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【特集】東京科学大学誕生にわく 学生のまち「大岡山」さんぽ

大岡山駅周辺は、2024年10月に、東京工業大学と東京医科歯科大学が統合し、新たに「東京科学大学」が誕生したことでも、注目を浴びているまちです。大学の住所は目黒区にありますが、そのおひざ元である大岡山駅は大田区に位置しており、地域の活気を支える中心地となっています。また、大岡山駅は、自由が丘駅まで約3分、渋谷駅まで約20分、大手町駅まで約30分など、都心へのアクセスも抜群です。

今回は、教育と研究の拠点として、そして人情味を感じる住みやすいまちとして、ますます発展していく大岡山を取材し、その魅力に迫りました。

東京科学大学誕生で注目の大岡山


初めに訪れたのは、まちの中心である大岡山駅。東急大井町線と目黒線の2つの路線が交差する乗換駅で、都心部へのアクセスも良好な交通の要です。

駅周辺の地図を見ると、駅舎と駅前交差点は大田区、そして道を挟んだ向こう側は目黒区に位置していることがわかります。



大岡山駅は1998年に現在の姿になりました。駅は地下に位置しており、駅上は、日本初の駅上病院「東急病院」と一体化した、珍しい特徴をもっています
駅の周辺には、賑やかな商店街があり、少し歩くと閑静な住宅街が広がる大岡山エリア。まちを歩きながら、その素顔をのぞいてみましょう。

地域とともに発展してきた商店街

大岡山北口商店街振興組合


大岡山駅からすぐ近くにあるのが「大岡山北口商店街」。約500メートルにわたり、120店舗ほどのお店が並んでいます。

昭和の時代には、肉屋、魚屋、八百屋などの生鮮食品を扱うお店が多く、地域の人々の台所を支えていたそう。最近は飲食店やサービス業のお店が増えて、昔と業種が変わったものの、今も地域なじみの商店街として人々に愛され続けています。


活気のある大岡山北口商店街。若い世代向けの飲食店も多く、学生にも人気があります
大岡山北口商店街では、年間を通じてさまざまなイベントを開催しています。特に夏の「盆踊り大会」や、露店や子ども神輿が出る「お祭り」は、子どもたちに大人気。最近移住した若い世代が増えていることもあり、日本の文化を次世代に伝えながら、地域の交流が生まれる場をつくることで、地域や商店街を盛り上げていきたいと考えています。


「商店街のイベントに参加した子どもたちに喜んでもらえることが嬉しいです。これからもまちをよくするために、地域全体で力を合わせていきたいと思います」と大岡山北口商店街振興組合理事長の相川英昭さん(右)と副理事長の横尾吉雄さん(左)

大岡山北口商店街で古くから営業を続ける精肉店「松坂屋」に立ち寄りました。

松坂屋 ――地元で親しまれる精肉店


松坂屋は、創業から93年を超える歴史ある精肉店。その特徴は、「近江牛」「岩中豚」「甲州信玄鶏」の3つのブランドのみを扱っていること。特に近江牛に関しては、店主の神田さんが自らせりに足を運び、一頭買いで仕入れるなど、おいしさと品質に情熱を注いでいます。


厳選されたお肉をリーズナブルな価格で提供

手作りのお惣菜も人気。代々から続く味を守り続けている煮物やサラダなど、ほっとする味わいで親しまれています
飲食店向けの卸売を行わず、店頭のみで販売しているのも特徴です。地元住民はもちろん、遠方から訪れるお客様も多く、根強いファンに支えられているお店です。


5代目店主の神田守さん。地域住民に愛され、おいしさで選ばれるお店づくりに力を注いでいます
松坂屋
住所
東京都大田区北千束1-44-4

遠くから通う人も多い「パン屋さん激戦区」

大岡山駅の周辺には、パン好きの人々の間で評判の高い、個性あふれるパン屋さんが数多く存在します。ヨーロッパ風のハード系パンから惣菜パン、甘いデザートパンまで、手間暇かけて作り上げるパンは、どれも愛情を感じられる品ばかり。今回は、本格的なドイツパンが買える「ヒンメル」を訪れました。

HIMMEL(ヒンメル) ――バラエティ豊かなパン屋さん


ヒンメルは、2008年に大岡山でオープンした、ドイツパンを中心にさまざまなパンを取り揃えるパン屋さん。ドイツで2年間修行して、本格的なドイツパン作りを学んだ店主の金長さんが、ドイツで出会ったパンの魅力を広めるために開いたお店です。


ライ麦を使った食事パンの他、甘いパンやお惣菜パンなど、さまざまな種類のパンがずらり
ヒンメルでは、20種類ほどの生地を使い分け、パンやサンドイッチなどを作っています。焼き菓子を含めると、毎日60種類ほどの商品が店頭に並び、全部で100種類以上の商品があるそう。


プレッツェル生地を使用した「ラオゲンクロワッサン」は、他では味わえない珍しい品
その日に販売するパンは、生地作りから始めて焼き上げるため、仕込みは朝4時から行われます。お客様のニーズに応えるために、少量しか使わない生地でも毎日ていねいに仕込みを行い、地元の人々に喜ばれるお店作りを目指しています。


17年にわたり地元の人々に愛されています。店内の柱には、来店したお子さんの身長の記録が残されており(画像右)、訪れるたびに成長を感じられる温かい場所となっています


「目で見る楽しみや、選ぶ楽しみも味わってほしいと思って、いろいろな種類のパンを作っています。本場のドイツにも、さまざまな種類のパンがあるんですよ」と代表の金長暢之さん
HIMMEL(ヒンメル)
住所
東京都大田区北千束3-28-4 アンシャンテ大岡山1F

昔ながらの人情も健在! 長く愛されるお店があります

住宅街として発展してきた大岡山のまち。地元住民との密接なつながりは、今も健在で、来店者とのコミュニケーションを大切にし、常連客との関係を築きながら、長く愛されているお店がたくさんあります。この地で古くから営業を続ける人気の洋食屋「花時計」を訪問しました。

花時計 ――30年以上続くまちの洋食屋


大岡山で34年にわたり営業している洋食屋「花時計」。ロシア料理やホテルのレストランでの経験を持つ店主の山田さんが手がける料理が、地元の人々に親しまれている、まちの洋食屋さんです。

看板メニューは、自家製のハンバーグ。ジューシーでしっかりとした味わいが評判で、この味を求めて、長年のファンが多く訪れます。また、ロシア料理のビーフストロガノフをチキンでアレンジした「チキンストロガノフ」やカレーも人気です。


人気の「ハンバーグ&コーンクリームコロッケ(スープ・ライス付)1,050円」

まかないから生まれたメニュー「お好焼風ハンバーグ(スープ・ライス付)1,000円」。甘辛いソースが、ごはんにもよく合います
コロナ禍の影響で、現在は以前よりも早めに店を閉めていますが、それでもたくさんのお客さまに支えられていることが営業を続けている理由だそうです。常連客の中には家族で訪れる方や、店主と長年の付き合いがある方も多く、まちの人たちとのコミュニケーションは山田さんにとっても楽しみの一つとなっています。


「体力が続く限りお店を続けていきたいですね」と店主の山田幸男さん
花時計
住所
東京都大田区北千束3丁目23-5

地域のつながりを生み出す SALON,CAFE&BAR ToiToiToi

ToiToiToi(トイトイトイ)



最後に訪れたのは、「SALON,CAFE&BAR ToiToiToi(トイトイトイ)」。ここは通常のカフェ&バーとしての営業だけではなく、学術や文芸、ベンチャー企業など、さまざまな分野の人々が集い、自由に意見を交換する場ともなっています。

代表の川口卓志さんにToiToiToiを立ち上げた背景、活動内容、大岡山のこれからなどについてお話をうかがいました。


川口卓志さん。ToiToiToiのほか、テクノロジー分野などの4つの会社を経営されています
___ToiToiToiの立ち上げの背景を教えてください。

大学では、研究者が、真に自分の好奇心に基づいた自由な探究を行うのが難しい状況があると感じています。私自身、東工大大学院時代にそのことを実感し、中世フランスで知識人や芸術家たちの交流の場として機能していたサロンをイメージし、大学内でサロン形式の研究発表会を始めました。

その後、活動のための場所が必要だと感じて始めたのが、2016年にオープンしたToiToiToiです。


普段は、カフェ&バーとして、おいしいお料理やドリンクを提供しています。店内はおしゃれで落ち着いた空間
___サロンで行っている活動には、どのようなものがあるのですか?

大学外の第三の研究発表の場として、自分の研究や学びを発表できる機会を提供しています。独学で勉強をしている研究者にとっては、自分の研究を体系的にまとめる良い機会となっていると思います。


月に1回程度開かれるサロン。「食事やお酒を楽しみながら対面で話せることで、より深い部分を共有できる気がします」と川口さん
研究者の支援として「投げ銭」の仕組みも導入し、企業や大学に所属していない在野の研究者たちが自分の探究を続けるプラットフォームとなることを目指しています。また、学生ベンチャーが会社を登記することもできたりします。

___地域の方にとっては、ToiToiToiはどのような存在ですか。

地域の方にとっては、地元に大学があっても、その内部に入るのはなかなか難しいことですよね。そこで、ToiToiToiが、地域と大学、スタートアップなどの企業がなじみあって、有機的なつながりをもてる場になれればと思っています。

ToiToiToiを普通のカフェ&バーとして利用してくださる方もたくさんいらっしゃいますし、月に1回は地域の子どもたちや住民が集まる子ども食堂も運営しています。東工大のボランティアグループの学生たちを中心に運営をしていて、食事を共にしたりゲームを楽しんだりしながら、交流を深めています。


ランチやディナータイムは、家族連れなど、たくさんの人でにぎわいます。写真は、ランチメニューの生パスタ「お肉ごろごろボロネーゼ(サラダ付き1,100円)」とデザートの「クレーム ド ブリュレ600円」
___東京科学大学の誕生は、大岡山のまちにどのような影響を与えるとお考えですか?

医療系の研究者や学生、そしてベンチャー企業がまちに集まることで、新たな広がりが生まれることを期待しています。
大学、企業、地域社会の3者が相互に連携し、技術革新や地域活性化を進めることが重要だと考えています。大学で生まれた研究成果をベンチャー企業が活用し、それを地域社会に実装することで、まちの魅力が向上します。さらに、それによって情熱をもった若者が大岡山のまちに集まってくる好循環を生み出すことが大切だと考えています。まちや大学、ベンチャー企業のつながりが少しずつ大きくなることで、情熱をもった若い人たちに「大岡山には、他のまちにはない何かがある」と感じてもらえるとよいですよね。ToiToiToiもそれを支える場でありたいと思います。

大田区はスタートアップの支援がとても充実していますので、元気な若者たちにどんどん集まってきてほしいと思います。

コロナ禍で来客が減った際は、一時的に閉店を余儀なくされたこともあったというToiToiToi。それでも多くの人の思いを背負ったこの場所を存続させたいという思いが川口さんにはありました。地域の活性化や新しいビジネスの創出など、ToiToiToiは人々のつながりと想いが実現する場です。今後のさらなる発展がとても楽しみですね。
SALON,CAFE&BAR ToiToiToi
住所
東京都大田区北千束3-20-8

東京科学大学の誕生により、大岡山にはさらに多くの学生や研究者が集まり、地域の活性化が期待されます。人情味のあるまちと、最先端の研究拠点が融合することで、まちはどのように変化していくのでしょうか。

大岡山から少し足をのばして、洗足池エリアを散策したい方は…
勝海舟記念館
https://unique-ota.city.ota.tokyo.jp/charm/culture/katsukaisyu/

ユニークな公園
https://unique-ota.city.ota.tokyo.jp/charm/nature/unique-park/

大岡山特集はいかがでしたでしょうか。大田区内にはまだまだ注目のスポットがたくさんあります。あなただけの「おおた推し」スポットを見つけてみてください!見つけたスポットは、ぜひSNSへ投稿を。その際は#uniqueotaをつけてくださいね!

大田区シティプロモーションサイト「UniqueOta/ユニークおおた」では、「他にはない、大田区ならではのユニークな場所と出会えるまち」を合言葉に、区内のさまざまな魅力を発信中です。

ぜひ、あなたの興味あるコンテンツを探してみてください。次回の特集もお楽しみに!
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