【新連載・大田ものづくりROOKIES Vol.1】~若手ものづくり人材のリアルな日常~

大田区には都内最多の製造事業所があり、「ものづくりのまち」として知られています。世界に誇る匠の術を持った町工場もあり、大田区のまちの魅力でもあります。

ユニークおおたでは、ものづくりの現場で働く若手人材へのインタビューの連載をスタートします!

 

少子高齢化による労働力人口の不足などにより、多くの企業が人手不足に悩んでいると言われています。大田区の製造業も同様ですが、そんな中、ものづくりの現場で奮闘している若手人材もたくさんいます!

本インタビューでは、そんなみなさんの具体的な仕事内容や職場環境、日々感じていることなど、生の声をお届けします。

ものづくりの世界でチャレンジを始めた“ルーキー”の皆さんから、リアルなお話をお聞きすることで、大田区のものづくりを身近に感じていただければと思います。

Vol.1 鈴木 大樹 さん (佐々木半田工業株式会社)

入社して1年と1か月になりました。

これまでまったくの異業種で働いてきましたので、入社前はハンダや非鉄金属についての知識は、全然ありませんでした。

前職は、不動産関係会社の社長のサポート役として、様々な事業を経験していたのですが、実は、自分は営業や接客業など、人と話す仕事はそこまで好きではないのでは?と、なんとなく感じていました。

 

●どのようにして今の会社を決めたのでしょうか?

転職にあたっては、ハローワークを活用しました。正直に言うと、最初は再就職手当がもらえればいいや、くらいに思っていました。

企業を探すときに、最初に眼に入ったキーワードは、「溶接」。

もともとバイクに乗っていて、バイクビルダーでもあったので、興味を惹かれました。

また、たまたま親に何か資格をとっておいたほうがよいと勧められて、以前にフォークリフトの免許を取得していましたので、その条件についてもぴったりでした。

あとは、京浜島はアクセスが悪いと言われていますが、もしバイク通勤ができるのであれば、自分にとっては他の人よりも採用に有利かも(笑) と思いました。

 

それと、就職先を検討する際に会社のホームページを見たのですが、大企業よりも小規模な企業のほうがよいな、とも思いました。少人数のほうが、自分が他の人よりも目立つので、責任をもっていろいろと教えてもらえると思いますので。また、ぱっとみて製品が小さいのもいいな、と思いました。実際は、かなり大きなものも作っているのですが。

 

●入社してみて、いかがでしたか?

最初は何をやっていいのか、全然わかりませんでした。

工場長から、まずは、とにかく作業を見ておけ、と言われて3日間見続けました。そのあとも続きそうだったので、生意気かもしれませんが、思い切って“自分にもやらせてください!”といったところ、あっさりやらせてもらえました。今考えると、こちらから言うのを待っていたのかもしれませんね。

昔の職人の方は、やっぱり聞かないと教えてくれないので、自分から積極的に聞くようにしていますが、聞かれると案外うれしいみたいです(笑)

 

どのような仕事をしているのでしょうか?

自分でもよくわからないのですが、いろいろやっています(笑)

錫メッキ用のメッキ板や棒状・線状のハンダの製造などで、機械も手作業もあります。

顧客から、こんなことはできないか?といった新規のオーダーもよく頂くので、その度に、みんなでどうしたらできるのか?と考えながら仕事をしています。

日々違う仕事をしている感じですので、全然飽きがこないです。

 

工場長の職人技は、とにかくすごいと思います。錫や鉛の純度の割合が、試験機などを使わなくても、目視でわかります。純度を調整するには、複雑な計算も必要です。理系の方でないとできないレベルではないと思うのですが、やっぱり難しいですね(笑)

手作業は技術が必要で、鉛を流し込む作業ひとつとっても、スピードや温度などによって変わるので、平面に流し込むのは大変です。

機械の「押し出し」でできる部分もありますが、顧客によっては、手作業でやったほうが品質がよいと言われることがありますので、やっぱりお客様には、違いが分かるんでしょうね。

最近では、錫などの商品は、アマゾンや楽天などのECサイトでの販売もやっていて、学校教材や美術品、アクセサリーなどの用途で、よく売れています。

 

●働く上で大事なことは何ですか?

自分にとっては、やはり人間関係ですね。20代~70代まで、それぞれの年代の方がいらっしゃいますが、自分にとっては、とてもやりやすいです。

もくもくと仕事をする感じではなく、実際は、職人の皆さんと一緒に作業を進めることが多いので、みんなで声をかけあって作業をしています。

みんなで協力してやるので、やっぱり、元気でやる気のある人が向いているかもしれません。

 

これから10年後、20年後のことは、正直に言ってわかりませんが、工場長のことが好きなので、今は期待に応えられるように取り組んでいければと思います。

周辺の企業の方とお話をすることもありますが、20代の方はあまりいないので、もっと増えて欲しいですね。

 

★佐々木半田工業株式会社★

所在地: 東京都大田区京浜島2丁目20番3号

設立: 昭和45年11月6日

 

問い合わせ先

産業振興課(工業担当)

電話:03-5744-1376

FAX:03-6422-8233

 

大田区のものづくりに関する過去の記事

大田区のものづくりについては

https://unique-ota.city.ota.tokyo.jp/charm/industry/craftsmanship/

創造力に溢れたものづくりについては
https://unique-ota.city.ota.tokyo.jp/charm/industry/pickup-202004-01/
産業のまち発見隊レポートは
https://unique-ota.city.ota.tokyo.jp/news/sangyounomachihakkentai_202308/