【大田ものづくりROOKIES Vol.6】~若手ものづくり人材のリアルな日常~

「ものづくりのまち」大田区で奮闘する若手人材のなみなさんから、具体的な仕事内容や職場環境、日々感じていることなどをお聞きしています。

ものづくりの世界で、それぞれのチャレンジを始めた“ルーキー”の皆さんのリアルなお話から、大田区のものづくりを身近に感じていただければと思います。

Vol.6 中嶋 なかじま 涼太りょうた さん (株式会社 玉川パイプ

 

●この会社に入社した経緯は?

新卒で入社して、今年で3年目になります。

もともと東京都立六郷工科高校のデュアルシステム科で学んでしました。

デュアルシステム科は、学校と企業が連携してものづくりの職業人を育成する、ということを目的としている学科でして、長期就業訓練でインターンシップとして企業で働くことがカリキュラムで決まっています。

機械系と電気系の2つのコースがありまして、私は電気系を学んでいました。

年生と3年生のときに、それぞれ2か月間企業でインターンシップとして就業訓練を行ったのですが、3年生のときにお世話になったのが、この玉川パイプになります。

インターンシップをやっている間に、この会社で働きたい!と強く思い、企業実習の最終日に、学校の先生を通じて、入社したいという意思をお伝えしました。

玉川パイプに入りたいと思ったのは、とにかく会社が明るかったからです。

社長以下、全員が元気で明るかったんですよ。

年生のときに就業した企業も明るかったのですが、玉川パイプのほうが、もっと明るかったです(笑)

それと、家から近かったのもよかったです。

今は一人暮らしですが、実家に近いので、何かあったときにすぐ帰れるのは安心です。

 

 

●現在、どんなお仕事をしているのでしょうか?

会社は、「引抜鋼管」*1という独自の技術を使って、特殊なオリジナルパイプを製造することを得意としています。

お客様のご要望に応じて、さまざまな大きさ、素材、形状のパイプを製造・加工するのですが、私は主にパイプの切断を担当しています。

*1引抜鋼管: 一既存の規格パイプから様々なサイズ(内径、外径)のパイプを生み出す加工技術。金型(ダイス・プラグ)を使用してパイプを引き伸ばす。

 

仕事は先輩方に教えてもらいながらやっていますが、「切断」とひと言でいっても、いろいろな難しさがあります。

鉄や非鉄(ステンレスやアルミなど)といった素材の違いもありますし、大きさや形状もさまざまなので、それぞれに切断方法が違います。

100分の1mm単位で長さを出さなくてはならないような精密なものもありますし、切断面の微細な汚れやバリなどにも気をつけなければいけないです。

精密加工の場合はNC旋盤などの機械を使うことがあり、プログラムの設定などを覚えるという難しい面がありますが、自社内の加工では手作業で実際に数をこなさないとわからない感覚的な部分もあります。

例えば、メタルソー*3という機械を使って切断する場合、切断するときの手の感覚や、音の聴こえ方などによって、良品か不良品の判断と同時に機械自身の不具合を見極められるようになってきます。

2NC旋盤:NCとは「Numerical Control(数値制御)」の略。機械の動作を指令するNCプログラムによって、刃物や工作物の位置を正確に動かしながら加工を行う。

*3メタルソー(metal saw):鉄・非鉄金属などを切断するために金属で作られた円盤状の鋸

 

メタルソーでの切断作業

 

また、玉川パイプが得意としている特殊技術で、「引抜鋼管」というのがあるのですが、最近やっとやらせてもらえるようになったので、ちょっとうれしいです(笑)

先輩に少しずつ教えてもらいながらやっているのですが、難しいですね。

簡単そうでいて、かなりコツのいる作業です。

 

パイプの先端を潰して伸管(引抜)の際につかむ部分を作る「先付け」の作業。

 

高熱の炉の中にパイプ先端部を入れて加熱する、なまし熱処理の様子。

 

どのように仕事を進めているのでしょうか

かなり集中力が必要な作業なので、仕事中はあまり話をしないように気を付けています。

やはり工場なので、集中力が途切れてしまうと危険な場合もあります。

逆に、休憩時間は皆さんと雑談するようにして、できるだけ気持ちをリラックスさせるようにしています。

学生時代に学んだことも役立っています。

技術的な部分ももちろんありますが、製造現場での危険性など、実際に働く際に気を付けておかなければいけないことなどは、学んでおいてよかったと思います。

残業はほとんどないですが、納期があるので、仕事の量に応じてスピードを調整するといったことは、気を遣う部分かと思います。

 

仕事選びをする上で、大事なところはどんなところでしょうか

玉川パイプを選んだのは、明るさと技術力でした。それと、楽しく仕事ができることでしょうか。

職場が明るいですし、社長の魅力で人が集まるのでしょうね。

私は、インターンシップの最終日に即決しましたので(笑)

いまの仕事で楽しいと思うのは、自分がイメージしたとおりのものが出来上がったときです。

もともと手作業が好きですので、自分が思ったとおりに製品ができるとうれしいですね。

 

今度どうしていきたいですか?

いま、ちょうど母校の六郷工科高校からインターンシップを受け入れていて、その教育係をしているのですが、人に教えるということが本当に勉強になりました。

人に教えてみて初めて、今まで先輩達が伝えたかったことが理解できました。

言語化するというのが苦手なので、もっとできるようになりたいです。

また、将来的には、自分が作ったものを世の中に発信していきたいですね。

まだ具体的なものはありませんが(笑)

 

株式会社 玉川パイプ

本社:東京都大田区南六郷2-21-11

設立:昭和3411

事業概要:引抜鋼管製造及び各種鋼管加工

 

問い合わせ先

産業振興課(工業担当)

電話:03-5744-1376

FAX:03-6424-8233

 

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産業のまち発見隊レポートは
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