【ものづくりのまち大田】産業のまち発見隊レポート!

大田区には製造業事業所が集積し、世界に誇る高い技術を持っています。また、「仲間まわし」と呼ばれる企業間のネットワークを活かして、日本産業の屋台骨となり先端技術の開発を支えています。

 

 

そんなものづくりのまち大田区では、一般社団法人大田工業連合会と連携し、毎年夏休みに「産業のまち発見隊」という小学生を対象としたものづくりの楽しさを体験できるイベントを実施しており、将来のものづくり人財を発掘・育成することを目指しています。

2023年8月24日に開催されたイベントでは、小学4年生から6年生まで24組の親子が参加しました。今回はTVドラマ『下町ロケット』のロケ地でも有名な (株)桂川精螺製作所での見学とねじづくり体験のあと、日本工学院専門学校(蒲田校)でバーサライタづくりを行いました。

 

(株)桂川精螺製作所は、「プロジェクトYAOKI」における技術パートナー契約を(株)ダイモンと締結しました。YAOKIは、月面開発の最前線での活躍が期待される月面探査ロボットのことです。今回のイベントで子どもたちが作ったねじが、YAOKIの一部として月へ行くかもしれない(?)ことがメインイベントの1つでした。

 

 

(株)桂川精螺製作所の見学・ねじづくり体験

(株)桂川精螺製作所は、ねじやボルトなどの金属部品メーカーです。常時作っている部品は約3,000種類で、それぞれの部品を5,000個以上、多いものでは数百万個もの規模で製造しています。

同社が作った部品は主に自動車やバイクなどで使われ、エンジンやハンドル、シートベルト、ドア、カーエアコンなどさまざまなところに組み込まれています。わずかな不良が生命の危険に直結するため、部品には高い精度が求められます。利用者の目に触れる場所で使われる部品では、めっきのわずかな色味の違い、表面のわずかな傷も許されないそうです。

 

会社の強み

それだけ高水準の品質が求められる部品を、数万、数十万、数百万という単位で短期間のうちに作り出し、不良品をほとんど出しません。不良品を出さないために、部品を作る素材の調達先にもこだわっています。

「老舗の和菓子屋や高級レストランと同じように、材料にはとても気を使っています。同じ鉄でも、仕入れ先によっては品質のばらつきがあるのです。当社では古くより取引のある企業から高品質で均質な材料を仕入れています。値段はその分高くなってしまいますが、品質は安定します。長年にわたってものづくりを続けてきたからこそ、当社にはそうしたつながり・ノウハウがあるのです」((株)桂川精螺製作所取締役 大嶌達士郎さん)

プロジェクトYAOKIとは

令和4年1月に(株)ダイモンと(株)桂川精螺製作所は、「プロジェクトYAOKI」における技術パートナー契約を締結しました。(株)ダイモンは平成24年に創業した月面探査ロボット事業等(宇宙産業)を行う企業で、YAOKIは、月面開発の最前線での活躍が期待される月面探査ロボットです。超小型、超軽量、高強度を兼ね備えた月面探査車(月面ローバー)で、コストを抑えて月面に送り込むことができます。民間企業による月面探査を実現し、月面開発を着実に前進へと導きます。(株)桂川精螺製作所で製造したねじ及びねじ製造機の開発において、月面実験プラットフォームであるYAOKIと連携しています。今年中に月面探査プロジェクトにより月面着陸する予定です。

子どもたちは、YAOKIのねじ作りを体験しました。「自分の作ったねじが月に行くかもしれない!」とわくわくしながら、ものづくりに真剣に取り組み、作ったねじは記念品として持ち帰りました。

 

実際にねじを作っている様子

 

YAOKIをリモコンで動かしている様子

SDGs未来都市』の実現

大田区は新産業と匠の技が融合するイノベーションモデル都市として、今年5月に「SDGs未来都市」・「自治体SDGsモデル事業」に選定されました。

本取組みは、企業間の連携により区内企業の新分野進出はもとより、新産業と匠の技が融合するイノベーションモデル都市を掲げる『SDGs未来都市』の実現に寄与する取組みです。

(株)桂川精螺製作所・(株)ダイモン 各代表取締役社長よりコメント

 ●(株)桂川精螺製作所 代表取締役 石井昌景さん

(株)桂川精螺製作所は、ドラマ『下町ロケット』のロケ現場となったことがありますが、実際にロケットの部品を作っていたわけではありません。しかし、「宇宙産業」という新分野進出を目指すうえで、今回(株)ダイモンとの話の中で、「子どもたちが手作りしたねじが実際に月へ行く」というアイデアが面白いと共感し、連携することとなりました。

 ●(株)ダイモン 代表取締役 中島紳一郎さん

作ってもらうねじは少量でも、付加価値の高いものがほしい。これを実現できると言ってくれたのが(株)桂川精螺製作所でした。月へ行くためにはどんなねじが良いのかは誰にもわからないため、試行錯誤しながら細かいリクエストをしています。子どもたちには、普段の生活とは直結しない「宇宙産業」に興味を持ってもらいたいです。そして、実際に作ってもらったものが月へ行くという体験をしてもらいたいと思っています。

 

バーサライタづくり

バーサライタとは、人間の目の残像現象を利用した表示装置のことです。子どもたちは、日本工学院専門学校の生徒さん指導のもとで、はんだ付けによる回路製作とプログラミングによる表示プログラムを作成しました。はじめてのはんだ付けとプログラミングに、真剣に取り組んでいました。

 

 

参加した子どもたちからは、身近な大田区にある企業が月面探査ロボットを作っているなんてびっくりした、ものづくり体験ができて楽しかった、などの声がありました。一方保護者からは、夏休みの子どもの良い思い出が作ることができた、実際に見学や体験ができたことで工業やもの作りに関心を持つことができた、などとお話いただきました。

 

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大田区が「SDGs未来都市」及び「自治体SDGsモデル事業」に選定されました

大田区はSDGsの達成に向けて優れた取組を提案する都市として、内閣府から2023年度の「SDGs未来都市」に選定されるとともに、その中でも特に優れた先導的な取組を行う「自治体SDGsモデル事業」にも選定されました。大田区公式ホームページで紹介しております。ぜひご確認ください!

https://www.city.ota.tokyo.jp/kuseijoho/ota_plan/SDGs/miraitoshisentei.html

大田区は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています