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【特集】フィルムカメラ×コンデジで巡る大田区 老舗喫茶店でレトロにひたる

今、若い人たちを中心にフィルムカメラやオールドコンデジ(2000年代初頭に販売されていたコンパクトデジタルカメラ)がリバイバルブームを巻き起こしています。簡単にきれいな写真が撮れる今の時代だからこそ、少し粗くモヤっとした描写や特有の色味が、写真に親しみやすさを与えているのかもしれません。そんなカメラのファインダー越しに、区の魅力を再発見するのが「フィルムカメラ×コンデジで巡る大田区」シリーズです。

第1回のテーマは、昭和レトロブームで注目されている「レトロ喫茶」。大田区の老舗喫茶店にカメラを片手に訪れました。


※記事内の画像は、全てフィルムカメラ、またはオールドコンデジで撮影しています。
※値段表示は税込で、取材当時の情報です。


珈琲 琵琶湖


レトロ感満載で入るのが楽しみな外観 ※フィルム
梅屋敷駅から東邦大学大森病院へ方面に延びる「ぷらもーる梅屋敷商店街」。その活気ある通りを進むと「珈琲 琵琶湖」があります。豊富なフードメニューで、特にお昼時は混雑必至の人気店です。


店内を彩る花は、オーナーの奥さまの故郷・千葉県の館山市の花農家から取り寄せています
やわらかなランプの明かりに照らされた調度品からは、年輪を重ねてきた物だけがもつ趣を感じます。どれもピカピカに磨き上げられ、丁寧に守られてきたことが分かります。お店を切り盛りするのは2代目の吉岡ご夫妻。


トマトソースがしっかり絡んだ昔ながらのナポリタン(770円)ミニサラダ付き ※フィルム
お店の看板メニューでもある「昔ながらのナポリタン」は、2,000食のナポリタンを食べ歩いたという著名なナポリタンマニアの方が絶賛して以来、全国からお客さまが殺到。羽田空港を降りて直行するファンもいるほど。


梅屋敷の由来は、江戸時代に数百本もの梅の木のある休み茶屋があったことから
店名の由来は、創業者である先代(マスターのお父さま)が、滋賀県の「琵琶湖」という漬物店で修行し、のれん分けが許されたことから。漬物の他、乾物などを扱う食糧品店として開業しました。その頃の梅屋敷は戦後の焼け野原が広がり、省線(国鉄、現在のJRのこと)の線路までが見通せたそうです。


初春には、大田区立聖蹟蒲田梅屋敷公園で梅が咲き誇ります ※フィルム
日本の復興とともに発展する梅屋敷でお店も時を刻んできました。やがて、スーパーマーケットの台頭を予測し「食糧品店では勝ち目がない」と潮目を読んだ先代が、銀座ではやっていた純喫茶に店替えをし今に至ります。




パリッとした薄焼き生地でペロリと食べられるミックスピザ(950円)
開業時から変わらぬメニューもあれば、野菜を摂りたいなどお客さまのご要望を聞いて生まれた新メニューや、季節ごとに苺や梅のシーズンメニューも追加され、毎日通っても食べきれないほどのフードメニューも琵琶湖が愛される理由。


鮮やかな色が「映え」で人気のブルーハワイフロート(600円) 。アイスコーヒー(420円) ※フィルム
ドリンクメニューも豊富。ネルドリップで濃いめに入れるアイスコーヒーは、創業当時から変わらぬ味。コーヒーに負けない濃厚なミルクを入れて楽しみましょう。


窓際の席からは、商店街の活気が感じられます
ずっとこの地を見守ってきたマスター夫妻の願いは「ずっと変わらない商店街であってほしい」ということ。珈琲 琵琶湖のルーツ、滋賀といえば“三方よし”で知られる近江商人の町。そのお客さまファーストの精神が今も 息づく名店です。


※フィルム
珈琲 琵琶湖
住所
大田区蒲田二丁目4−7
(京急本線「梅屋敷駅」から徒歩5分 )
電話
03-3739-4986
営業時間
7:15~L.O.16:00
定休日
水曜日(他、不定休あり)
大田区の商店街の魅力をもっと知りたいなら
https://unique-ota.city.ota.tokyo.jp/charm/shopping-district/shotengai-katsuyo/

珈琲亭 ルアン


店名の書体やステンドグラス風の看板がレトロ気分で写真を撮りたくなります
JR大森駅からほど近い珈琲亭ルアン。2代目の宮沢孝昌さんがマスターを務めています。この界隈はかつて「大森一の繁華街」と呼ばれたところ。お店の前には映画館が4館も並び、連日にぎわいをみせていました。大田区のキネマ歴史に思いをはせながら、お店へと向かいます。


奥行きのある広い店内。写真は2階席
ソファー、テーブル、ダウンライト。どれをとっても温かみがあります。まるで「ゆっくりくつろいでください」という声がお店全体から聞こえてくるよう。


いつもカウンターから店内を見守っているマスター
コーヒー専門店だけあり、ドリンクがメインのラインアップ。開業当初はスパゲッティやフルーツポンチも出していたそうですが、昭和49年頃に先代が「コーヒーの専門店にしたい」と方向転換しました。


整然と並べられた道具やカップにも歴史を感じます ※左のみフィルム
マスターの宮沢さんが巣鴨から大森に越してきたのは、ちょうどその頃。立ち並ぶ映画館、すぐ近くには立派なアーケードの商店街。幼心に「すごい都会だ」と驚いたそうです。東へ少し歩けば海や空港が、駅を挟んで反対側の山王は、文化の香りがあふれる馬込文士村に続いています。「大田区にはたくさんの顔があることが魅力。いつの時代も変わらず住みやすい街」とうれしそうに話してくれました。




ミックスサンド(700円)は、からしバターが隠し味
宮沢さんは、あらためて最近残念に感じることがあるそうです。それは急逝した先代ともっといろんな話をしておけばよかったな、ということ。一緒にカウンターに立ち、ドリンクのことや経営のことは学んできましたが、“想い”の部分を聞く時間があまりなかったのです。例えば「ベルサイユのバラ」という名のオリジナルの紅茶は、なぜその名なのか? 由来を聞かれても推測するしかできないそうです。


バラの形のクリームがのったコーヒー・ゼリー(600円)
それでもお店の魂は、時代を超えて人々の心に息づいています。20年前に大森に住んでいたという女性が小さなお子さまを連れて「オーストラリアから一時帰国中、どうしてもルアンに来たくて蒲田のホテルに泊まりました」とお店に来てくれたり、学生時代にアルバイトをしていた男性が「定年を迎えて、第二の人生としてルアンのような喫茶店を始めたい」と相談に来たり……。人生のある時期に大森と関係があった人たちの心に、今も寄り添い続ける名店なのです。


カフェ・オーレ(600円)は、ミルクとコーヒーを目の前でミックスしてくれるパフォーマンスが圧巻

昭和51年のタウン誌に掲載したルアンの広告
年配世代には懐かしく、若い世代には新しい場所。そしてそれを変わらぬ店のたたずまいと味を守り続けるマスターの世代がつないでいます。言葉で表せないとしても、ここにしかない大切なものはお客さまの心の中でずっとずっと、継承されていくことでしょう。


※フィルム
珈琲亭 ルアン
住所
大田区大森北一丁目36-2
(JR「大森駅」から徒歩5分)
電話
03-3761-6077
営業時間
平日 7:00~19:00(L.O.18:30)
土日祝 7:30~18:00(L.O.17:30)
定休日
水曜日・木曜日

カメラを持って、街歩きスナップ


喫茶店を楽しんだら、カメラを持って近くを歩いてみませんか。
珈琲 琵琶湖から珈琲亭 ルアンまでの道のりを、写真を撮りながら歩いてみました。ファインダー越しに見るまちは、いつもと違った表情を見せてくれるはず。SLがあるのは入新井西公園です。

【フィルムカメラで撮影】


【オールドコンデジで撮影】



レトロ喫茶特集はいかがでしたか。本シリーズでは、これからもフィルムカメラ・オールドコンデジを通して、大田区の魅力を再発見していきます。

大田区内にはまだまだ注目のスポットがたくさんあります。あなただけの「おおた推し」スポットを見つけてみてください! 見つけたスポットは、ぜひSNSへ投稿を。その際は#uniqueotaをつけてくださいね!

大田区シティプロモーションサイトUniqueOtaでは、「他にはない、大田区ならではのユニークな場所と出会えるまち」を合言葉に、区内のさまざまな魅力を発信中です。

ぜひ、あなたの興味あるコンテンツを探してみてください。次回の特集もお楽しみに!
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