)
池上地区商店会連合会の事務局を担当し、池上本門寺で「池上日和」というマルシェを運営。2023年にスタートし、現在は3か月に一度、地元の特産品や地方の物産を集めたマルシェとしてにぎわいを見せています。


藤田さん。本業はグラフィックデザイナー
恵比寿 亜子さん、シールズ 美奈子さん、杉山 道枝さん(はぎなかいち)
2022年から年に3回ほど、萩中商店街で「はぎなかいち」というマルシェを運営。フリーマーケットやキッチンカーが中心で、ハロウィンなどの他のイベントと組み合わせて行うこともあります。


(左から)恵比寿さん、シールズさん、杉山さん。本業はそれぞれペットショップ、英会話教室、サイクルショップを経営
児玉 健太朗さん(ほとり市場)
2023年から、洗足池周辺にて年に2回ほど開催されている「ほとり市場」の運営リーダー。周辺の3商店街(洗足池商店街振興組合、小池商栄会、長原商店街振興組合)から運営者が集い、地域全体を盛り上げることを目指して活動しています。


児玉さん。本業はカフェ経営

地域のつながりをつくり出すマルシェ

__それぞれのマルシェの特長と、マルシェを始めたきっかけをお聞かせください。

藤田さん(池上日和):
「池上日和」は、かつて池上本門寺で開催され、コロナ禍で中断してしまっていた「朝市」をリニューアルする形で始まりました。朝市は早朝開催でしたが、その時間だと現役世代には負担が大きいので、開催時間を10時~15時に変更しました。おかげさまで、地元大田区だけでなく、地方の特産品なども数多く出店し、老若男女問わず楽しめる盛況なイベントとなっています。



恵比寿さん(はぎなかいち):
「はぎなかいち」は、あるキッチンカーの経営者さんから「商店街のスペースに出店したい」という要望を受けたことをきっかけに始まりました。どうせなら、同じ日に出店者を集めて、地域の方々に楽しんでもらえるイベントにしようと考え、商店街内の店舗にも露店を出してもらったり、フリーマーケットを同時開催したりと、少しずつ規模を広げていっています。



児玉さん(ほとり市場):
「ほとり市場」は、洗足池商店街振興組合、小池商栄会、長原商店街振興組合から運営者が集って運営をしています。規模は大きくないものの、東急池上線「洗足池駅」前のスペースにお店を並べ、美味しいものや楽しいものを通じて、地域の人たちがゆっくり交流できる場を目指しています。

持続可能な運営の工夫とは?

__それぞれのマルシェには、運営者の個性が反映されていますね。その裏には、どんな工夫や苦労があるのでしょうか?



藤田さん(池上日和):
「池上日和」を開催するにあたり、最も重視したのは、現役でお店を経営されている方々でも無理なく参加でき、みんなが手伝いやすい仕組みづくりでした。

朝市の時から大きく変更した点としては、開催時間を昼間に変更し、開催頻度も年8回から年4回に減らしました。また、出店者の皆さんに倉庫からテントを運んでもらうなど、備品の管理や準備方法も見直しました。「がんばりすぎない運営」をモットーにすることで、運営メンバーが変わったとしても、無理なく継続できる体制を整えられるようにしています。



児玉さん(ほとり市場):
現在、「ほとり市場」は商店街とは別の組織として運営しています。しかし、開催場所が狭く、規模も限られてしまうため、今後は商店街と連携して、より大きく充実したイベントにしていきたいと考えています。

中でも特に調整が必要なのが、関係者の意見をまとめることです。商店街にはさまざまな考えの方がいらっしゃるので、それぞれの思いを尊重しながら、方向性を考えていくことが大切になりそうだと感じています。

デジタルとアナログを組み合わせた
集客の仕組みづくり

__イベントを広く知ってもらうために、SNSやその他の発信方法で工夫していることを教えてください。

児玉さん(ほとり市場):
チラシも活用していますが、SNSを活用することで、情報がより広がるのは大きなメリットだと感じています。特に、出店者さんが自身のSNSで情報をシェアし、遠方からも来場者を集めてくれるのは非常にありがたいですね。


「ほとり市場」のチラシ
藤田さん(池上日和):
SNSの力って、本当に大きいですよね!「池上日和」でも、SNSを積極的に活用しています。SNSを見て出店の応募をしてくださる方も多く、27枠の募集に対して倍近くの申し込みがあることもあります。特に、区外からの出店者に参加してもらうと、そのお店のファンの方をはじめ、区外からの来場者も増えて、マルシェ全体がより活気づくことを実感しています。

一方で、地域にはSNSにあまり馴染みのない世代の方もいらっしゃるので、集客にはチラシや新聞の折り込み広告も併用して、より多くの方にアプローチできるようにしています。


池上日和のチラシ
シールズさん(はぎなかいち):
「はぎなかいち」では、主にポスターやチラシで告知しています。出店者の募集も、ポスターにQRコードを貼って、ホームページから申し込めるようにしています。

また、キッズダンスや阿波踊りの発表など、参加型のイベントも企画しています。こどもたちの見せ場があると、親御さんやおじいちゃん、おばあちゃんも一緒に来てくれるんですよ。参加してくれたこどもたちには、商店街で使える割引チケットを配って、親子で商店街での買い物も楽しんでもらえるようにしています。



はぎなかいちのチラシと阿波踊りの様子

多世代が楽しめる場づくりが決め手

__運営する中で、やりがいや喜びを感じるのはどのような瞬間ですか?

藤田さん(池上日和):
自分たちの手で新しいものを作り上げていく感覚は、本当に楽しいですね。朝市の時は高齢の方が中心でしたが、開催時間を昼間に変えたことでファミリー層も増えて、幅広い世代が楽しめるイベントになりました。会場に笑顔があふれているのを見ると、「開催して本当に良かった」と心から実感します。


池上日和
杉山さん(はぎなかいち):
普段はなかなか出会えない人とつながれるのも、マルシェの楽しみの一つですね。こどもたちやファミリーはもちろん、高齢の方が「人が集まる雰囲気が楽しいわね」って嬉しそうに話してくれるのを見ると、すごく励まされます。それに、若いキッチンカーの出店者さんが一生懸命頑張っている姿を見ていると、自然と応援したくなりますね。


はぎなかいち
児玉さん(ほとり市場):
赤ちゃんを連れた方と年配の方が一緒にお茶を楽しむ姿や、来場者が「次回は出店者として参加したい」と申し出てくれる場面に出会うと、マルシェが自然なつながりを生み出していることを実感します。こうした温かい雰囲気こそ、マルシェならではの魅力だなぁと思います。

つながりを生み出し
地域の安心を支える役割を担いたい

__最後に、これからのマルシェ運営についての展望を教えてください。

藤田さん(池上日和):
大田区のマルシェは、ゆったりとした雰囲気が魅力です。お客さんも気兼ねなく立ち寄れる場所で、会話を楽しんだり買い物を楽しんだりできるのがいいところですね。そんな地域の魅力を伝え、多くの人に愛されるイベントを続けていきたいと思います。

児玉さん(ほとり市場):
商店街の若手世代ががんばることで、上の世代にも「若手に任せてみよう」という前向きな雰囲気が少しずつ広がっているように感じています。

それがきっかけで人が集まれば、地元商店街の魅力をもっと多くの人に知ってもらうチャンスにもなりますよね。また、マルシェの出店者にも地域の魅力が伝わり、商店街の空き店舗に入居してくれることもあるかもしれません。こんな可能性にも目を向けながら、今後は活動をさらに広げていきたいと考えています。

恵比寿さん(はぎなかいち):
マルシェを通じて、地域全体の「顔の見えるつながり」が築けるようになるといいですね。こどもたちが「困ったときに頼れる存在」が増えたり、お年寄りが気軽に立ち寄って会話を楽しんだり、そんな温かいつながりが生まれる場を作りたいです。

商店街は、地域のつながりをつくることで、地域の安心・安全な環境を支える役割もあると思っています。そうした意味でも、マルシェの機会をもっと活かしていきたいですね。



2025年の各マルシェ開催予定


◆池上日和
開催日:3/16(日)、6/15(日)、9/21(日)、12/21(日) 
時間:10~15時
場所:池上本門寺総門内広場(大田区池上1-1-1)

◆はぎなかいち
開催日:5/25(日)、7/21(祝)、10/26(日)
時間:萩中商店街公式ページをご確認ください
場所:萩中商店街(京浜急行電鉄糀谷駅から徒歩5分)

◆ほとり市場
開催日:ゴールデンウィーク及び10月で各1日 
場所:東急池上線洗足池前、またはAOI COFFEE店先のスペース(大田区上池台2-1-15)
※詳細は、ほとり市場インスタグラムをご確認ください

▶▶マルシェや商店街のイベント開催について、詳しくはこちら
https://otakushoren.com/


地域の人々が自然と集まり、つながり合う──。大田区のマルシェは、そんな温かい場を提供しています。次回の開催時には、ぜひマルシェに足を運んで、その魅力を実際に体感してみてくださいね!

大田区内にはまだまだ注目のスポットがたくさんあります。あなただけの「おおた推し」スポットを見つけてみてください!見つけたスポットは、ぜひSNSへ投稿を。その際は#uniqueotaをつけてくださいね!

大田区シティプロモーションサイト「UniqueOta/ユニークおおた」では、「他にはない、大田区ならではのユニークな場所と出会えるまち」を合言葉に、区内のさまざまな魅力を発信中です。

ぜひ、あなたの興味あるコンテンツを探してみてください。次回の特集もお楽しみに!
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