【SDGs学習応援企画@池上会館】中学生の声から生まれた快適な自習室

ふと送った大田区宛てのメール「池上会館の空き部屋を使いたい」

2022年、中学3年生の夏休み。高校受験を控えた竹之内 和花(たけのうち・ともか)さんは、勉強できる場所が少ないことを感じました。塾に通っていなかったため、図書館に行ったりカフェに行ったりして勉強していましたが、図書館の自習スペースは満員で入れないこともしばしば。カフェはお金がかかるので毎日通うにはちょっと・・・。

「無料で勉強できる場所はないかなあ」とお母さんに話しているなかで、大田区の池上会館の1階が空き部屋になっていることが話題にあがりました。

その会話をきっかけに、和花さんは何気ない気持ちで「池上会館の空き部屋を自習スペースとして開放して欲しい」と、大田区のホームページからご意見・ご要望メールを送りました。そしてこのメールがきっかけになり「SDGs学習応援企画」がスタートしたのです。

 

竹之内 和花さん

 

中学生の1通のメールが区を動かした

池上特別出張所の職員がメールを受け取り、子どもたちが勉強する場所が無いこと、行政の学習支援にはまだまだ課題があることを再認識しました。課題を解決し、和花さんのような子どもたちの希望を叶えるために、区職員は池上会館の空き部屋を使った学習支援の方法を検討・調整を始めました。

そして、和花さんがメールを送ってから約1か月後。20日間限定で試験的に池上会館の空き部屋を活用した自主学習スペースは始まりました。池上会館内の空き部屋を、区内在住・在学の中学生~高校生を対象に自習室として開放しました。開設当初こそ人数が少なかったものの、だんだんと夏休みの宿題や受験勉強をする学生たちが来るように。そして、夏の利用率をみて冬も開設。昨年度は延べ137人の方が利用しました。

開始当初は、机と椅子しかない自習室でしたが、自習室の話を聞いた地元・池上の花屋さんが「子どもたちが少しでもリラックスして勉強できるように」と、無償で観葉植物を提供。地元の方の協力のおかげで、殺風景だった自習室があたたかみある空間になりました。

 

 

当時の自習室(カフェが新しくなる前のスペースを活用)

 

2023年度も、引き続き夏休みの7/228/31まで開設され、後輩たちにも使われていると知って嬉しそうな竹之内さん。受験勉強のために自習室を使っていた当時を「塾に通っていない友だちと、ほぼ毎日自習室に通いました。そうしたら池上会館の施設の方たちが顔を覚えてくれたり、空調なども気遣ってくれて。皆さんのおかげでとても集中しやすかったです。」と振り返っていました。また、8/218/25には馬込文化センターでも自習室開放をしたり、久が原地区では地域の施設を3日間開放して20名利用がありました。和花さんの一言から始まったここ池上での自習スペースの取り組みが広がりを見せています。

 

「怖がらずに、まずはやってみること。貴重な経験になったことを実感しました」

1通のメールから実現した今回の件については、「まさか叶わないだろうと思っても、声は出してみようと思いました。ちゃんと聞いてくれる人はいるし、否定されるのを怖がらないで話せば変わることもあるかも。もし叶わなくても、伝わればいいなって。」とはにかみながら話してくれました。

 

また、竹之内さんは今回の出来事を書いた税の作文で表彰(令和4年度東京納税貯蓄組合総連合会会長賞)もされました。タイトルは「地域を動かした私のアイデア」。自分の何気ない一言を区の職員が受け取ってくれ、地域の方々の協力のおかげで実現したことを機に税金が私たちの暮らしに役立っていると実感することができた内容が書かれています。

作文にあるとおり、今回の話を聞いて自分にできることがあれば協力したいと話してくださった花屋の店長から観葉植物などを提供していただいたりと、地域の方の協力があってより快適な自習スペースが実現しました。担当の職員は「和花さんのメールでこの地域には自習スペースが少ないことに気付かされた。子どもたちの勉強のためにできることはしたかった。地域の方の協力もあり実現できてとてもうれしい。」と話していました。

知花さんはこの自主学習スペースを利用し、無事に志望高校へ合格!「池上会館がめっちゃ役に立ちました!」と笑って話してくれました。いまはテニス部に入り、毎日練習をがんばっているそうです。

 

メールを受け取った職員と久しぶりに話す和花さん

 

子どもたちの未来を支援する「みらいチケット」

また、現在、池上会館1階にあるカフェ「thymon(チモン)」ではみらいチケットも導入しています。

みらいチケットとは、子どもたちを支援したいと思う大人が店で「みらいチケット」を購入し、自習室を利用する子どもたちはそのチケットを使って飲料等を提供してもらえるというもの。こんなお洒落なジュースも飲めちゃいますよ!

 

thymonで提供されているスムージー「グリーン&マンゴー」

 

みらいチケットを購入した方からは「何に使われるのか目に見えるカタチで寄付できるものはなかなかないのでうれしいです」との声がありました。

未来あるおおたの子どもたちが、快適に勉強できる環境を作るために。美味しい飲み物を飲みながら友達と話す夏の思い出のために。そしてこのシステムが長く続いていくように、皆さんも「みらいチケット」という形でぜひご協力ください。

 

みらいチケット。取材チームも購入してコメントを書きました!

 

≪子どもたちを応援したい!≫

大田区ではみらいチケットの他にも、子どもたちの居場所づくりを応援している取り組みを行っています。詳細は下記リンクをご覧ください。

https://www.city.ota.tokyo.jp/kuseijoho/ota_plan/kobetsu_plan/fukushi/kodomo_seikatsu_plan/index.html

 

現役高校生の大田区のお気に入りスポットは?

今年、高校1年生になった和花さん。大田区内のお気に入りのスポットやイベントを教えてもらいました!

  • 東調布公園の区民プール

小さい頃たくさん遊びに行きました!思い出のプールです。

https://www.city.ota.tokyo.jp/shisetsu/sports/pool/higashi-chofu_pool.html

  • 池上本門寺 

ちょうど取材日が盆踊り祭りの開催日。「取材の後、姉とお祭りに行きます!」とのことでした。

池上本門寺(日蓮宗大本山)

  • 蒲田駅周辺

友だちと近場で遊ぶときは蒲田が多いとのこと。ごはんを食べたり、プリクラを撮ったり・・・楽しそうですね!

蒲田エリア一覧

 

SDGs学習応援企画「自主学習スペース」(2023年夏の概要)

期間 2023831日(木)まで

時間 各日二部制(1900~正午(最終受付1130) (213001700(最終受付1630

場所 池上会館の本館・西館 当日の空き部屋 (大田区池上1-32-8

東急池上線「池上駅」から徒歩7/JR大森駅西口からバス「本門寺前」から徒歩5

対象 大田区在住・在学の中学1年生~高校3年生

料金 無料

利用方法 池上会館の受付で名簿に記入。名札を受け取ったら、その日の自習室を確認します

※保護者の同意が必要です

人数 各日先着14

協力 池上会館カフェthymon(運営:合同会社WEMON PROJECTS

★詳細は大田区ホームページをご覧ください

https://www.city.ota.tokyo.jp/omori/ts_ikegami/oshirase_event/ikegamikaikan_jisyugakusyu.html