「“たこぺったん”を全国に広めていきたい」志茂田小学校6年生の想い

 大田区の小学校には来年度から全校実施される「おおたの未来づくり」という教科があります。

 一部の小学校で先行実施されており、地域にある多様な特色を教育資源として最大限に生かして、企業・団体など実社会で活躍するさまざまな人と関わり、こどもたちが「地域の創生」にチャレンジする授業を展開しています。

 どんな授業が展開されているのか気になりませんか?

 今のこどもたちが何を考えどう感じて、計画を立て、実行していくのでしょうか?

 ・・・実際に授業に潜入してみることにしました。

 舞台は志茂田小学校。4月に新6年生に進級した1組と2組の授業です。

 これから1年間、つぶさにレポートしていきたいと思います。

取材時の動画はこちら


志茂田小発 たこぺったんプロジェクト 第一弾振り返り

新中学1年生が呼びかけ

 

 実はこのプロジェクト、昨年9月から始まっていました。大好きな給食メニュー“たこぺったん”を全国に広めたい志茂田小学校47名の児童とその想いに感銘を受け、こどもたちの願いを実現させてあげたいと名乗りを挙げたイトーヨーカドー大森店がビジネスパートナーとして児童たちとタッグを組んだのです。

 お互いのめざす場所は同じ。“たこぺったん”を全国に広める。社員と児童が対等な関係性で、同じ土俵に立って試行錯誤した半年間でした。

 まずはお互い“たこぺったん”を知るところからスタート。“たこぺったん”の考案者で元学校栄養士の尾形さんに話を聞き、レシピを確認したり、給食の“たこぺったん”とイトーヨーカドーが試作した“たこぺったん”を食べ比べたりしました。給食の味に近づけたい、多くの人に愛される味にしたい。調理方法は?お店で作るためには?給食室とお店では調理環境も違います。いろいろなことを学びながら最善策を考えていきました。

 “たこぺったん”の試作と同時進行で広報案も考えていきました。イトーヨーカドー大森店のスタッフと意見交換をし、“たこぺったん”紹介動画や大田区公式キャラクターはねぴょんのたこぺったんバージョンの作成など“たこぺったん”を全国に広めるための活動も進めていきました。こどもたちの発想に大人たちもタジタジ。物怖じすることなく意見し、より良い広め方を一緒に考えていきました。そのエネルギーには心を打たれました。自由な発想で突き進むこどもたちのことも、実現できることとできないことを模索しつつ頑張る大人たちのことも応援して いました。

 

大田区人気給食メニュー「たこぺったん」定番商品化

 そしてついに!令和6年4月12日、「たこぺったん」がイトーヨーカドー大森店でレギュラーメニューとして販売されました!販売から早くも4カ月が過ぎていますが、順調に売れているということです。

協力者の皆さんの声

イトーヨーカ堂大森店 西川店長

「こどもたちの力は本当にすごいです。私たちも本気です。レギュラーメニューになっ たことは大変うれしいです。ですがこれも通過点にすぎません。全国めざしてこれからもやっていきますよ。」

たこぺったん考案者 元学校栄養士 尾形さん

「ただたびっくりしています。あのとき考えたメニューがこうして多くの方に食べてもらえることはとてもうれしいです。“たこぺったん”が受け継がれていくことに喜びを感じます。」

大田区企画経営部 市川係長

「“たこぺったん”も揚げパンのように大田区名物として浸透していってほしい。こどもたちの発想に驚かされたり楽しませてもらっています。」

志茂田小学校栄養士 平尾先生

「学校給食をこどもたちだけでなく多くの方に食べてもらえることはうれしいです。こどもたちが好きな味を多くの方に知ってもらいたいです。」

志茂田小発 たこぺったんプロジェクト 第二弾始動!

 プロジェクト第一弾を進めてきた6年生(新中学1年生)から新6年生(現小学6年生)に熱い気持ちは受け継がれ、たこぺったんを広めるべく「第二弾たこぺったんプロジェクト」が始動しました!

 今年度は、広報活動により力を入れていく方針です。誰に向けて“たこぺったん”を広めていくのかでチーム分けをしました。他の学校にも広めたい他校チーム、地域の人にはもちろん知ってもらわなきゃと地域チーム、大田区にいても知らない人もいるからと大田区チーム、めざすは全国、全国チームの各チームがターゲットに合わせて訴求していきます。 

 第1回目はイトーヨーカドー大森店の商品と給食の“たこぺったん”の「食べ比べ」。こどもたちは嬉しそうに、わくわくしながら一口、二口と食べていきます。食べた触感や見た目、五感で感じたことをノートに記していきますよ。

 「サクサクしておいしい!」「どっちもおいしい!」など、児童たちの率直な感想に西川店長や尾形さんもうれしそうに耳を傾けます。

 尾形さんによるクイズや公民連携事業としてこのプロジェクトに携わっている大田区職員による「たこぺったん」のSNSでの反応、西川店長のお話しを真剣に、楽しそうに聞くこどもたち。「たこぺったん」の知識だけでなく、商品を拡げることの目的や効果についても学びました。

 

 今日の授業の感想やこれから「たこぺったん」プロジェクトをどうしていきたいかを聞くと、次々と手を挙げるこどもたち。自分の意見を堂々と発表します。「たこぺったんのことをもっと詳しくなって、この良さを広めるためにはどうしたらよいか、考えたい!」

 「大田区の新教科 おおたの未来づくり “たこぺったん”を広めよう」第二弾スタートです! 

 

*“たこぺったん”とは*

 1995年頃、大田区内の中学校で給食メニューとして誕生。たこ焼きをかきあげ風にアレンジした大人気献立。尾形さんが栄養バランスや調理のしやすさを考慮しながら独自に開発。

 

*公民連携とは*

 大田区では民間企業などと協働し、それぞれの強みをかけ合わせることによって、新たな価値を生み出すことに取り組んでいます。「大田区ならでは」 の相乗効果を発揮し、区民の皆さんにより質の高い行政サービスを提供するだけでなく、地域課題解決や地域活性化につなげます。