【大田ものづくりROOKIES Vol.8】~若手ものづくり人材のリアルな日常~

「ものづくりのまち」大田区で奮闘する若手人材のなみなさんから、具体的な仕事内容や職場環境、日々感じていることなどをお聞きしています。

ものづくりの世界で、それぞれのチャレンジを始めた“ルーキー”の皆さんのリアルなお話から、大田区のものづくりを身近に感じていただければと思います。

 

Vol.8 大野おおの 万世まよ  さん (株式会社 平川製作所)

 

●この会社に入社した経緯は?

この会社に入社して4年目になります。

専門学校を卒業したのが、ちょうどコロナの時期でした。

コロナのため就職活動がなかなかできずにアルバイトをしていたところ、

母から、こんなイベントがあるから行ってみれば、と言われたのが『まちこうばがやってくる!』でした。

『まちこうばがやってくる!』は、(一社)大森工場協会が中心となって毎年開催しているイベントで、展示やものづくり体験などを通じて町工場を身近に感じてもらい、興味をもってもらうことで将来のものづくり人材につなげていくことを目的としています。

そのときは、大田区産業プラザ(PiO)で開催していまして、なんとなく興味を惹かれて、行ってみることにしました。

イベントには10社程度の企業が参画していたと記憶しています。

その中にパイプ曲げ加工が専門の平川製作所のブースがあり、展示写真や動画をじーっと見ていたところ、社長から声をかけられ、「そんなに興味があるなら、うちの工場を見てみない?」と誘われました。

 

かなり熱心に見ていたようなので、社長の眼には、珍しかったのでしょうか。

私としては、生まれたときから大田区内に住んでいたので、大田区がものづくりのまち、という意識はあり、身近に感じていました。

それなりに製造業のイメージはあって知っていたつもりだったのですが、「曲げ専門??」という概念が頭になかったので、他の企業に比べて興味を惹かれました。

 

その1週間後には工場を見学して、さらにその後すぐに面接に至り、あっという間に入社が決まりました。

面接を受けるにあたっては父と母に相談したのですが、二人とも「いいんじゃない!」ということで、まったく異論はありませんでした。

結局、イベントを見に行ってから2~3ヶ月後には、平川製作所で働き始めていました。

 

●現在、どんなお仕事をしているのでしょうか?

会社はパイプの曲げ加工を専門としていまして、様々な材質や特殊な形状に対応している「パイプ曲げ」のエキスパートです。

建設機械部品、医療機器や厨房機器、自動車部品などからインテリア家具まで、いろいろな分野のパイプ曲げ製品を扱っています。

当社内でのパイプ曲げ加工は、パイプベンダーで行います。

座標をコンピューターに入力して加工するCNCパイプベンダーと数値制御式パイプベンダーがあります。微妙な角度の修正は、手作業で行います。

パイプベンダー : 管(パイプ)を常温で断片を扁平にすることなく曲げるための工具・機械。

 

私は、パイプを曲げる前の「切断」の加工を担当しています。

旋盤や切断機などの機械を使って、鉄やステンレスなどのパイプを指定された寸法や形状に切断していきます。

単に切断するといっても、その後の「曲げ」の工程を踏まえて、厳密な寸法精度を求められたり、切断面をどうするか、といった細かな対応が必要になってきます。

例えば、切断面の角度や面取りなど、図面を基に顧客の要望に応じた加工をしています。

 

●仕事をどのように進めていますか?

現在、80代のベテラン社員の方にマンツーマンで教えていただいています。

その方がやっているのを見て覚えるといったことが多いのですが、機械の扱い方や調整など、本当に職人技です。

自分が難しいと思っているのは、機械の設定などです。

切断の機械を動かすためには、ステッキバイトという金属の板を研いで、機械の刃として使います。

その研ぎ方ひとつで、出来上がりの長さや形状が変わってしまいます。

ステッキバイト: 硬い素材(高速度鋼)で作られ、旋削加工(円筒型の金属を加工する場合)に使用する切削用刃物。

 

旋盤の機械を使ったパイプ切断の様子。

 

 

加工するものに合わせてステッキバイト(写真)を削り、機械の刃として使う

 

●仕事のどのようなところが楽しいですか?

寸法どおりに切断ができたときは、とてもうれしいです。

デジタルゲージなどで測定するのですが、誤差なく切断できたときは、やった!と思います。

繰り返しの作業は多いですが、集中してやるのが好きなで、特に苦にはなりません。

 

入社した最初のころは、とても緊張していました。

意外にコツが必要な作業でもありますので、入社当初はいらないパイプをもらってきて、切断するときの手の動きなどを、土日にイメージトレーニングしたりしていました(笑)

今は、緊張することはあまりないですが、まだまだ覚えることがたくさんあります。

 

この会社に入ってから、街なかにあるパイプが気になって仕方がないんですよ。

以前は気にならなかったのですが(笑)

例えば電車の手すりなど、当社で携わっているものもあるので、思わずじっくり見ちゃいますね。

 

今度どうしていきたいですか?

今は、「曲げ」がやりたいというよりは、「切断」のほうを極めたいと思っています。

ミスなく、安定してできるようになりたいです。

 

それと、会社では半期ごとに、税理士さんから経営状況を説明してもらう勉強会をしていまして、発注先ごとの売上状況などもよくわかります。

先輩方が担当している企業の売上が、グンとアップしていたりすると、お~!っと思ったりしますので、私も会社に貢献できるようになりたいです。

 

 

株式会社 平川製作所

本社:東京都大田区大森西2-17-14

設立:昭和35年6月

事業概要:鋼管・ステンレス・アルミ・銅・真鍮のパイプ及び棒材・アングル・チャネル等の曲げ加工関連加工(各種機械加工・溶接・切断・プレス・塗装・メッキなど)

 

問い合わせ先

産業振興課(工業担当)

電話:03-5744-1376

FAX:03-6424-8233

 

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