「ものづくりのまち」大田区で奮闘する若手人材のなみなさんから、具体的な仕事内容や職場環境、日々感じていることなどをお聞きしています。
ものづくりの世界で、それぞれのチャレンジを始めた“ルーキー”の皆さんのリアルなお話から、大田区のものづくりを身近に感じていただければと思います。
Vol.4 八木 良樹 さん (協和工業 株式会社)
●この会社に入社した経緯は?
この会社に入ってから4年目になります。
大手の就職サイトに登録していたところ、会社からスカウトをもらって興味を持ちました。
前職も好きな仕事だったのですが、給与面が・・・。
それで、結婚を機に転職しようと考えました。
もともと大学ではデザイン系を学んでいましたし、手を動かす仕事がしたかったんですよね。
以前にNC旋盤*の加工も経験していたので、なじみがありました。
入ってみたら、全然違っていましたが(笑)
*NC旋盤:NCとは「Numerical Control(数値制御)」の略。機械の動作を指令するNCプログラムによって、刃物や工作物の位置を正確に動かしながら加工を行う。
●現在、どんなお仕事をしているのでしょうか?
会社は、精密板金加工なります。
事務機器メーカーの試作部品が多いのですが、最近では新しい業種の仕事の割合が増えてきました。
仕事としては、レーザー切断後の板材のバリ取り*1、プレスブレーキ*2による曲げ加工前の工程、曲げ、溶接、カシメ*3といった多能工な形で、
すべての工程がひと通りできるように、ローテーションを組んでやっています。
*1バリ取り : 「バリ」とは、金属やプラスチック製品などの機械加工を行う際に、加工端部でよく発生する突起のこと。バリ取りとは、バリの部分を取り除く工程。
*2プレスブレーキ : 「曲げ加工」で使われる機械のひとつで、圧力をかけて金属の板を曲げる。
*3カシメ : 穴のあいた板状のものを重ねて、外れないように固定する方法。
今は試作品が多く多品種少量生産なのですが、以前やっていたNC旋盤の加工は、どちらかというと大量生産でした。
大量生産の場合、作業自体は集中力を切らさないようにしなければならいのですが、同じ作業を繰り返すので、頭では別のことを考えて時間をやり過ごす・・といった感じで、気持ちがすり減るというか・・・。
今は毎日違うものを目の前にして、常に考えながら仕事をしているので全然飽きないですし、やりがいがあります。
特に協和工業には、金型なしでプレスや絞り形状を成形する独自のフォーミング技術*4があるので、そちらの方もいずれは学んでいきたいと思っています。
*4フォーミング技術での加工の様子
●このお仕事は難しいですか?
すごく難しいです。まだまだ覚えることがたくさんあります。
先輩の仕事は、機械でやる作業も手作業も、圧倒的にスピードが速いんですよ。
熟練度が全然違います。
図面をしっかりと確認し、特に試作の場合には設計者が何を求めているかをよく理解して工程を設定し、確認しながら加工を進めていくことが大事です。
その辺りの図面から得意先の要求を理解する力も、先輩方は長けていると思います。
使う金属は、鉄、アルミ、ステンレスなどですが、同じ材質や板厚の材料を仕入れても、生産ロットの違いによって、100分の数㎜単位で厚さが違ったりします。
例えば、100分の1㎜単位で、曲げ寸法などを調整しなければいけないのですが、素材の厚さが100分の数㎜違うだけで、曲げ角度や寸法なども変わってきます。
また、機械でできない部分や最終的な仕上げは、手作業でやらなければならないことも多いのですが、先輩たちはそういうことも本当に速くて精度が高いんです。
●どのように仕事を進めているのでしょうか?
もともと接客など、人の相手をするのがちょっと苦手かな・・と感じていたので、じっくり「ものに向きあう」仕事がしたいと思って入社したのですが、意外によくしゃべる会社でした(笑)
仕事の納期があるので、みんなで相談したり、調整したりしないといけないんです。
工場長と営業担当が中心となって、仕事の優先順位をつけていくのですが、どの機械が空いているのか、誰のどの作業がボトルネックになっているかなど、工場の中でお互いに声をかけあって調整することが多いです。
なので、遅れている作業があれば、みんなで一斉にとりかかる場合もありますし、
一人が集中して作業をしなければいけない場合は、みんなでその環境を作ってあげる、ということもあります。
やっぱり、メンバーとコミュニケーションが取れないといけないですね。
どんどん注文が入ってくるので仕事は忙しいですが、残業はよほど忙しい時期に1~2時間あるぐらいで、普通は定時で帰れます。
●仕事選びで重要なことは何でしょうか?
やっぱりバランスが取れていることじゃないでしょうか。
給与や仕事の内容はもちろんですが、プライベートの時間も大事なのでバランスですね。
住まいは大田区内なのですが、自転車が好きなので30~40分かけて通勤しています。
以前は関西に住んでいたのですが、東京に越してきたので、休日は自転車での食べ歩きなどを楽しんでいます。
先輩と一緒に流行りのサウナに行って、まちをぶらぶら散策する、ということもあります。
この仕事は、未経験でもできると思いますが、成長意欲のある人が向いていると思います。
自分は飽きっぽいのですが、今の仕事は、突き詰めていくところが面白いところです。
あと、技術は、やれば身につくと思いますが、周りを見ることも大事ですね。
今は、工場板金技能士の2級を持っているのですが、1級を目指して勉強しています。
みんなのモチベーションを上げられるようになって、一緒に成長していきたいです。
協和工業 株式会社
本社:東京都大田区京浜島2-18-6
設立:昭和40年7月
事業概要:精密板金加工、プレスレスフォーミング加工
加工製品:主に、事務機器及びOA機器の試作部品、その他、医療・宇宙航空・燃料電池・産業機械など様々な分野の関連部品
問い合わせ先
産業振興課(工業担当)
電話:03-5744-1376
FAX:03-6424-8233
大田区のものづくりに関する過去の記事
新連載・大田ものづくりROOKIES Vol.1
https://unique-ota.city.ota.tokyo.jp/news/rookies-vol-%ef%bc%91/
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新連載・大田ものづくりROOKIES Vol.3
https://unique-ota.city.ota.tokyo.jp/news/ota-manufacturingrookies-vol-3/
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https://unique-ota.city.ota.tokyo.jp/charm/industry/craftsmanship/
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https://unique-ota.city.ota.tokyo.jp/charm/industry/pickup-202004-01/
産業のまち発見隊レポートは
https://unique-ota.city.ota.tokyo.jp/news/sangyounomachihakkentai_202308/
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